メサイアの灯火

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神世への追憶編

第二次エルヴスヘイム事件4(“伝説の大和民族”と“光の波動真空呪文”)

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 蒼太君は普段、余程の事が無い限りかは人を“バカだ”とか“アホなのか?”とか断じません(ただし限界はあります、彼もまた人間なので・・・)。

 人は皆、誰も彼もがその人なりに一生懸命に生きている者である事を、そしてそれはとても尊くて光り輝くモノである事を知っているからです(それにそんな事をすればどれだけ人が傷付くのかを知っているからです、どれだけその人に対して失礼な事なのかを知っているからです)。

 だからもし、そんな蒼太君に“バカなのか!!?”と思われるとしたら、その人達は本当に・・・。
ーーーーーーーーーーーーーー
 蒼太の三人の花嫁達の中でも最もバランスが良くて戦闘的にも人生の伴侶と言う意味でも使い勝手が良かったのはメリアリアであった(多少、ヤンデレチックな側面は持っていたが)。

 特にその直感力、体捌き、そして魔法力を纏わせた上での鞭のしなやかで鋭い連続した攻撃能力の凄まじさは、“花嫁達”の中でも群を抜いていたのであり(“クエイクモード”のアウロラと“パルサーモード”のオリヴィアを除く)、殊に“超過活性(オーバードライヴ)”を用いての“絶対熱”による連係攻撃は見た目の鮮やかさと相俟ってその比類無き熾烈さは他の追随を許さないが、そんな彼女でも一つだけ、どうにもならない事があったのだ。

 それは。

(・・・この人が。夫が“神人化”して放つ砲撃神威“神風迅雷”。あれをやられたらもう、私にもどうする事も出来ない!!!)

 それであったがあの神威の誇る、想像を絶する程の威力と総エネルギー量の迸りは余人には決して真似の出来ない代物であり、それはまさしく類い稀なる体力と生命力、精神力と絶倫さを己の中に併せ持った、蒼太にのみ許された最高最後の必殺技の一つであった訳である。

 それはかつて“メイヨール・デュマ”が召喚した500メートル超の大きさで迫り来る超高速巨大隕石を瞬く間に破壊した挙げ句に“蒸発”させて見せた事からも明らかだったが、今にして思えばあれでも蒼太は威力を加減していたのであり、本気を出せばどれほどの凄絶さを発揮するのか解らない、最終極心の“対天体防御術式”だった訳であったのだが、しかし。

 “それ”に驚愕したのはメリアリア達“花嫁組”や“メイヨール・デュマ”を始めとする“レプティリアン軍団”のみでは決して無かった、“レプティリアン軍団”とは同盟関係にある“彼女”もまた、蒼太の見せた“無限大質オメガニック量放出・バースト”に恐れをなした一人であったのである、それで。

(もはや一刻の猶予もない。世界を我が魔力で押し包み、暗闇に染め上げなければ!!!)

 この世を自分自身の一部と化させてその全生命の持っている波動と能力と、“因果律”とを手に入れる。

 そしてそれらを解析、駆使する事でこの地球開闢の神にして原初の“存在”である“地球神(ガイア)”の意思に干渉して自身の思い通りの世界を創造、連続させて行く。

 それこそが“彼女”の狙いであり野望であった。

(おのれ“神”めっ!!!また我が野望の礎を打ち砕くために“戦士”を送って寄越したか。しかし今度ばかりは思い通りには行かせぬ!!!)

 暗闇よりも更に暗い、“漆黒”の闇の中で“彼女”は忌々しげに地団駄を踏むと同時にほくそ笑んでいたモノの、一方で。

 そんな“彼女”の思惑を露知らずに蒼太達は一路、“アイゼンベルグ”への道程を急いでいた、彼等の総勢はこの時点で十数名に昇っており一大集団だった事は間違いない。

 ちなみにその最先頭を切っていたのは。

「キャーッ。嘘でしょう、信じらんな~い!!!解っているの?レアンドロ。私達今、エルフの世界に来ているのよ~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」

