【完結】占い館のチョコレート

四季苺

文字の大きさ
17 / 38

わたし達の進む路

しおりを挟む
 月曜日の朝、わたしはふたたびなずなちゃんの家の前にいた。門の横には背の高いピンク色の芙蓉ふようがたくさん咲いていてきれいだったので、それをながめてなずなちゃんを待つ。 

「おまたせ!おはよう~」 

「おはよー、忘れ物ない?」 

「うん、大丈夫。行こっか」 

 わたし達はなるべくいつも一緒にいることに決めた。一人になるとカリン達の餌食えじきにされるからだ。学校は、なずなちゃんが休むならわたしも休む。逆も同じだ。それを許してもらうために、昨日はウチのお母さんとなずなちゃんのお母さんと四人で話し合いをした。 

「スマホ買ってもらえなかったね」 

 歩き出してすぐ、なずなちゃんはほおをふくらませてそう言う。 

「ねー、わたしもしかった」 

 学校を休む時には事前じぜん連絡れんらくし合う。そのために、わたし達にはスマホが必要ひつようだとそれぞれの親に主張しゅちょうしたが、却下きゃっかされた。親同士が連絡すればいいと。うん、知ってた。 

「まぁ、受験じゅけんが終わったら買ってくれるって言ってたから、それだけでもうれしいかなぁ」 

 わたしがそう続けると、なずなちゃんは「はぁあっ!」と言いながら頭をかかえた。 

「…そう、中学受験することになっちゃったね…」 

 なずなちゃんのお母さんは、今回のいじめを知って、娘をカリン達と別の私立中学校に行かせたいと考えたそうだ。その話を聞いて、ウチのお母さんもそうしようと思ったらしい。まぁ、受かればの話だけど。 

「勉強ヤダ~」 

「…なずなちゃん、わたしより成績せいせき良いのに」 

「そんなの、ウチの腹黒いオバサンがやれやれうっさいからだわ!わたしは勉強なんて好きじゃないのに!」 

「まぁ、そうだよね。でもわたしは、なずなちゃんと同じ中学に行きたいなぁ」 

「…………がんばる!!」 

 なずなちゃんはわたしのうでにぎゅっと腕をからませてそう言った。 

 金曜日までの日々がうそみたいだ。なずなちゃんとまた友達に戻れて、中学ではカリン達とはなれられる。嬉しくて、空もいつもより青くまぶしく感じた。 

「えっ、鈴奈ちゃん別の中学行くの!?」 

 声におどろいて振り返ると、あらたくんが立っていた。 

「おはよー」 

「…あっ、お、おはよ」 

 わたし達がそろって挨拶あいさつをすると、新くんはちょっとずかしそうになった。挨拶も忘れて話しかけてしまったからだろう。 

「うん、まだ内緒ないしょにしてて欲しいんだけど、受験する予定」 

「じゃあ、翠陵すいりょう?」 

「できれば。それか杜野宮もりのみや」 

 このへんからかよえる私立中学校はこの二つしかない。翠陵は偏差値へんさち高めの難しい学校で、杜野宮はまぁ普通ふつうレベルだ。せっかくだからわたしは翠陵に行きたいと思っている。 

「なずなちゃんも翠陵?」 

 新くんが尋ねると、なずなちゃんはちょっともじもじしながら「うん」と答えた。なずなちゃんは慣れればを見せるけど、最初はちょっと人見知りをする。 

「ふーん、じゃあ僕も翠陵受けようかな」 

「えっ!」 

 わたしは思わず大きな声を出してしまった。それを聞いて新くんはむくれる。 

「…何?いやなの?」 

「そうじゃないけど、そんなかるいノリで決めることかなって」 

 ウチのお母さんといい、新くんといい、人が受験するからってつられすぎでは? 

「親にはずっと翠陵受けるように言われてたんだよ。でも、気がらなかったからのらりくらりかわしてた」 

「へぇー」 

「…ね、ねぇ、なんで今気が乗ったの?」 

 人見知りガールなのに、なずなちゃんが頑張がんばって質問をしている。 

「さぁね?」 

「………!!」 

 新くんはニヤリと笑い、なずなちゃんは両手で口をおさえてフルフルしている。 

「やだ、少女漫画しょうじょまんがみたい…」 

「え、どうしたの?きそう?」 

「………」 

 温度の全く違う沈黙ちんもくとともに、なずなちゃんがジトリとわたしを見た。新くんもフゥ、とため息をついている。 

 何?わたし、何かした? 

「慣れてるから、僕は大丈夫」 

「…そうなんだ、頑張って」 

「?」 

 二人はよく分からない会話をしていた。まぁ、少しけたみたいだから良いか。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

アリアさんの幽閉教室

柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。 「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」 招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。 招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。 『恋の以心伝心ゲーム』 私たちならこんなの楽勝! 夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。 アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。 心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……?? 『呪いの人形』 この人形、何度捨てても戻ってくる 体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。 人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。 陽菜にずっと付き纏う理由とは――。 『恐怖の鬼ごっこ』 アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。 突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。 仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――? 『招かれざる人』 新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。 アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。 強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。 しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。 ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。 最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。

黒地蔵

紫音みけ🐾書籍発売中
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

処理中です...