メサイアの灯火

ハイパーキャノン

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運命の舵輪編

メリアリアside1

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「はうううっ!?蒼太っ、蒼太あぁぁっ!!」

 彼が仕事へと赴いている最中に、メリアリアは自慰に耽る事が最近の日課と化していた、その際に彼女が使うのが、彼が前日まで来ていた仕事着か、もしくは普段着だ。

 中でも一番良いのは稽古着だ、自分の大好きな男の体臭と汗の匂いが余す事無く染み込んでいるため、自慰には打って付けのアイテムだった。

 ちなみにメリアリアは元々、それほど性欲の強い方では決して無かった、それどころか子供の頃から頭の回転が速くて理知的な、自分をちゃんと律する事の出来る芯の強い少女であったのだ。

 そしてそれは大人になってからも変わる事は無かったのだが唯一、例外と言える場合と言うか状況が存在していた、蒼太と一緒にいる時がそれだ。

 事の起こりは彼女が8歳になって、暫く経ったある日の事、例の三人組のリーダー格を、蒼太が曲がり形(なり)にも打ち破ってから少し経った頃の事だ。

 その時から既にこの幼馴染みの少年への、ある種の興味というか執着を持って接するようになっていた彼女は、何だかんだと理由を付けては彼を良く、遊びや勉強へと誘うようになっていた。

 要するに自分と同じ時間を過ごさせるようにしていたのであるが、今にして思えばこの頃から、既に彼女は蒼太に対して淡い恋心を抱いていたのかも知れなかった、何故ならば二人でいると、否、一人でいる時ですらも蒼太の事を考えると胸が苦しくなって来て、ドキドキとして来て不思議と気持ちが高揚して来て。

 とても幸せな心持ちになれたし、自分でもどうしようも無い位にまで彼の事を求めて求めて止まなくなってしまっていたのだが、裏を返せばそうで無ければ、如何に幼馴染みだとは言っても男女で性別の違う二人が、はたまた学年も違う二人がわざわざ行動を共にする事など(ついでに言えば何かにつけて女子が男子を誘うなど)、有り得ない事だったろう。

 現に彼女の蒼太に対する思いや行動は強まって行くばかりだった、些か話が前後するモノの蒼太がエルヴスヘイムへと召喚されてこっちの世界で2、3日の間(実際には向こうで3週間程過ごして来た訳で有るが)、行方不明になってしまった事があったがその際、メリアリアは心配の余りに親にも友達にも内緒で自分達がたまに遊びに行っていた、ルテティア郊外の森の中まであちこちと彼を捜して回った事があった。

 “もしかしたなら蒼太はここで道に迷ってしまったのかも知れない”、“帰れなくなってしまったのかも知れない”と、そう思ったのである(事実はエルフの世界に行っていた訳で有るが)。

 そんな訳であったからだから、彼が無事に帰って来てからは一層、その行動を蒼太と共にするようになって行った、勿論、他の友達と遊んだ事もあるにはあったし、時には喧嘩をした事もあったけれども大抵は蒼太が先に謝って、メリアリアも直ぐに謝り返して仲直りして、そして二人はまた一緒の時を過ごす、それがお決まりのパターンとなっていったのだ。

 蒼太と一緒に居られる間は本当に楽しくて楽しくて、嫌な事など全てを忘れていられた、自分でもどうしてそうなのかは解らなかったけれど、とにかく彼と過ごす時間は彼女の中では掛け替えのないモノへと変化して行ったのだ。

 “もっと蒼太と一緒に居たいな”、“一緒の時を過ごしていたい”、と言う幼心に宿る原初の、精神的欲求に端を発したそれはしかし、次第に彼女の中では掛け替えの無い程に、そして比類無き程までに凄絶なモノとなって行った、心の底の底の底、その更に奥深い領域から絶えず沸き上がって来る、自分でも抑えが効かない位に、自分で自分をどうにかしてしまいそうになる程の、想像を絶するまでに強くて激しい、確かなる衝動。

 それを覚え始めた彼女は自分を滅茶苦茶にしてしまいたくて、同じ位に蒼太を滅茶苦茶にしてしまいたくて、そしてその上で二人で一つになりたくて、滅茶苦茶になってしまいたくてどうしようもならなくなってしまって。

 とうとう我慢する事が出来なくなって遂にある時、その思いの丈に突き動かされるようにして一線を越えてしまうモノの、自身が9歳になった折、自宅に遊びに来ていた蒼太を自室へと連れ込んで目を閉じさせると、メリアリアはこの2歳年下の幼馴染みの少年に、自身初となるキスを捧げたのであった。