「ああ。解っているよノエル、僕だって天にも昇る気持ちだよ!!?だって幼い頃から幻想の中でしか見たことが無かった世界に、僕達は今、確かに来ているんだから!!!」

「・・・・・」

 案内役の蒼太では無くて、何故かノエルとレアンドロの二人であった、ここに来てからというもの最初こそ戸惑いからか大人しくしていた二人であったが徐々にその本性を発揮して姦(かしま)しく騒ぎまくっていたのだ。

「ノエルさん、レアンドロ。あんまり先に行かないで下さいよ?弱い力量の奴らしかいないと言えどもモンスターだって出るんですからね!!!」

「ええ~っ!!?うそうそっ。モンスターも出るのっ?ねっ、ねっ。レアンドロ聞いた?モンスターも出るんだってっ(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)」

「いやぁーっ。それは怖いねぇっ、ちなみに僕のポケットって言うより、ファスナーの中にも“モンスター”はいるんだけどね?ノエル・・・ッ!!!」

「・・・・・っ。いやん、もうっ。レアンドロったら。この前あんなに“チン舐め”してあげたでショーッ\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/」

「・・・・・」

(もしかして本気でアホなのか?この二人は・・・っ!!!)

 と、ややゲンナリしつつも蒼太がそれでも“見殺しには出来ない”と、周囲に気を張り巡らせていたが、そんな彼のやる気を事もあろうに味方である筈のノエルとレアンドロが次々と削り取って行く。

「いやぁ~っ。美味しかったわぁ?レアンドロのオチンポ、しかもその後私の奥を突いて穿って抉り抜いて来て・・・。う、うへへっ。うへへへっ、うへへへへへへへっっっ(//∇//)(//∇//)(//∇//)」

「・・・・・」

 “涎が垂れてます、ノエルさん・・・!!!”と蒼太が溜息交じりにこのゆるフワピンクの年上フレンドに言葉を掛けるがそんな事などどこ吹く風で、ノエルは(レアンドロもだったが)絶賛自分の世界に埋没して浸りまくっていたのであった。

「・・・・・」

(はあぁ・・・っ!!!)

 と内心で再び溜息をつく蒼太の耳にクスクスと言う笑い声が響いて来るモノの、そちら側を見るとそこには彼の最愛の妻であるメリアリアとアウロラとオリヴィアとがおり、優しい笑みを浮かべつつも彼を面白そうに見つめ続けていた。

「大丈夫かい?歩く速さが速過ぎなければいいけれど・・・」

「ううん、平気!!!」

「大丈夫ですわ!!!」

「これ位、なんて事は無いよ!!!」

 ノエル達よりも多少、遅れてはいるモノのそれでも集団の一番最初、メリアリア達よりもやや先頭を行く蒼太がそれでも、花嫁達の歩幅に合わせて足を進めつつ彼女達に声を掛けるとメリアリアもアウロラもオリヴィアも皆、元気よくそう返してくれた。

 日頃から鍛えているだけあって彼女達の体力や体の“慣らし”は見上げたモノであり不慣れな異世界の、それもただっ広い草原を歩いている、と言うのに全く以て苦にならないらしい。

(まあ土地が平坦だからな、流石にこれ位で参る様なメリー達でも無いか・・・!!!)

 “問題は”と蒼太は思った、“お義父さんやお義母さん達、そしてノエルさんやお付きのメイドさん達だ”と。

 しかし。

「・・・・・」

(全員が、今の所脱落する素振りも見せずに付いてきている。やはり皆“裏貴族”だったから身体は鍛えていたのかもな・・・!!!)

 蒼太が思うが実はそれは的を得ていて元々が退魔武闘派の家系であったカッシーニ家は元より、フォンティーヌ家もフェデラール家も、その家人諸共鍛錬は怠る事無く自らに課し続けており、また一般人であるメイド達も最低限度の護身術は心得ていた上に体力勝負の日々の仕事を熟したりしていう内に身体が練れて頑強になり、力も付いて来ていたのであった。

 そんな彼等は草原を何も言わずに涼しい顔で踏破して行く。

 エルヴスヘイムに四季があるのかは定かでは無いモノの、その日は明らかな小春日和で気温もそれなりに高く、太陽も上からジリジリと照り付けていた、と言うのに息が切れている者はおろか、汗を掻いている者すらもいなかった。

「・・・・・」

(吹き抜けて行く風が体温をちょうど良く冷ましてくれている、と言うのもあるんだろうけれども・・・。それより何よりこの人達には体力があるのと、基本的な体の動かし方が、出来ているんだろうな。皆それぞれにそつなく歩き続けている・・・!!!)

