【完結】占い館のチョコレート

四季苺

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占い館で恋愛相談

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「クリスマスもじゅくとか、終わってる…」 

「ほんとだよ、青春真せいしゅんま只中ただなかなのに…」 

 塾からの帰り道、新くんとなずなちゃんはブツブツと愚痴ぐちをこぼしていた。チラホラと電飾でんしょくをつけている家やお店があって、あぁそんなシーズンなんだなぁと思った。 

「え?青春って高校生からじゃないの?」 

 そう言うと、二人は眉間みけんにシワをせてわたしを見つめる。 

「どういう定義ていぎ…」 

「もしや恋愛れんあいも高校生から?」 

 ヒソヒソと何か話し合っている。 

「え、なに?」 

 わたしも会話かいわに入ろうと近付ちかづくと、二人は突然とつぜん手をせわしなく動かす。なんか見たことある、あれ、甲子園こえしえん野球やきゅう監督かんとくがやってるやつだ。 

「鈴奈ちゃん、わたし先にかえるね!」 

 突然とつぜんなずなちゃんが走り出す。 

「えっ!なんで!?」 

 いかけようとしたところを新くんに止められた。 

「鈴奈ちゃん、話があるんだ…」 

  

「えー!やるじゃ~ん」 

「ねー!頑張がんばったよね、あらたくん」 

 占い館のテーブルに向かい合って、なずなちゃんとリゼさんはがっていた。 

「ひどい…」 

おこらないでよ、鈴奈ちゃーん」 

 わたしがテーブルにしてむくれていると、なずなちゃんが頭をワシャワシャしてくる。 

「なずなちゃんは知ってたんだ…新くんがわたしをどう思ってるか…昨日告白こくはくするつもりだったのかも…知ってて教えてくれなかったんだ…」 

「人の好きな人、勝手かってに教えちゃったらダメでしょ」 

 じめじめしてるわたしに、リゼさんがズバリと言う。 

「そうかもしれないけど…でもびっくりして困ったし…前もって知っていたらもうちょっと…」 

「え、今まで全然気付ぜんぜんきづかなかったの?ノーアプローチでいきなり告白?」 

 リゼさんがおどろいたような声を出す。すると、突っ伏している後頭部こうとうぶに風を感じた。顔の向きだけ変えてチラリと上を見たら、なずなちゃんがはげしく首を振っている。 

「すっごい、滅茶苦茶めちゃくちゃ、アプローチしてた!」 

 なずなちゃんはリゼさんの耳に口をせて小さな声で言った。 

「聞こえたし…」 

「でも気づかなかったんだ?」 

「だって…わたしのことをそんな風に思う人がいるなんて思わなかったんだもん…そもそも、恋愛は高校生からだし…」 

「え?日本はそうなんだ?」 

「ちがう、ちがう」 

 また風を感じる…。 

「どうしたらいいの…」 

「新くんはなんて?」 

 リゼさんは椅子いすをひいて、わたしの側によって座ってくれた。 

  

 昨日、新くんはわたしにクリスマスプレゼントをくれた。可愛かわいくラッピングされたふくろを開けると、木製もくせい砂時計すなどけいが入っていた。 

「紅茶をれる時に使えると思って」 

 右手を頭の後ろにやりながら、新くんは言った。れた時のくせだって、長い付き合いのわたしは知っている。 

「えっ、ありがとう!ちょうどしかったの!」 

 リゼさんに淹れ方を教わって紅茶にハマったわたしに、冬兄がガラスのティーセットを買ってくれると約束している。茶葉ちゃばはお姉ちゃん、ティーストレーナーはひぃ兄が。卒業そつぎょう入学にゅうがくのおいわいだ。 

 でも、紅茶のらし時間を計る砂時計は誰とも約束やくそくしていない。だから、とってもうれしかった。 

「でも、ごめんわたしなんにも用意よういしてなかった…。今度こんどなにかお返しする」 

「お返しはいいよ、僕があげたかっただけだから。でもお返事へんじは欲しいかな」 

「…え、なんの?」 

  

  

