【完結】占い館のチョコレート

四季苺

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終わりを受け入れる

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 すべての発表が終わって教室に戻った時には、カリンはすでに早退そうたいしていた。舞台袖ぶたいそでに下がった後、手が付けられないほど泣いていたので緒川おがわ先生がに来ていたカリンのお母さんを呼んだらしい。 

「なんで知ってるの」 

ぼくたち、カリンちゃんより後の発表だったからね。終わって舞台袖に下がったら、カリンちゃんのお母さん来てて先生とそんな話してた。」 

 なずなちゃんの質問質問あらたくんはよどみなく答える。 

「カリン、ヘコんでた?」 

 わくわくしながら、ユイがたずねる。 

「あーもーベッコベコだったね。ヘコむってレベルじゃない。くだるってかんじ」 

 春人はるとくんが眉間みけんにシワをせながらそうはなす。 

「えぇ…」 

 つい、かわいそうに思ってしまっていると、新くんはつづけた。 

「昔、じゅくバッグのそこから出てきたルマンドくらいひどかった」 

「もったいな」 

「ちゃんと食べたよ、弟が」 

「弟に押しつけんなよ」 

 六人でわいわい話している中、聞いたこともない低い声がひびく。 

「…腹立はらたつ」 

 ぎょっとしてホノカを見たら、けわしい表情ひょうじょうをして、ちょっとなみだぐんでいた。 

「カリン、だれかれかまわずあんなに意地悪しておいてさぁ!ちょっとやり返されただけで泣いて早退ってなんなの!?」 

「………」 

 ホノカの声が大きかったので、クラス中がしんとなってしまった。 

我慢がまんしてないで、さっさとカリンにやり返せば良かった!」 

「まぁでも…それは今だからできたことで…」 

 わんわん泣き出すホノカをユイがなだめる。 

「そうだよね、だってカリンちゃんだけがてきじゃなかったんでしょ?鈴奈ちゃん以外、カリンちゃんに命令めいれいされたら全員自分を無視むししてきたんだから」 

 なずなちゃんがズバリ。うぐっ…とホノカは声をまらせる。 

「あの…本当に今までバカなことしてごめんなさい…なずなちゃんにも、ユイにも、あと鈴奈には一番悪いことした…」 

「…もう、前にあやまってもらったからいいよ」 

 わたしが「ね?」と言ってなずなちゃんを見たら、彼女もうなずいた。 

「ユイには謝ってなかった。おたがさまみたいな気でいたけど、それは良くなかった…本当にごめんなさい…」 

「それならわたしもだから!ごめんなさい、ホノカ」 

 ユイも泣き出してしまったので、わたし達はただ見守っていた。すると、 

「ねぇ」 

 女子がみんな集まってきた。 

「わたし達にも、謝らせてほしい」 

「え…」 

 わたしがキョトンとしていると、春人くんと新くんがずいっと前に出た。 

「は?今さら何?」 

「謝られたからって、悲しかった気持ちも嫌だった気持ちも消えないって分かってるよね?自分だって同じことされてるんだから」 

「分かってる…」 

ゆるしてくれなくていいの、でも、自分がバカなことをしたって今は分かってて、もうわけなかったって思ってることだけ、知ってしい…」 

 みんなは口々くちぐちに自分の気持ちをつたえてきた。わたしはそれにたいして、大した感慨かんがいはわかなかった。ただ、そうなんだと思うだけだ。 

「わたしは同罪どうざいだから、おたがい謝りあってまた仲良くできたらうれしい」 

 ユイが口を開く。 

「わたしも…」 

 ホノカが続けてそう言った。 

「わたしはどっちでもいい」 

 なずなちゃんは心底しんそこめんどくさそうにため息をつく。今さら仲良くしたくはないけど、ゆるす許さないで問答もんどうするほどうらんでもないようだ。 

  

 わたしは、どうなんだろう? 

  

 ぎゅっと目をつぶって、過去かこり返る。わたしだけが誰のことも無視も意地悪もしなくて、だけどそれに誠実せいじつこたえてくれる人はいない日々ひび。それは、当たり前に思っていたけど、結構辛けっこうつらかったかもしれないな。でも… 

  

「そうだねぇ、『終わりをまよわずに受け入れること』かな。新しいスタートを切るチャンスをのがさないで」 

  

 リゼさんの声が頭の中にひびく。 

 そうだ、これで終わりにするんだ。無視とか意地悪とかばっかりの、くだらない女子の関係を。
 それで、切るんだ。新しいスタートを。 

  

「…みんなにされたことを許す許さないとかは、正直分かんない。でも、元々わたしは意地悪しあって悲しい思いをする人が出るのが嫌だったの。だから自分は無視しなかった。」 

 すぅっと、息をってく。 

「だからもう、こんな風にギスギスした関係はやめたい。みんな普通ふつうに話して、遊びたい人同士どうし遊んで、腹が立つことがあったらちゃんと話し合おう?」 

「鈴奈ちゃん…!」 

 なぜかなずなちゃんがきついてきた。そして新くんが拍手はくしゅし始める。 

「ちょっ、やめて、なぞの拍手…!」 

 ああ、他の男子たちまで拍手し始めた。ペンライト振ってるやつもいるー。完全かんぜんにノリでしょ。 

「…ありがとう、本当にごめんなさい」 

 その後、わたしとなずなちゃんは一人一人謝罪しゃざいをされた。中にはココとマキもちゃんといて、ちょっと驚いた。 

  

 こうしてわたしのクラスは、卒業そつぎょうまでのこり四カ月でようやく正常せいじょうな人間関係をきずけるようになったのだった。 
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