 そうやって蒼太が一通り観察を終えて自らも再び徒歩に集中し出した、その時だった、突然。

「・・・・・っ!!?」

(バカな、なんだこれは。“魔”の気配じゃ無いか、それも恐ろしく強大な・・・!!!)

 “それ”を感じ取った青年が素早く背中に背負っていた聖剣、“ナレク・アレスフィア”を鞘から抜き去り構え終わると同時に突然、青天だった空が俄(にわか)に掻き曇り、一行は瞬く間に厚く垂れ込める黒雲の下にその身を置くこととなったのである。

「あなた、これって・・・!!?」

「“魔”の気配がします・・・っ!!!」

「流石はエルフの国だ、こんな白昼堂々と魔物が出現しようとはな・・・っ!!!」

 花嫁達もそうと気付いて口々に言葉を発しつつも応戦態勢へと突入して行くが、するとー。

 黒雲の中から何かが飛び出して此方へと向かって来た、見た所”鳥人間“に見えるがその右手には剣が、そして左手には盾が装備されていて侮れない戦力である、動きも素早くて俊敏であり、数も多くてパッと見た感じでは三〇匹近くはいる、しかもまだまだ後続も来る模様だ、間違ってもこんな所で足止めされたり傷付けられたりする訳には行かない。

「・・・・・っ!!!」

(あれは・・・っ。“ガーゴイル”だな?群れを為して襲い掛かって来る中堅のモンスターだけれども)

 “妙だな?”と蒼太が上空を睨みつつもそう判断するモノの、今し方感じた気配と言うのは決してガーゴイルごときのモノでは無かった、それなのに・・・。

(それだけじゃ無い、やっぱりこれは異常な事だぞ?元来、初歩的な魔物やモンスターしかいない筈の平和なエルヴスヘイムで中堅クラスのモンスターが、しかもこれだけの軍団を為して襲撃して来るなんて・・・!!!)

 “いけない、いけない”とそこまで考えた時に蒼太は素早く頭を振った、今はそんな事に意識を取られている場合では無い、とにかく急いで“あれ”を何とかしないと自分達はともかく、ノエルや義父達一行に死傷者を出す事になりかねなかった、グズグズしている猶予は無い。

(奴らの正体を探るのは後回しだな!!!)

 そう思い立つと蒼太は改めて上空の戦況に備えるモノの、対空迎撃には慣れてはいるとは言えどもやはり、頭上を取られるのはそれほど好ましい事では無い。

 ましてや此処には自身の可愛い花嫁達とその家族、その上お付きのメイド団までいるのである、これ以上、接近を許すわけには断じて行かなかった。

 そんな中で。

「キャー、キャーッ!!!うそうそ、あれが本物の魔物なのっ!!?マジなの、なんてファンタジーッε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノ」

「信じられないよ、なんてファンタスティックなんだ。まるでゲームの世界に来たみたいだよ!!!」

「・・・・・」

(本物のバカだ、コイツら・・・!!!)

 些かも状況を理解していない二人に対して蒼太は遂に思ってしまった、それは仕方が無い事だっただろう、この場にいる誰もが緊張感に包まれていると言うのに、また人によっては戦慄に慄いていると言うのにノエルとレアンドロの二人だけは全くお構いなしである、流石としか言いようが無い。

(ま、まあこの二人はともかくとして。とにかくメリー達を守らないと!!!)

「皆、僕が“良い”と言うまでその場を動かないで。腹に力を込めて、両脚で踏ん張って体勢を整えるんだ。これから強力なヤツを、“波動真空呪文”をぶちかますから!!!」

「・・・・・っ。解ったわ!!!」

「はいですっ!!!」

「了解したっ!!!」

 気を取り直して彼が発したその言葉に先ずは三人の花嫁達が瞬時に反応してくれて、それから皆に“蒼太が呪文を使うこと”、“今から敵を迎撃すること”等を簡潔にしかし、解りやすく説明してくれた。

