【完結】占い館のチョコレート

四季苺

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わたし達の進む路

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 月曜日の朝、わたしはふたたびなずなちゃんの家の前にいた。門の横には背の高いピンク色の芙蓉ふようがたくさん咲いていてきれいだったので、それをながめてなずなちゃんを待つ。 

「おまたせ!おはよう~」 

「おはよー、忘れ物ない?」 

「うん、大丈夫。行こっか」 

 わたし達はなるべくいつも一緒にいることに決めた。一人になるとカリン達の餌食えじきにされるからだ。学校は、なずなちゃんが休むならわたしも休む。逆も同じだ。それを許してもらうために、昨日はウチのお母さんとなずなちゃんのお母さんと四人で話し合いをした。 

「スマホ買ってもらえなかったね」 

 歩き出してすぐ、なずなちゃんはほおをふくらませてそう言う。 

「ねー、わたしもしかった」 

 学校を休む時には事前じぜん連絡れんらくし合う。そのために、わたし達にはスマホが必要ひつようだとそれぞれの親に主張しゅちょうしたが、却下きゃっかされた。親同士が連絡すればいいと。うん、知ってた。 

「まぁ、受験じゅけんが終わったら買ってくれるって言ってたから、それだけでもうれしいかなぁ」 

 わたしがそう続けると、なずなちゃんは「はぁあっ!」と言いながら頭をかかえた。 

「…そう、中学受験することになっちゃったね…」 

 なずなちゃんのお母さんは、今回のいじめを知って、娘をカリン達と別の私立中学校に行かせたいと考えたそうだ。その話を聞いて、ウチのお母さんもそうしようと思ったらしい。まぁ、受かればの話だけど。 

「勉強ヤダ~」 

「…なずなちゃん、わたしより成績せいせき良いのに」 

「そんなの、ウチの腹黒いオバサンがやれやれうっさいからだわ!わたしは勉強なんて好きじゃないのに!」 

「まぁ、そうだよね。でもわたしは、なずなちゃんと同じ中学に行きたいなぁ」 

「…………がんばる!!」 

 なずなちゃんはわたしのうでにぎゅっと腕をからませてそう言った。 

 金曜日までの日々がうそみたいだ。なずなちゃんとまた友達に戻れて、中学ではカリン達とはなれられる。嬉しくて、空もいつもより青くまぶしく感じた。 

「えっ、鈴奈ちゃん別の中学行くの!?」 

 声におどろいて振り返ると、あらたくんが立っていた。 

「おはよー」 

「…あっ、お、おはよ」 

 わたし達がそろって挨拶あいさつをすると、新くんはちょっとずかしそうになった。挨拶も忘れて話しかけてしまったからだろう。 

「うん、まだ内緒ないしょにしてて欲しいんだけど、受験する予定」 

「じゃあ、翠陵すいりょう?」 

「できれば。それか杜野宮もりのみや」 

 このへんからかよえる私立中学校はこの二つしかない。翠陵は偏差値へんさち高めの難しい学校で、杜野宮はまぁ普通ふつうレベルだ。せっかくだからわたしは翠陵に行きたいと思っている。 

「なずなちゃんも翠陵?」 

 新くんが尋ねると、なずなちゃんはちょっともじもじしながら「うん」と答えた。なずなちゃんは慣れればを見せるけど、最初はちょっと人見知りをする。 

「ふーん、じゃあ僕も翠陵受けようかな」 

「えっ!」 

 わたしは思わず大きな声を出してしまった。それを聞いて新くんはむくれる。 

「…何?いやなの?」 

「そうじゃないけど、そんなかるいノリで決めることかなって」 

 ウチのお母さんといい、新くんといい、人が受験するからってつられすぎでは? 

「親にはずっと翠陵受けるように言われてたんだよ。でも、気がらなかったからのらりくらりかわしてた」 

「へぇー」 

「…ね、ねぇ、なんで今気が乗ったの?」 

 人見知りガールなのに、なずなちゃんが頑張がんばって質問をしている。 

「さぁね?」 

「………!!」 

 新くんはニヤリと笑い、なずなちゃんは両手で口をおさえてフルフルしている。 

「やだ、少女漫画しょうじょまんがみたい…」 

「え、どうしたの?きそう?」 

「………」 

 温度の全く違う沈黙ちんもくとともに、なずなちゃんがジトリとわたしを見た。新くんもフゥ、とため息をついている。 

 何?わたし、何かした? 

「慣れてるから、僕は大丈夫」 

「…そうなんだ、頑張って」 

「?」 

 二人はよく分からない会話をしていた。まぁ、少しけたみたいだから良いか。 
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