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運命の舵輪編
追憶編8
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ちなみにセラフィムは表向き、私立の進学校と言う事になっています(一応、セラフィム自体が余り大っぴらに出来る組織ではないので・・・)。
校舎はルテティアの街中にあり、生徒達も自由に街中に繰り出すことが出来ます。
ただし、何があっても自分や他人の身分を明かすことは許されておらず、もしこれを破った場合は直ちに罰則の適応対象となります(事情により情状酌量の余地はあります)。
ーーーーーーーーーーーーーー
年が明けて蒼太が12歳、メリアリアが14歳となった、5月の中旬。
その日は夕方から、非公式ながらセイレーン内部に置ける大規模演習が予定されていた。
セイレーンに所属している生徒達は皆、訓練用の装束に身を包み、初等部、中等部の連合組対高等部生に分かれて町中で対戦を行う。
隠れ身の魔法を使うか、屋根から屋根へと飛び移るか、はたまた一般人に交じって各所を移動するかして相手となる生徒を見つけ、そこで対戦を行うのだ。
勿論、殺傷力のある武器や技を用いてはならず、また無関係の人間を絶対に巻き込んではならない、と言う中々に難易度の高いシミュレーションであったがこれが意外と人気があり、毎年のように行われている伝統的な一戦だった、しかしー。
その年の模擬戦は、それまでのモノと勝手が違っていた、何故ならこれこそが、メリアリア達の待ち望んでいた好機であったからだ。
演習が行われる事は周知されていた事だったから、この時ならばある程度、派手に動いても誰からも注目はされない。
よしんばクロード達に見付かってしまっても、特に怪しまれずに行動が出来る上に捕縛も容易く行える、まさに絶好の機会と言えた、言えたがしかし。
メリアリアには、ある1つの懸念があった、あの幼馴染みの少年の事だ。
恋仲になってからと言うもの順調に関係を発展させて来た二人であったが蒼太はクロードにも比較的近い立場にいた、メリアリアが何度か直談判して言い聞かせた為に、今は取り敢えず距離をとってはいるモノの一時期はお気に入りだった事もあった。
今回のターゲットには入ってはいないモノの、それでも事と次第によっては捕縛の対象くらいにはなるかも知れなかったから、メリアリアにとっては気が気でなかった。
「蒼太は、そんな人じゃないわ!!」
この一連の騒動が始まる、少し前のこと。
まだクロードの正体が判明せずに、それでも何か胡散臭いモノを感じていたメリアリア達は秘密裏に集まって“女王の評議会”を開いていた。
その時に少年の事が議題に挙がった事があって、メリアリアが必死に弁護したのだ。
「事情を説明すれば、蒼太はきっとこちらに来てくれる!!だから彼には手を出さないで!!!」
私が説得するからと、そう言って彼を守ったのである、ただし。
女王位の中にはそれを余り快く思ってはいない存在もいて事態がどう転ぶかは、フタを開けてみなければ解らない状況下となっていた。
そしていよいよ、その時は来た、予てよりの計画に基づいて、メリアリア達女王位とその賛同者達は一斉に行動を開始した。
「くそっ!!」
正体の露見したクロードは毒を飲んで自殺、その恋人のルキナもまた逮捕、起訴されて秘密裏に裁判に掛けられる運びとなった。
そして、蒼太はー。
「な、なんなんだよ。これは・・・!!」
まさにこれから、セラフィムの演習場から街へと向けて繰り出そうとしていた矢先、いきなり友人や知人連中が次々と逮捕され、或いは制圧されて行くのを見て彼は一目散に逃げ出したのだ。
それは無理からぬ事だと言えた、蒼太からすれば突然、味方である筈のセイレーンの生徒達に、それも恐らくは本気で襲われ始めた為に、兎にも角にも彼らから一旦、距離を置き、まずは状況を見定めようとした。
「・・・くそっ!!」
メリーの所に、行かなきゃと、彼女も連れ出さなくてはならないと、考える蒼太だったがちなみにこの時点での彼はまだ、クロードが工作員だった事も、事が露見した為に服毒自殺をした事も知らなかった、ただ身に付けていた携帯用無線機から“クロードをやった”と言う旨の無線が入った為に、“彼がやられたのだ”と言う事は理解できた、そしてー。
“作戦は成功だ!!”
“直ちに女王達に連絡しろ!!”