「あ、あれだけの数をかい?しかし・・・」

「君一人で大丈夫なのかね?無理はしないでくれよ。蒼太君・・・!!!」

「我々も助太刀するぞ?婿殿・・・!!!」

「大丈夫です、お義父さん達はお義母さん達を守ってあげて下さい!!!」

 尚も心配そうに言葉を掛けてくる義父達に対してそう応えると。

 蒼太は剣を構えたままで、まだガーゴイルの武器が届かない間合いの内から先制攻撃を決め込むべく、瞬時に“波動真空呪文”の生成に取り掛かった。

「深淵から湧き出る命の流れ、永久の宇宙の大いなる息吹よ。我が手に集いて力となれ・・・」

 真言を詠唱すると同時に意識を思いっ切り研ぎ澄ませて今、この瞬間に集中させ、自身の中に眠り秘めたる神の部分にアクセスしてはその光の波動を体内で極大いっぱいにまで練り上げて行く。

 その上で更に大自然の息吹たる“風”の鼓動を、その流れ共々感じ取りつつ、それを己の中へと取り入れるイメージをして大きくてゆっくりとした呼吸をその場で何度となく繰り返し行っていった。

 やがてー。

 蒼太の周りに気流が発生したと思ったらそれが徐々に強くて巨大なモノとなり、それと同時にパリパリとした放電現象がそこかしこで発生する。

 それは“エーテルのプラズマ化”であり、アストラルとメンタルの自然界に於ける霊力が充填されて来た証拠であった、その影響を受けて魔法が徐々にこの世界に顕現し始め、やがて彼の纏った暴風の渦は限界を超えて加速して行き、遂には周囲に強烈な真空波を生み出させてそこにあるモノを容赦なく切り刻み始めた。

 それに。

「“無限なるインフィニテッツァ風神・ブリージア!!!”」

 最後に名前を与えて命を吹き込み、呪文を発動させた瞬間、蒼太は剣に力を伝えて自身の直上にカッと切っ先を掲げて見せたが、その途端に。

 青年を中心とする空間から真っ直ぐ天空へと向けて、眩いばかりの光の波動オーラを纏った真空の超巨大な竜巻が発生して襲撃してきたガーゴイル諸共彼等を覆っていた黒雲を刹那の合間に完全に四散させて行ったのである。

 そのバースト乱流の凄まじさはかつて誰もが経験すらした事の無い程の猛烈さであり、渦の太さも遙かなる遠方からハッキリと見届ける事が出来る程のモノだったのだ。

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

 程なくして。

 超絶的な風の怒りが収まりを見せて、辺りに静寂が戻って来た時。

 そこには最早、“魔”の波動は一切感じられなかった、天空は晴れ渡って大輪の太陽が煌々と輝き照り付け、何処までも澄み渡った青空は彼等の頭上で蒼光を放っていた。

 蒼太は、動かなかった、彼は念の為にそのままそこで“残心”を取って周囲を警戒していたのであるモノの、特筆すべきモノは何も無く、漸く構えを解いて力を抜いた。

「皆、大丈夫かい?」

「ええ、平気よ!!!」

「大丈夫ですっ!!!」

「問題はないっ!!!」

 敵を片付けた蒼太は先ずは花嫁達の身を案じるモノの、彼女達には別段、異状も外傷も存在せずに問題は無さそうである。

「・・・・・っ。良かった!!!」

 ニッコリと微笑んで彼女達にそう応えると続いては彼は妻達と共に義父達の元へと馳せ参じて行った、確かに身体は鍛えてはいるようだが果たして安否の程はどうであろうか。

「御怪我は、ありませんか?お義父さん、お義母さん・・・!!!」

「・・・・・っ。ああ、こっちは全く問題は無いよ!!!それにしても」

「蒼太君、あれが君の魔法かね?天変地異が起きたかと思ったよ!!!」

「いやはや凄まじい事この上ないな、聞きしに勝る威力だった!!!」

 蒼太の顔を見ながらダーヴィデ達は笑顔を見せてくれていた、所々土埃を被ってはいるモノの、彼等もまた全員が戦禍を逃れていたのだ。

 一方で。

「す、凄い凄いっ。ソー君凄いよっ、ノエル感激いいぃぃぃっっっヾ(≧∇≦)ヾ(≧∇≦)ヾ(≧∇≦)」

「いやはや、初めて見せてもらったよ。あれが魔法と言うモノなんだな!!!」

 ノエルとレアンドロだけはまだ、事態が良く飲み込めていないのか(或いは逆に、本人達なりに何かを感じ取っているのかも知れないけれど・・・)普段よりもむしろテンションを上げて目を輝かせながら蒼太の側へと駆け寄って来る。

