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神世への追憶編

第二次エルヴスヘイム事件16(軸線転位と時空震)

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 最近知ったのですが。

 “DQトレジャーズ”と言うのが発売されているそうですね(しかも5主人公とビアンカ、そして勿論、2人の息子と娘である“金髪双子”も出るんだとか)。

 中々面白そうですので、機会があれば是非、買って遊んでみたいです。
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 ドグバ達が潜伏していた“オーガスタの沼地”は内部が非常に広大かつ複雑な“洞窟形ダンジョン”であった、その只中を。

 蒼太達は時には壁に張り付く様にして、また時には匍匐前進を行いながら一歩一歩ずつ足を進めて行ったのであるが、その甲斐あって遂に最奥部分である“穢れの間”に於いて難敵であったドグバを討滅する事に成功する事が出来たのである。

 しかし。

「・・・おかしい」

 そのドグバ討伐を果たした当人である蒼太が呻いた、“ノエルさんが何処にもいない”とそう言って。

「来た道を、間違えたんだろうか。何処かに牢獄に続く道があると思うんだけれども・・・!!!」

「大丈夫よ・・・」

 するとそんな夫に助け船を出してくれたのは他ならぬメリアリアであったのであるが実のところ、蒼太に次いでノエルとの付き合いが長い彼女はずっと感じ取っていたのである、ノエルの息吹と鼓動とを。

「あれだけ激しい戦い、を繰り広げて来たんですもの。あなたは今は感覚を自分の周囲に限定して集中的に張り巡らせているから感じ取れないだけよ・・・!!!」

 “この奥の”とメリアリアが続けて言った、“ずっと先の方からノエルの波動を感じるわ?”と。

 その話を信じた蒼太が小休止を取って体を癒した後で再びパーティーを組み直し、メリアリアの導きのままに部屋の最深部分へと向けて歩を進めていると、果たして彼女の言った通りに確かに、入り口とは別の登り口が存在していてどうやら先へと行けそうである。

「こんな所があったなんて・・・。さっきの激突で崩れないでいてくれて本当に良かったよ、もしかしたならノエルさんを生き埋めにしてしまう所だった!!!」

「うふふふっ。そうなっていたならノエルも浮かばれなかったでしょうね?さあ、行きましょう!!!」

 そこまで来ると再び、メリアリアに代わって先頭に立ち始めていた蒼太が皆を誘導して階段を登り始めて行くモノの、それは円柱状の壁伝いに螺旋状になっており、しかもその数も数百段以上は確実に存在しているだろうと言う凄絶さであって、これには流石の蒼太達も途中から辟易して来た。

 特に。

「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!」

「はあっ、はあっ。はあっ、はああぁぁぁ・・・っ!!!」

「ふうふうっ。ふうふう・・・っ!!!」

「・・・みんな、大丈夫かい?」

 花嫁達や伯爵夫人連中が堪らず息切れを起こして来るモノの、それは無理からぬ事であっただろう、懸垂やスクワット、昇降運動や重量挙げ等で日頃から鍛えている蒼太達でさえ、この階段を全部上がるのは正直に言って一苦労なのである、況(いわ)んや女性の身体では余計に厳しいのは当然の帰結であった。

 もとより。

 メリアリア達“女王位”が行って来たのはどちらかと言えば戦闘訓練中心のそれであったのに対して蒼太の修練はあくまでも先ずは“己に克つ”、それを成した上で自身の持っている生命力や精神力、持久力等を底上げして絶えず最大に持って行く為のモノであったから、その差はこう言った体力勝負的な状況や、はたまたセックスのような“命と命のぶつかり合い”の場面に於いて一層、顕著に現れて来るようになっていたのであったのだ。

「少し、休もう。旅はまだまだ続くんだ、こんな所で足を壊したりしたら、元も子も無いからね・・・!!!」

 メリアリアを始めとする花嫁達や女性陣の事を(ついでにレアンドロの事も)考えて蒼太は途中で何度か小休止を取りつつ上へ、上へと向けて階段を踏み締め、昇り続けて行くモノの、すると10分程上がり続けたその時に。

「あ、これは・・・!!!」

 “ノエルさんの波動だな・・・!!?”と彼が呟くがその直後に漸くにして長かった階段が終わりを告げて、代わって平たい回廊が目の前に開けて来た、そこには頑丈そうな鉄格子で閉ざされている小部屋が等間隔で幾つも配置されており、一目でここが“牢獄である”と解る造りになっていたモノの、その中の。