 それは“バードキス”と呼ばれているモノであり、本当にキスの初心者向けの、前段階みたいなモノだったけど、それでも。

 その時のメリアリアにはそんな事は解らなかったし関係も無かった、“年下だけど、王子様みたいに思っている子と”、“気になっている子とキスしちゃった”、それがその時のメリアリアの全てだった、無味無臭だったはずのそれは何故だかとても甘くって、幸せの味がした、胸が悦びと恍惚感とでいっぱいになってしまった。

 そしてそれは蒼太にとっても同じ事だった、彼もまた、メリアリアの事を(時折、ちょっと恐いときもあるけれど、それでも)“お姫様”みたいに思っていたのだ、だからとても嬉しいことだったのだがその日を契機として。

 蒼太とメリアリアは、その後も二人きりで会う度にいつも互いを抱き締めては口付けを繰り返すようになって行った、最初は本当に他愛も無い、粘膜同士のちょっとした接触でしか無かったそれは、程なく口元まで貪るような激しいモノへと変化して行き、終いにはどちらともなく舌を絡めて唾液を混ぜ合い啜り合う、大人の行うディープなキスの、その真髄とも言える領域にまで到達するに至っていたのだ。

 そうしている内に。

 メリアリアの身体に、更なる異変が起き始めてきた、蒼太にしっかりと掻き抱かれたまま激しいキスを受け続けていた彼女の股間がジンジンと疼いて熱を帯び、何だかその辺りが潤んで来たように感じたのだ。

「んむちゅるっ。じゅば、ちゅるっ。レロレロレロ、クチュッ。じゅるるる、じゅるるるるるるるる~っ♪♪♪♪♪」

 だが当のメリアリアはそんな事はお構いなしに、ただただただただ、彼との口付けに夢中になっていた、それが一段落して、後でパンツを見た時に、クロッチの部分が湿っている事に気が付いた、彼女は9歳と半年にして初めて“濡れる”と言うことを経験したのである、そしてー。

 それ以降、機を見つけては自分でそこを触るようになっていった、自慰行為に耽る際の、この少女の頭の中はいつも蒼太の事でいっぱいだった、彼と裸になって抱き締め合いながらキスをして、更にはー。

 そのオチンチンを、自分のここへと押し付けて、擦り付け続ける。

 すると一体、どうなってしまうのだろうと考えてゾクゾクとしてしまっていた、まだ年端は行っていなくとももうすぐ10歳になる女の子には、それが何を意味する行為なのかは充分によく解っていた、凄く恥ずかしい事なのも、いけない事なのも解っていた、特にメリアリアは恥じらいを知っていたから余計にそうだった、だけど。

 それを好きな人と二人きりで、裸になって行う事が、どれだけ気持ちが良くて大切な事なのかも、どれだけ得難くて悦ばしい行為なのかも“感覚的に”理解していた。

(恥ずかしい、でも蒼太になら・・・!!)

 と言うよりも“蒼太としたい”と、ハッキリとメリアリアは思った、思うようになって行った、自分自身へと触れている内に、アソコを刺激し続けている内に今度は身体的欲求が物凄い勢いで肥大化してきた。

 “彼にもっと触れていたい!!”、“もっと触れて欲しい!!”、“もっと深く繋がり合いたい!!”ー。

 そう言う思いと同時進行で、“彼の身体ってどうなっているんだろう?”と言う知的好奇心が顔を覗かせて来た、そしてそれにも後押しされる形となって、ついに“二人っきりの秘密の遊び”を行うようになって行った。

 まだセラフィムの学生寮に入る前は自宅の自分の部屋の中へと彼を招き、そして寮に上がってからはそこで、或いはトイレの中で、はたまた誰も来ない時間帯に女子更衣室の中へと蒼太を招き入れ、そこで裸になって抱き合ったり、何度となく口付けを交わしたり。

 終いには性器同士を押し付け合い、擦り付け合うようにするモノの、初めて彼の男根を見たメリアリアは驚きの余りに絶句してしまった、自分よりも年下の筈の、無垢な少年のイチモツは固く大きく膨れ上がり、そそり立ったままピクピクと震えていた、まだ8歳になる前の蒼太のアソコはそれでも、勃起した時の長さが既に10cmを超えており太さも2cm半位はあって、匂いもかなりキツかった。

「蒼太、寝て?」

 最初は立ったままで擦り合いをしようとしたメリアリアだったが意外と上手く行かなかった、だから今度は寝かせたり、トイレで行う場合は便座に座らせたりしてその状態から自分が上から跨がるようにして彼の腰掛けて、そのままグッ、グッとグラインドを始める。