「ソー君、本当に魔法なんて使えたんだね?エセ妖術師じゃ無かったんだね、私前から信じてたよ~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」

「なんですか、エセ妖術師って。ってか“妖術師”ってなに?それにその言い草だと全然信じて無かったんだな、人のこと!!!」

「あん、もうそんなに怒らないで?ソー君たら。こう見えてもノエルちゃんは人を見る目だけはあるんだからね!!?」

「・・・・・」

 “本当かよ、もう・・・っ!!!”と些か彼女に対する疑念を残しつつも、蒼太は再び一行を率いてアイゼンベルグへの旅路を続けて行くモノの、それを驚愕と憤怒を以て見据える目があった、“彼女”である。

「・・・・・っ!!!!?」

(し、信じられん。この小僧、やはり無限大質オメガニック量放出・バーストを・・・っ!!?い、いや違う。似ては居るが非なるモノだ。し、しかし・・・っ!!!)

 “間違いなくそれに類するモノだ”、“あんな年端も行かない若者が・・・っ!!?”と“彼女”はまたも困惑しつつも驚愕して見せるモノの、しかし現に“彼”が“光の波動真空呪文”を撃ち放ったのは間違い等では決して無く、しかもそれは手下であるガーゴイル軍団諸共に自分の魔力を込めて形成された黒雲を打ち破って見せたのである。

「・・・・・っ!!!」

(本当に訳が解らない。一体何者だ?この男・・・)

 そう思い立つと“彼女”は改めて“彼”を注視するモノのどうやら、見た所は東洋人の様ではあるがルックスはまあ、悪くない。

 何処となく幼さが残っている面持ちをしている上に、全体的にはそれほどパッとしない外見をしているモノの、それでも顔は整っていて精悍だし、身体も中々ガッシリとしていて筋肉質だ、それに何より波動も精神も良く練り上げられている、見た目以上に、遥かに強力な存在である事が窺えるが、それにしても。

「・・・まさか、こいつ」

 “大和民族では無いだろうな?”と“彼女”は一人ごちるモノの、それはあくまで“伝説の存在”で無くてはならずに現実に居てはいけないのであって、殊に“彼女”にとって“それ”が実在するとなるとあまりにも都合が悪い事、この上ないと言う他無い。

「・・・いいや、まさかな!!!」

 今の所、“神”が動いた気配は無い、動けば何某かの足跡をこの世界に残す事になるから“彼女”にならば一発で探査出来る事となるが、“それ”が発動した形跡はない

「だとすると・・・。たまたま偶然が重なっただけなのか、それとも運命の悪戯か・・・」

 “いずれにせよ見極めなくてはならないな!!!”と“彼女”は告げると“遠隔透視”を中止して暗闇の中で暫しの小休止へと入って行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
 “彼女”とは一体何者なのか。

 次回でその正体が明らかになります(それにしてもノエルちゃん、レアンドロ君。君達は流石です!!!)。

 また蒼太君の扱う光の波動真空呪文、“インフィニテッツァ・ブリージア”は正確に言えば“オメガニック・バースト”ではありません(全力で撃っても威力と神力とが全然足らないのです)、ただしそれに準ずる程の、極めて近しい位置にあるモノではあります(だから“彼女”が驚きを隠せなかったのです)。

 ちなみに今回、蒼太君は呪文を通常威力でぶっ放しました(まだマックスパワーではありません)。

 以前幼い頃にエルヴスヘイムに来た際にはその当時の自身の持てる最大出力で解き放って“中堅クラスの強”レベルの威力でした(このエピソードは“エルヴスヘイム事件8”に書いてあります)、それが今では通常で放って極大クラス化するまでに至りました、凄い進歩だと思います(彼なりに努力は重ねて来ましたから)。

 そう言う事で御座います。

                敬具。

          ハイパーキャノン。
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