「ノエルさん!!!」

「ノエル!!!」

「プリンセス!!!」

「よくぞ御無事で・・・!!!」

 一番、奥の部屋から彼女の鼓動を感じた一行は尚も前進を続けて最深部分まで到達すると、牢屋越しに話し掛けるが、すると直後に。

 “ガシャンッ!!!”と言う音と共にノエルが鉄格子に飛び付いて来た。

「ノエルッ!!!」

「レアンドロ、みんな!!!」

 “良かった!!!”と2人は牢屋越しに手を握り合って涙を流し、無事の再会を喜んだがそれを見た蒼太はノエルとレアンドロに“ちょっと下がっていて・・・!!!”と告げると杖の先端を鉄格子の鍵穴へと押し当てて何事か、呪(まじな)いの言葉を口にした、すると。

 “ガチャガチャ、キイィィン・・・ッ!!!”と言う独自の金属音と共に錠前が外れて抜け落ちて行き、それを見たノエルは勢い良く鉄格子を押し開いていった、そしてー。

「レアンドロッ。ああっ、レアンドロォッ!!!」

「良かった、ノエルッ。本当に・・・っ!!!」

 愛しい恋人の胸へと思いっ切りダイブすると彼の匂いを嗅ぎ取り続けて、それが済むと互いに真正面から向かい合って抱き締め合い、甘くて激しいキスを交わすがそんな2人に対して一行は暫くの間は優しい微笑みと暖かな眼差しとを送り続けていたモノの、それがある一定の領域を超えた瞬間。

「ち、ちょっとちょっとノエルさん。レアンドロも!!!」

「2人共、それ以上はやってはいけないわ!!?」

 堪らず蒼太とメリアリアの2人が止めに入るがなんとノエル達は衆目の面前にも関わらずに涎を垂らす程のベロチューを始めたのであり、それはさながら“セックス前の男女のそれ”に他ならなかったのであった。

 だから蒼太達はすかさず止めに入ったのであったがそれを察知したノエルとレアンドロは悔しくも悲しそうな瞳を2人に向けた。

「なんだい?蒼太、メリアリアも。今良いところなんだ、邪魔をしないでくれたまえ!!!」

「そうよぉ?ソー君、メリアリアちゃんも。恋人同士のお楽しみに水を差すのは良く無いわ?」

「・・・そう言うのは2人っ切りの時に、思いっ切りやっていただきたいんですよノエルさん、レアンドロも!!!」

「気持ちは良く解るんだけれども・・・。だけどやっぱりこう言う状況下で見境無く燃え上がるのって何だか違う気がするもの!!!」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

「「・・・・・」」

 困った様な笑みを浮かべつつも、それでもやんわりと自身達の行いを窘(たしな)めて来る蒼太とメリアリア夫婦の視線を受けて暫くの間、名残惜しそうに互いに見詰めあっていたレアンドロとノエルだったがやがて“ちぇ・・・っ!!!”と短く舌打ちした後で“続きはまた今度だね・・・?”とある意味では大切な、ただし見方を変えれば破廉恥極まりない約束を皆の前で交わすと漸くにして抱擁を解いて相手を離した。

 一方で。

 それを見た蒼太達も“ハアァァ・・・ッ!!!”と思わず大きな溜息を一つ付いて、それから。

 夫婦でお互いを見詰め合い、ニッコリと微笑み合うモノの、その後一行は再びパーティーに戻ったノエルの命や精神、そして身体に別状は無いか、異常は無いかを念入りに検査、確認してから牢獄を離れて一路、“オーガスタの沼地”からの脱出を図った。

「脱出と言ったって・・・。またあの来た道を戻らなければならないのかい?しかも今度は上り坂だよ。ノエルを無事に助け出せたのは嬉しいけれども、流石にこの階段の後じゃあちょっと気後れしちゃうなぁ・・・っ!!!」

「・・・いいや、それはダメだな。来た道は恐らくはゴブリンやオーク達の群れによって占拠され、封鎖されているだろうから通る事は出来ないよ」

「何だって!!?」

 たった今し方ヒイヒイ言いながら階段を昇り続けて来たレアンドロが今度は帰り道の事を気に掛けながら口を開くが、するとそれを聞いた蒼太が否定の言葉を紡ぎ始めた。

「難しい話じゃ無いだろ?僕達はアイツらの包囲網と言うか、防衛線を突破して来たんだ。だとすれば帰りはまたアイツらを相手にしなければならない訳で、何も不思議な事は無いよ・・・」

