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神世への追憶編
カレイドスコープ
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セイレーン本部地下深くにある中枢施設“女王の間”にてレウルーラと相対した蒼太達は彼女達の異常なまでの防御力の高さの秘密を何とか見抜く事に成功していた、それは“次元の重複領域”を応用したエネルギー転送用の“時空歪曲フィールド”をその身に纏って戦っていたからに他ならなかったがそんな彼女達の防御幕の被弾傾斜圧を、蒼太は波動真空呪文を用いて生成した超エネルギー量を誇る極小マイクロブラックホールの特殊力場攻撃によって突破する事が出来たのである。
ダメージの中和許容限界を上回る、怒濤のような波動法力の奔流に流石の超新星達も無傷ではいられなかった、“レウルーラの加護”を前方に集中して展開させたばかりか己達のパワーの一部も防御に振り分けて何とか彼の放った極小マイクロブラックホールの次元振幅放射の、凄まじいまでの衝撃波と熱エネルギーとを耐え忍ぶ事が出来たのだ。
もっとも。
「・・・・・」
「・・・・・」
全身が煤と切り傷だらけになりながらも、それでも尚もレウルーラの最高戦力“超新星”の面々はまだまだ余力を残していた、確かにある程度のダメージを与える事には成功していたのだが、“レウルーラの加護”は完全に消し飛んだ訳では無くて相変わらず彼女達の周囲に鉄壁の壁を出現させていたのだ。
だが流石に蒼太はもう2度と波動真空呪文を集束状態でぶっ放そうとはしなかった、あのエネルギー質量と疾走力はここで使うには拙すぎると判断していた為である。
(確かに“レウルーラの加護”のダメージ限界を上回る力は持っているけれど・・・。だけど下手をすると今度はここが、本部が持たなくなってしまうかも知れないからね・・・)
“それにルテティア市民に犠牲を出したくは無いし・・・”等と蒼太が考えているとー。
「蒼太、あなた!!!」
メリアリアが心配そうな面持ちのままに横から声を掛けて来た。
「あの、その・・・。凄い呪文威力だったけれども体の方は大丈夫なの・・・?」
「ああ、それに付いては問題ないよ?ちゃんと君達や自分に悪影響が行かないように計算して撃ったからね、それよりも・・・」
“あいつらだ・・・!!!”と青年はマーガレット達を睨むモノの超新星達の戦闘能力はこれっぽっちも衰えておらず、その気力も十二分に漲っている、尚且つ“レウルーラの加護”も未だに健在なままである、正直に言ってこのまま本格的な戦闘に入るのはかなり危険と言わざるを得なかった、かと言って。
「どうするの?一応ダメージは通ったみたいだけれど・・・。だけどあの攻撃を何発も続けるのは正直に言って危険だわ?ここや街が持たないかも知れないし、それになりよりあなたの体が!!!」
「うん、その通りなんだよメリー。まあ体の方は大丈夫なんだけれども、ここの施設の方が崩壊してしまうかも知れないんだ。それでどうしようかと考えている所だったんだ、君達を巻き込みたくはないからね・・・」
「今の波動真空呪文は威力が大きすぎますけれども、かと言って私達の呪文では効果がありませんモノね・・・」
「それだけではない。あの“レウルーラの加護”とか言う防御幕を何とかしないとこっちの攻撃は通らないままだぞ?」
そこへアウロラとオリヴィアも会話に加わって来るモノの流石の彼女達も情勢の厳しさは目に余る程であり、顔を思い切り曇らせていた、確かに蒼太の今の攻撃をあと2、3回も繰り返せばいかな超新星達と言えどもそれなりに消耗はするだろうし、ダメージもかなり蓄積するだろう、つまりは彼がそのつもりになってくれるのならば勝ち目はメリアリア達にも存在していた、いたのだが。
問題はその2、3回の攻撃を掛ける際に発生するであろうエネルギー充填に於ける時間をマーガレット達がおめおめと見逃すとは思えない、と言う所であり更に言うならば今のメリアリア達では蒼太が波動真空呪文を生成するまでの時間も稼いではやる事が出来ない、と言う事がまた困りモノであったのである。
「・・・・・っ!!!」
「・・・・・」
「くそぅ・・・っ!!!」
“こっちもせめて、互角の状態で戦えればな・・・”とオリヴィアが呻くように述べ立てた、その時だ。
「出来るぞ?」
後ろから声が聞こえて全員が振り向くとそこにはエマとクレモンスが立っていた。
「向こうの不死身のタネは解った、そして状況もな。要するに奴等と同じ時空歪曲フィールドを君達に纏わせてやれば良いのだろう?」
「そうすれば互角の戦いが出来る、そうだな?」
「・・・その通りなんだけれども。だけどそんな事が本当に出来るのか?」
