刺激を求めて

夢咲忍

文字の大きさ
12 / 13
第12章

三人娘

しおりを挟む
 竹内姫華は痴漢に遭った翌日、大学を休んだ。坂口美和と今井楓は心配し、一緒に大学を休み姫華に会うことにした。


 今井楓は大学に進学してからアパートで一人暮らしをしている。そこに3人は集まった。和室6畳とダイニングキッチンの約6畳が付いていて、トイレと浴室が別に付いている。築20年を過ぎていて、新しいとは言えない。


 昼ご飯前に3人で集まって、ランチはコンビニで買ってきたものを楓のアパートで食べた。


 楓は

「姫、昨日のことは忘れるしかないよ。」

と言う。姫華としては簡単に忘れられるものではないと思っている。美和も楓同様

「そうだよね。姫は彼がいるんだから、これから楽しいこといっぱいあると思うし、忘れられると思うよ。すぐには無理だと思うけどさ。」

姫華は無言だ。

楓は続ける。

「そうだね。すぐには無理だと思うけどさ。所詮男はさぁ、自分が気持ち良ければいいって思ってる奴が多いんだよっ!」

と言った。姫華は微妙な表情をした。修平はそうではないと思いたい。でも大半の男はそうなのかなぁ、とも思った。

 楓は

「セックスってさぁ、入れる方と入れられる方で、棒と穴になってるから男と女でするけどさぁ、ただそれだけなんじゃない?」

と言った。直接的な言い方ではあるが、2人には意味が解らなかった。

「私が言いたいのはさぁ、棒なんてチンチンじゃなくてもバイブでも指でも何でもいいわけさ。極端に言えばチンチン入れなくても気持ち良くなれるんじゃない?ってこと。」

美和は

「ん?何が言いたいの?」

と突っ込む。

楓は

「私さぁ、前に美和に『エッチってすごく気持ちいいよ。美和もそう思える時が来るよ。凄いんだから!もうエッチならずっとしてたいって思っちゃうから!』って言ったんだけど、覚えてる?あれってさぁ、半分嘘だったの。ごめん。気持ちいいんだけど、彼がすぐ終わっちゃうから、続きはオナニーでさぁ…。オナニーはずっとしてたいと思うほど気持ち良くなってるの。」

楓は仕切り直すように

「えっとね、だからさぁ、男の勝手にはさせちゃダメってこと。必ずしも女は男を必要としないって。」

と答えた。

美和は

「んー、それはそうねぇ。」

と言った。

楓は言っておきながら頭の中で整理が出来ていないようだ。言語化は難しい。

「んー、女は男のためのセックスマシーンではないということ。」

と言って、少しスッキリした表情になった。

姫華と美和はうんうんと頷いた。

 楓は2人に問いかけた。

「姫華も美和もオナニーしたことあるよね?」

と。2人とも

「…」

答えるのが恥ずかしかった。

「何恥ずかしがってるのよ。ここでの話は他で絶対しないわよ。」

と楓は言った。

「私なんかエッチの後に毎回よ。彼にいかせてもらえなくてね。」

と楓は笑いながら言った。

 そして問いかけは続く。

「ところでさぁ話は変わるんだけど、浮気ってどこからだと思う?嫉妬ってさぁ、どんな時にする?」

2人は

「んー」

と考えた。そのまま楓は続ける。

「私はね浮気ってキスからだと思うの。2人で食事したりでも、異性だと仲良く話してるだけでも嫉妬はするけど。」

美和は

「んー、まぁ、そうね。わかる。」と。

楓は

「同性だったらどう?」

2人は同時に

「嫉妬はしないかな。」

と答えた。

「なんで嫉妬しないの?」

と楓は切り返す。2人は

「え?」

と。質問の意図が解らない。

 楓は

「それは恋愛感情がないだろうと思うからじゃない?じゃあ、恋愛感情があったらどうなんだろうね。」

と言った。2人はまた難しい表情になる。

 楓はひとこと。

「多様性ってやつよ。誰が誰を好きになるか分からないじゃない?見た目が男性か女性かでも心の中は分からないし、同性を好きになることもあるし。」

と言った。2人はうんうん、と心では分からないところはあるが、納得はした。多様性とは何とも難しいことを言い出した楓だった。

 多様性…

色々なパターンがあるから決めつけてはいけないということか。

 楓は言った。

「私ね、何だか最近彼のセックスマシーンになってる気がするの。優しくて面白いところはあるけど、愛を感じないと言うか…。別れようと思ってる。さっきも言ったように私はね、オナニーすれば十分だし。男は別にいいかなって。」

とサバサバと話した。

美和は

「そっか。私はどうなんだろうな。愛されてはいるかなぁ…」

姫華は頷きながら

「うん、私はね大事にしてくれてるよ。昨日も事件まではすごく楽しかったの。」

 楓は「その楽しかったこと、聞きたいなぁ」

と笑顔で言った。姫華は

「私はね、前から店長のことが好きでね、それでバレンタインデーの翌日に告白したの。そしたら歳の離れた妹みたいって言われたんだけど、付き合ってもいいって言ってくれて。色んな所に食事に行って、昨日もオシャレな所に連れて行ってくれた。」

楓は聞いていながらも気になったことを口にした。

「どこまで進んだの?」

と。姫華は

「キスまでよ。」

と素直に答えた。楓は

「すぐに身体ばかりに来ないところが大人って感じがするねぇ。大事にされてるんだね。うちとは大違いだよ。」

と言い、皆で笑った。

楓は

「美和はどうなの?」

と美和に話を振った。

「んー、私は彼と上手くいってると思う。大事にしてくれるし、エッチの時も優しくしてくれるし。気持ち良さも分かってきた。」

と美和は真剣に答えた。

 楓は

「2人ともいいね。順調だね。私は私で、これからを楽しもうと思う。これからも2人のこと聞かせてくれる?私に気を遣うことないからね。」

と明るく言った。

 姫華は前日のことを忘れたわけではないが、楓の明るさに助けられた気がした。

 そして、楓は2人に提案したのだ。

「今度3人で温泉にでも行かない?」

と。2人は

「いいね!」

と即答した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんとの親子丼をちょっと書きたくなっただけです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

処理中です...