「ど、どうするんだよ?蒼太。僕達はもう、誰も彼もが草臥れ切っているし、君だって流石に大変だろう?況(ま)してや今度は上り坂なんだ、この先まだ戦闘が起きるって言うんなら、僕はもうここから動かないぞ!!?」

「ああ、それでいいよ?」

 戦闘のキツさと上り坂の苦しさとに心底、嫌気が差していたレアンドロがとうとうそんな事を言い立てるモノのしかし、それを聞いた蒼太はにべも無くそう応えて平然とした態度を取る。

「・・・・・っ。な、何を言っているんだよ。蒼太、もしかして僕の言葉が気に障ったのかい?それとも自棄(やけ)になっているのかい?」

「いいや?そのどちらでもないよ、レアンドロ・・・!!!」

「・・・・・?」

 そう言って少し、悪戯っぽくも愉快そうに自分を見詰める青年に対してレアンドロは些か以上に怪訝そうな顔付きとなって蒼太に視線を送り続けた。

「どういう、事なんだい?蒼太、だって君は今し方・・・!!!」

「そうよ?あなた・・・」

 するとそれを聞いていたメリアリアもまた、心配そうな面持ちとなって彼の前へと進み出てくる。

「帰りの事は、敢えて聞かなかったけれども・・・。やっぱりあの洞窟の上り坂を駆け昇りながら、敵陣を強行突破するしか方法は無いんじゃないの?」

「大丈夫だよ、メリー・・・!!!」

 ややキョトンとしつつもそう尋ねて来る愛妻淑女(メリアリア)に対して蒼太は、何処か余裕のある落ち着いた笑みを浮かべて説明を始めた。

「あははっ、困惑させちゃったみたいだね。実はね?メリー、僕は“時空間転位の術式”も扱えるんだよ。それは知っているだろう?これを使えば時間軸や世界線の移動は勿論、己の位置を瞬時に入れ換えたりする事も可能だしそれに、ちょっと応用を利かせれば洞窟内やダンジョンからの脱出なんかも簡単に出来るんだよ」

 “だから”と蒼太は続けた、“帰り道の心配は要らないよ”とそう告げて。

「・・・凄いっ!!!」

 “凄いわ、あなたっ!!!”とそれを聞いたメリアリアはこの年下幼馴染の夫の事が心底誇らしくなってつい、大声で叫んで抱き着いてしまった。

「それで躊躇わずにここまで進んで来る事が出来たのね?ちゃんと私達の帰り道の事も考えてくれていたのね!!?」

「当たり前だよ、そんな事!!!」

 思わず破顔するメリアリアに対して青年は尚も明るい笑みを向けつつそう応えた。

「君は僕の大事な奥さんだからね?そんな大切な人を幾ら何でも何の考えも無しに死地に送り込むような、卑劣な真似はしないよ・・・!!!」

 “でも、だけど・・・!!!”と蒼太は続けて言った、“いよいよとなったら一緒に死んでくれるかい?”とそう述べて、すると。

「当たり前じゃない!!!」

 メリアリアは少しも臆する事無くそう応えた、蒼太に抱き着いたまま、彼の眼を自らのそれで真正面からジッと見据えながら。

「死ぬときは一緒だって、言ったじゃないの。絶対にあなた1人では死なせないわ!!!」

 “私も一緒に逝く・・・!!!”と、彼女はこの短時間で単に夫に甘えるのみならず、本当にそれだけの覚悟を決めてそう言い放つがそれが嘘では無いのは全身から発せられる気迫と目を見れば解る、それだけ凄絶な決意を固め、気持ちを抱いて彼女は蒼太に付き従っていたのであった。

 所が。

「むううぅぅぅ・・・っ!!!」

「ぬぬぬぬぬ・・・っ!!!」

 そこまで腹を括って言葉を発してくれた愛妻淑女(メリアリア)の頬を蒼太が撫でるようにしていると、そんな2人の姿にすっかり嫉妬してしまったアウロラとオリヴィアとが彼等の背後で怒りの唸り声を発していた。