「ワーーー!!!回想終了かいそうしゅうりょう!終・了!!」 

 思い出しただけでずかしい!わたしはテーブルに突っ伏したまま足をジタバタさせる。 

「いや~、甘酸あまずっぱいねぇ。リゼさん話聞くだけで若返わかがえっちゃうわ~」 

「いや、その先をくわしく!」 

 なずなちゃんはわたしの背中をゆさゆさと揺さぶった。

「…好きって言われた。恋愛対象れんあいたいしょうとしてみてって。あと、受験前じゅけんまえにこんなこと言ってごめんって」 

「あ~たしかに。勉強べんきょうの時、気がっちゃうよね」 

「ホントだよ…どうしてくれるの…」 

 なずなちゃんはきゅうだまってしまう。 

「ん?どうしたの?」 

「…あぁ、えっと、言うべきかまよってることがあって…」 

「教えてよ」 

「…うーん、まぁいいか。あのね、鈴奈ちゃん。新くんは翠陵すいりょう杜野宮もりのみや両方受験りょうほうじゅけんするんだって」 

「え?うん、わたし達もそうだよね」 

 本命ほんめいは翠陵だけど、練習とすべり止めのために杜野宮も受ける。 

「そうだけど、新くんは鈴奈ちゃんにフラれたら鈴奈ちゃんとは別の中学に行くって決めてるらしいよ」 

「…えっ…」 

 思わず顔を上げてなずなちゃんを見ると、ちょっと悲しそうな表情ひょうじょうをしていた。冗談じょうだんなんかじゃなく、本当の話なんだ。 

「はー、まぁフラれたら気まずいよね。でも、学校分けるほどかな?」 

 リゼさんは首をかしげる。 

「鈴奈ちゃんのこと、あきらめられないからだって。ことわられたのにずっと鈴奈ちゃんをおもってたら鈴奈ちゃんをこまらせちゃうって言ってた」 

「えぇ…」 

「でもわたしも、鈴奈ちゃんが新くんを好きじゃないなら一緒の中学行かないほうがいいと思うよ?新くんが近くにいたら鈴奈ちゃんは絶対ぜったい、新しい恋ができないもん」 

「それはなんで?」 

 リゼさんが代わりに尋ねてくれる。 

「だって、今だって新くんは自分が鈴奈ちゃんを好きってこと明らかにして周りの男子を牽制けんせいしてるんだよ?中学でも鈴奈ちゃんに言いやからが出ないように阻止そしするに決まってる」 

 そ、そんなことしてたの!? 

 恥ずかしすぎる。 

「わ~、重いね」 

「もう、どうしたらいいの…。新くんを好きかどうかなんてわかんない。ずっと友達だと思ってたんだもん。中学だって、きっと一緒に行けてこれからも楽しくごせるって思ってたのに…恋じゃないならはなれていくなんて、さびしすぎる」 

「じゃあ、そのままそうつたえたら?」 

 リゼさんはさらりとそう言った。 

「え?返事にならないけど、いいの?」 

「うん、いいと思うよ。ようするに、まだめられないからっててっていう返事へんじになるのかな?それで、返事がどうであっても中学を分けるのは寂しいって言ってもいいんじゃない?」 

「新くんを困らせないかな?」 

「それはあたしにはわかんない。でも、ちゃんと思ってることを伝えて話し合うんだよ。恋愛だって、コミュニケーションなんだから」 

「そっか…」 

「うんうん、そうだね。よく考えて決めてあげて。勉強もあるしさ、新くんがいいなら受験が終わってから考えてもいいんじゃない?」 

 なずなちゃんも、リゼさんの意見に賛成みたいだ。 

「それがいいかも…」 

「じゃあ、一応いちおうこの話は一段落ひとだんらくかな?そろそろなずなちゃんの持ってきてくれたケーキ食べようよ~!」 

「あ!そうだね!」 

 今日は一日遅いちにちおくれのクリスマスパーティーをしようと集まったんだった。なずなちゃんのお母さんが作ってくれたいちごたっぷりのケーキに三人で歓声かんせいをあげる。 

美味おいしそう!」 

「あたし、お茶いれてくる!」 

「じゃあ、他のお菓子もならべておくね」 

 美味しそうなお菓子を前にしたら、さっきまでのなやみもどこかへんでいってしまった。もちろん、ちゃんとお返事は頑張がんばるけど、今はただパーティーを楽しんでいたいと思った。 
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