「ああん、蒼太っ。蒼太ぁっ!!」

「メリー、メリーッ!!」

 ようやくペースを掴んだ二人のペッティングは勢いを増して行き、互いを抱き締め合ったまま、汗だくで腰を振りたくる。

 溢れ出して来た愛液が潤滑油となって摩擦を助け、行為を一層助長させた。

 やがてー。

「あぁぁぁあああぁぁぁぁあああああっっっ❤❤❤❤❤」

「うあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」

 まだ少年と少女とは思えない絶叫を迸らせて、二人は軽めの、だけどその年頃にしては充分に重いアクメに昇り、身体を芯から戦慄かせる。

 メリアリアの甘酸っぱい汗の匂いと、蒼太のしょっぱい体臭とが周囲に強く漂った。

 股間からは濃厚な男女の風味を交えた空気がムワッと立ち上って来て、それが鼻腔を突くと再び興奮に火が付いた。

「はあはあっ。蒼太、蒼太あぁぁっ❤❤❤」

「メリーッ、メリーッ!!」

 二人はその後も擦り合いを続けて結局その日、互いの股間に互いの匂いが染み込むまでに、やってやってやりまくった。

「はあはあっ、蒼太っ。蒼太ああぁぁぁっ❤❤❤」

 そんな二人が初めてを迎えて結ばれるまで、時間はそれほど掛からなかったがそれ以降、性に目覚めた蒼太の貪りは留まる事無く加速して行き、そしてそれに伴ってメリアリアの身体と心の開発も滞り無く進展して行った、二人の相性は抜群だった、肉体的なと言うだけで無くて性質や精神の相性も最高に良かったのだ。

 その例としてそもそも、蒼太には害意が無かった事が挙げられるが少なくとも変に尖った性癖を、彼は持ち合わせていなかった、最初から彼女(メリアリア)をどうこうしてやろうと言う思惑を持っていなかった事が幸いしたのだ、何故ならば一方のメリアリアは意地っぱりと言うか負けず嫌いな部分があったから、もしそうだったなら仮に、肉体関係を結べたとしても、お互いに傷付け合うだけに終始していた可能性が高かったのである。

 ただし。

 人間は皆、SとMの両気質を持っているとされており当然、蒼太もそうでしかも彼の場合は天然でドSな部分があった、だから。

 時折、悪戯心を起こしては彼女をまるで躾けるかのように激しく責め立てたり、かと思うと焦らしたりと言った動静の流れを巧みに使い分けて恋人の中に眠っていたM気質を徐々に目覚めさせて行ったのだが、そんなよく言えば優しくて、悪く言えば内向的で偏屈な所もある彼とのセックスは淡泊で単調なモノでは決して無かった、いつも色々な変化を付けては何処までも直向きに、そして執拗なまでに自分を求めて貪って来てくれる、そしてどんなに乱れようとも真正面からしっかりと受け止めてくれる、その真摯さと言うか暖かさが、メリアリアには堪らなく嬉しかった。

 何より。

 汚されてもいい、それでも愛すると言ってくれた、“自分が忘れさせる”とまで言ってくれた、あの一途さと強さと頼もしさとが、とても眩しくて愛しかったのだが、その一方で。

 そんな蒼太の愚直で一本気な彼の思いはメリアリアをして女の性(さが)に目覚めさせ、自身が向けるよりも遥かに強烈な愛情を、逆に彼へと向けて抱かせる結果となってしまっていたのだ。

「あうぅぅぅ、蒼太っ。あああああ~・・・っっ❤❤❤」

(はあっ、はあっ。はあぁぁぁ・・・っ。うふふふ、うふふふふふっ。蒼太、もう絶対逃がしてあげないわ。もう絶対に私のもの、私だけの蒼太・・・)

 一頻り、自慰行為に耽った後でメリアリアはそれまでに無く艶やかに、そして何処か妖しく微笑んだ。

 蒼太の全てを自分で満たす、もうそれ以上、何も考えられなくなるほどに。

 あの純真な蒼太の全てが欲しい、全てで愛されたい、全てで満たされたい。

 ・・・そして自分の全てをあげる。

(互いの全てを混ぜ合って、もうそれ以上無いほどに一つになりたい、解け合いたい!!)

 蒼太とグチョグチョになり尽くしたい、それももうこれ以上なれないほどにまで滅茶苦茶になって解け合って、重なり合って彼と愛し合う事しか、セックスする事しか考えられなくなっても良いと、そしてそれだけが何時までも何時までも続けば良いと、メリアリアはこの時、ハッキリと意識して、希(こいねが)うようになってしまっていたのである。

(いけない、いけない。いけないわ、そんな事を考えては。でもどうしてもあの人が、蒼太が欲しい、愛おしい!!)

 冷静と情熱の狭間でグチャグチャになりながらも、メリアリアはそれでも再び、蒼太の稽古着を顔に近付けると、右手を股間へと伸ばし、2回目となる自慰行為を再開させた。
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