続けざまに入って来た無線で彼は、相手の正体を悟ったのである、即ちー。
“メリアリア達がやったのだ”とー。
不思議と追撃は無かった(蒼太は捕縛対象では無かったから、当たり前と言えば当たり前だったのだが・・・)、彼は運良くと言うべきか、何と言うべきか、取り敢えず騒動の合間を縫って演習場から街へと飛び出し、そしてクロード達が“緊急避難場所”だと言って教えてくれていた、旧市街地にある“古の教会”へと向けて逃避行を続けていたのだ。
そしてー。
その途上で、崩落に巻き込まれてしまい、そこから先の消息は不明となってしまったのだった。
校舎はルテティアの街中にあり、生徒達も自由に街中に繰り出すことが出来ます。
ただし、何があっても自分や他人の身分を明かすことは許されておらず、もしこれを破った場合は直ちに罰則の適応対象となります(事情により情状酌量の余地はあります)。
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年が明けて蒼太が12歳、メリアリアが14歳となった、5月の中旬。
その日は夕方から、非公式ながらセイレーン内部に置ける大規模演習が予定されていた。
セイレーンに所属している生徒達は皆、訓練用の装束に身を包み、初等部、中等部の連合組対高等部生に分かれて町中で対戦を行う。
隠れ身の魔法を使うか、屋根から屋根へと飛び移るか、はたまた一般人に交じって各所を移動するかして相手となる生徒を見つけ、そこで対戦を行うのだ。
勿論、殺傷力のある武器や技を用いてはならず、また無関係の人間を絶対に巻き込んではならない、と言う中々に難易度の高いシミュレーションであったがこれが意外と人気があり、毎年のように行われている伝統的な一戦だった、しかしー。
その年の模擬戦は、それまでのモノと勝手が違っていた、何故ならこれこそが、メリアリア達の待ち望んでいた好機であったからだ。
演習が行われる事は周知されていた事だったから、この時ならばある程度、派手に動いても誰からも注目はされない。
よしんばクロード達に見付かってしまっても、特に怪しまれずに行動が出来る上に捕縛も容易く行える、まさに絶好の機会と言えた、言えたがしかし。
メリアリアには、ある1つの懸念があった、あの幼馴染みの少年の事だ。
恋仲になってからと言うもの順調に関係を発展させて来た二人であったが蒼太はクロードにも比較的近い立場にいた、メリアリアが何度か直談判して言い聞かせた為に、今は取り敢えず距離をとってはいるモノの一時期はお気に入りだった事もあった。
今回のターゲットには入ってはいないモノの、それでも事と次第によっては捕縛の対象くらいにはなるかも知れなかったから、メリアリアにとっては気が気でなかった。
「蒼太は、そんな人じゃないわ!!」
この一連の騒動が始まる、少し前のこと。
まだクロードの正体が判明せずに、それでも何か胡散臭いモノを感じていたメリアリア達は秘密裏に集まって“女王の評議会”を開いていた。
その時に少年の事が議題に挙がった事があって、メリアリアが必死に弁護したのだ。
「事情を説明すれば、蒼太はきっとこちらに来てくれる!!だから彼には手を出さないで!!!」
私が説得するからと、そう言って彼を守ったのである、ただし。
女王位の中にはそれを余り快く思ってはいない存在もいて事態がどう転ぶかは、フタを開けてみなければ解らない状況下となっていた。
そしていよいよ、その時は来た、予てよりの計画に基づいて、メリアリア達女王位とその賛同者達は一斉に行動を開始した。
「くそっ!!」
正体の露見したクロードは毒を飲んで自殺、その恋人のルキナもまた逮捕、起訴されて秘密裏に裁判に掛けられる運びとなった。
そして、蒼太はー。
「な、なんなんだよ。これは・・・!!」
まさにこれから、セラフィムの演習場から街へと向けて繰り出そうとしていた矢先、いきなり友人や知人連中が次々と逮捕され、或いは制圧されて行くのを見て彼は一目散に逃げ出したのだ。
それは無理からぬ事だと言えた、蒼太からすれば突然、味方である筈のセイレーンの生徒達に、それも恐らくは本気で襲われ始めた為に、兎にも角にも彼らから一旦、距離を置き、まずは状況を見定めようとした。
「・・・くそっ!!」
メリーの所に、行かなきゃと、彼女も連れ出さなくてはならないと、考える蒼太だったがちなみにこの時点での彼はまだ、クロードが工作員だった事も、事が露見した為に服毒自殺をした事も知らなかった、ただ身に付けていた携帯用無線機から“クロードをやった”と言う旨の無線が入った為に、“彼がやられたのだ”と言う事は理解できた、そしてー。
“作戦は成功だ!!”
“直ちに女王達に連絡しろ!!”
続けざまに入って来た無線で彼は、相手の正体を悟ったのである、即ちー。
“メリアリア達がやったのだ”とー。
不思議と追撃は無かった(蒼太は捕縛対象では無かったから、当たり前と言えば当たり前だったのだが・・・)、彼は運良くと言うべきか、何と言うべきか、取り敢えず騒動の合間を縫って演習場から街へと飛び出し、そしてクロード達が“緊急避難場所”だと言って教えてくれていた、旧市街地にある“古の教会”へと向けて逃避行を続けていたのだ。
そしてー。
その途上で、崩落に巻き込まれてしまい、そこから先の消息は不明となってしまったのだった。
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