「あ、あはは・・・っ。勿論君達の気持ちも解っているから・・・!!!」

「そ、そうよ?2人共。蒼太は貴女たちの気持ちだってちゃんと理解しているわ・・・!!?」

「メリアリアさんは黙っていて下さいっ!!!」

「メリアリアは黙ってろ!!!」

 すっかり頭に血が上ってしまった2人に対して蒼太とメリアリアはしどろもどろの言い訳を繰り返していた、“蒼太は貴女たちにだって向き合ってくれてるじゃない!!?”、“ちゃんと君達2人の事だって思っているから!!!”とそう言って。

 すると。

「本当ですかっ!!?その言葉っ!!!」

「もし嘘だとしたなら君を殺して私も死ぬぞ!!?」

 それが彼女達からもたらされた返事であったがなんだかんだ言って暫くの間は妻達のささくれ立ってしまった心を冷却すると同時に癒すことに時間を費やさざるを得なかった蒼太はしかし、その甲斐あってか漸くにしてアウロラとオリヴィアの怒りを解くと“コホンッ!!!”と一つ咳払いをして場を仕切り直させる、そうしておいて。

 全員をその場に集めて一塊になるように指示を出すと自らがその一団の中心になるように佇んで“それじゃあ、行くよ?”と声を掛ける。

 杖を水平に構えて意識を集中させて行き、感性を研ぎ澄まさせて転位の法力を発動、沼地からの脱出を図った。

ディズロ・キャ空間ッシオーネ転位!!!」

 青年がそう言って術式に名前を与え、命を吹き込むとその瞬間。

 その場にいた誰もが天地がグニャリと歪む感覚を覚えて戸惑うモノのそれは本当に僅かな合間の出来事に過ぎなかった、周囲の景観がセピア色となって消え失せたかと思うと直後にはもう、外の世界が目の前に飛び込んで来て徐々に色付き、顕現して来る。

 そして。

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「こ、ここは・・・っ!!?」

 花嫁達を始めとして人々の理解が及び始めた頃にはもう、彼等は“オーガスタの沼地”周辺の大地へと移動を完了しており荒野を吹き荒ぶ寒風にその身を晒していたのであった。

「す、凄いっ。凄いわ!!!」

「本当ですっ。流石です、蒼太さん!!!」

「いつもいつも見事なモノだ、やはり私の夫だけの事はあるな!!!」

 口々にそう叫んで己に抱き着いてくる花嫁達に順々に抱擁を返しながらも、蒼太は内心でホッと一息付いていた、何しろこれ程大人数での空間転位は初めての経験であり果たして上手くいくかどうか、些か自信が持てずにいたのだ。

(まあでも・・・。無理だったら無理だったで何回かに分けて皆を運べば良かったし・・・。それに最悪の場合でも、メリー達だけでも助けられればそれで良かったしね・・・!!!)

「でも、だけど・・・。一体いつの間にこんな凄い法術を覚えたの・・・?」

「そうですよ、それに今までだって使って良い機会は幾らでもありましたのに・・・!!!」

「私達と一緒の時にだって、使った事が無かったわね・・・?」

 そんな妻達からの追求に蒼太は“この術式はかなりの力を消費すること”、“地表近くで使ってしまうと時空震の影響がそこにまで出て来てしまうこと”等を説明して行き、その上でだから“確かに便利な事は便利なんだけれども、かと言って余り頻繁に、いつでも何処でも使える力じゃ無いんだよ”と最後に結んだ。

「そっか・・・。“時空震”と言うのが周囲に起こってしまうのね?」

「それで以前に地下に潜入した時には使えなかった訳ですか・・・」

「どうりで君と一緒の任務に就いていた時にも見掛けなかった訳だね・・・?」

「多分、今頃はあの洞窟の最奥部分は崩れ落ちている頃だと思うよ?況してやこれだけの大人数での空間転位を一発で熟した訳だから、その影響は計り知れないモノになっているだろうしね・・・!!!」

 “今回の場合も”と蒼太が尚も続けるモノの、“皆を安全に運ぼうとしたならば本当は、僕自身を含めて1回に付き4人までが精一杯な状況だったんだ”との事であり、それ以上の法力を発動させるとそれに比例して歪みが巨大化してしまうために、より強烈な時空震が発生してしまう、と言う説明が彼の口から為されていった。

「だから最初は分けて運ぶ事も考えたんだけれども。だけどあのままのんびりと空間転位を連発させていたら、最終的にはゴブリンやオークの群れが彼処にまで押し寄せて来てしまう可能性があったからね?そうするともっと危険な状況になってしまうし、それならばちょっと大変だけれども一発で皆を運ぶ方に全てを賭ける事にしたんだよ・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 “そっか・・・”とその話を聞いていたメリアリアが頷くモノのこの時、彼女は感心していた、“やっぱりこの人は、蒼太は凄い!!!”と、そして。

 同時に改めて惚れ直してもいたのだが普段はのほほんとした所もあるけれども強大な敵と戦う際の、あの覚悟を決めた横顔の格好良さや腹の括りの確かさ、それに加えてどんなに困難な状況下に於いても決して諦めない精神力と折れない心の強さとに、メリアリアは心の底から痺れるような慕情を抱き、且つまた芯から悦びに打ち震えていたのである。

 それだけではない、一般人が及びも付かない程に桁外れたパワーと練り上げられた肉体に、あの一瞬で全てを読み切る冷静さ、僅かな可能性を見付けたならそれを信じて黙って実行してゆく大胆さとに、1人の女としてすっかりメロメロになってしまっていたのであった。

(凄いわ、蒼太。小さな頃は私の方がお姉ちゃんで、あなたはいつも私の後ばかり歩いていたって言うのに・・・。最近ではもう、完全に私の方が連れ回されているって感じ・・・。だけど!!!)

 “自分が夫に良いようにされている”、“心身共に夫のモノになっているんだ、己を捧げ尽くせているんだ!!!”と言う事実と認識とがメリアリアに堪らない程の満足感と愉悦をもたらし、それと同時に下腹部がジンジンと疼いて官能が沸き上がって来るのを感じていた、“もう少しだ”と彼女は思った、“もう少しでこの旅も終わりを告げる、そうしたなら2人っきりでこの人に、蒼太にいっぱい抱いてもらおう”と。

 その時の事を考えると愛妻淑女は魂の底から自身が火照って比類無き真愛と歓喜と肉欲の只中に己が押し上げられて行くのを、ハッキリと自覚していたのである。
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※これは自分の気持ちを落ち着かせた上で私の感覚を最大限シャープに研ぎ澄まして(“彼等”に意識を向けて)書かせていただいたものです、特に“幼馴染との純愛成就派”や“主ビア派”の方々に読んでいただきたいと思います。

 もしノエルが、と言うよりも“あの子”が本当に“心が屈服させられるまで”性的及び精神的加虐を与えられたのだとするのならば。

 “彼女”は助け出された後でも決して、自分で自分を許せなかったと思います、だから(主人公や子供達の“祈り”が通じて己が癒され、救われるまでは)何があっても(少なくともあんなに即座には)主人公の元に戻って来るような事は無かったと思いますし、主人公と一緒のパーティーにくっ付いて来るような事もしなかったんじゃないでしょうか(主人公に対してハッキリと“何があっても私はあなたについて行くからね?”、“愛してるわ”と告げていますし、仲間に入れる際にも“また私を連れて行ってね?”等と念押しして来る位ですから)。

 どれだけ主人公や子供達が心の籠もった言葉を口にしても、また暖かな思いを届けたとしても(真心を尽くした主人公達の“確かなる愛情”の輝きによって心や体の傷跡が消えて自分自身が許せるようになるまでは)“こんな汚らしい女なんかと一緒にいてはいけないわ?”と言って自ら夫や子供達に別れを告げ、自分はひっそりと山奥の村か修道院かに入って残りの人生を夫や子供達の事を思い、祈りながら過ごす、と言う生活を送ったと思うんです←少なくとも私の知っている“彼女”ならばそうしたと思うんですよね(単に正義感が強いのみならず、本当に夫や子供達に対して非常に真摯で一途で純情で、且つ真面目な愛情を抱き続けている女性(ひと)だからです、それらを貫き通している女性(ひと)だからです←それに加えて“自分自身に嘘を付く”と言う事が出来ない女性(ひと)だからです)。

 皆様方はどう思われますか?

 またこの辺りの詳しいお話が読みたい方、或いはは“何言ってんだ?コイツ”と思われた方は是非とも第二部の最終編であります“許しの刻と報われの空”並びに“テイク・オフ”、そして更に申し上げさせていただきますならば第三部初頭の“心の働き”、“セイレーンの岐路”を読まれる事をお勧め致します。
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