怪訝そうな面持ちのままにそう尋ね返す青年に対してエマとクレモンスは“まあ見てろ”と答えると二人で手を繋いで並んで立ち、互いの意識を同調させる、そうしておいてー。
気とエネルギーとを混ぜ合わせて行きその状態で祈りを捧げ始めた、すると。
蒼太達の全身が虹色に輝く光に包まれ、天地がグニャリと歪む感覚を覚えて困惑した、しかし。
「・・・・・っ!!!」
「これって・・・!!!」
「この感覚は・・・!!?」
「私にも解るぞ?これが“時空歪曲”と言う奴なのか・・・」
感嘆の言葉を口にする花嫁達に対して蒼太は直ぐ様“みんな、エマとクレモンスを守れ!!!”と指示を出していた、“彼女達の内、どちらかがやられてしまえばこの能力も消えてしまう!!!”とそう告げて。
「だけど確かにこれで互角の戦いが出来る、こちらの時空歪曲フィールドで相手のそれを中和、減退させて攻撃を通す事が出来るようになっている筈だ。みんな構えろ!!!」
「ええっ!!!」
「はいっ!!!」
「了解した!!!」
そう言って蒼太とメリアリア達花嫁が戦闘態勢を取った瞬間ー。
ルクレールやエヴァリナ、そしてマーガレットがエマとクレモンス目掛けて吶喊して来た、悔しそうな表情を浮かべている所を見るとやはり“先に始末をつけておけば良かった”と後悔をしているのであろう事がありありと窺える。
そしてその背後ではー。
リエラが肩に担いでいた大型自動小銃を降ろして構え、ヴェルキナが何時ぞやのように本をペラペラと捲ってトワイライトゾーンを発動させようと試みる、しかし。
「させるかぁっ!!!」
そこにメリアリアが“待った”を掛けた、先程と同じく紅炎魔法を顕現させた彼女はそれを自在に操りつつもヴェルキナ目掛けて一挙に殺到させたのだ、すると。
「・・・・・っ!!!」
(通った、攻撃が!!!)
今度は一瞬の間を置いて力が伝わり、炎の渦が直後にヴェルキナの本を焼き尽くして行った、その事に自信を得たメリアリアは続いて気合い一閃、迫り来るルクレールに対してエルヴスヘイムで貰って来た、魔法金属ミスリルで作られている“茨の聖鞭”を高速で叩き付け、その動きを止めるべく立ちはだかる。
まず最初に狙ったのは脚であり、特に太腿に狙いを定めるモノの、これは見事に躱されてしまい反対にルクレールをして加速を付けさせ、自身に向かって突撃を許す事態となった。
「もらった!!!」
「させない!!!」
しかしメリアリアは冷静だった、ルクレールの動きは以前、蒼太を相手にして見せた時とは違って単調でありその軌道を読む事はメリアリアにとって造作も無い事だったのである。
「てやっ!!!」
「ちいぃぃっ!!!」
メリアリアは再び、目にも止まらぬ早業で鞭を振るう。
今度はルクレールの胸、特に心臓を狙って攻撃を繰り出した、だがルクレールはその攻撃を瞬時に見切ると漸く本調子が出て来たのか2本のレイピアを自在に操り目標をエマとクレモンスからメリアリアへと明確に変えて遮二無二連続で刺突攻撃を繰り出して行く。
それを華麗なステップと体捌きで全ていなして躱して見せたメリアリアはリエラやヴェルキナの動きに注意しつつもルクレールに第3撃を叩き込んだ。
二人の間には無数の火花が飛び散って、それらがどれだけ激しい攻防が行われているのかを物語っていた、一方で。
「・・・貴様がマーガレットか?」
「そう言う貴様はオリヴィアだな?」
オリヴィアはマーガレットと相対していた、互いに名前は聞き知っていた、いつか決着を着けねばならない事も覚悟していたモノの、それが今日、訪れたのだ。
オリヴィアは愛用の片刃剣を、そしてマーガレットはロングソードを抜き放つとそれぞれ距離を詰めつつ“先読み”の応酬を開始した、剣を実際に打ち込むより先に相手の動きを読み取って隙を探り、そこへ必殺の一撃を放つ。
東洋西洋で表現方法に違いはあれども基本的に何処も剣術とは似たような動きや流れを辿るのだな、とそれを見ていた蒼太は思ったが、そんな彼はと言うと。
「あなたが相手なのですか?蒼太さん・・・!!!」
「久し振りだな、エヴァリナ。“クールジャパン”は楽しんでもらえたかな・・・?」
メリアリアやオリヴィアと同じように後方に陣取っているリエラやヴェルキナの動きを警戒しつつ、エヴァリナの前へと立ちはだかった、これはエマとクレモンスのみならずアウロラを守る為に取った行動であった。
メリアリアやオリヴィアと違って格闘戦はそれほど得意では無い彼女を蒼太は最優先で保護する事にしたのである。
「無粋ですわ?せっかく“超新星”と“女王位”の決戦の場ですのに・・・。余計な殿方がウロチョロと!!!」
「うちの嫁さんを傷付けさせる訳にはいかないんでね、悪いけど選手交代を認めてもらうよエヴァリナ!!!」
そう叫び様。
蒼太はエヴァリナに吶喊して手にしていた聖剣“ナレク・アレスフィア”を上段から振り下ろした、瞬間。
ガッチイイィィィンッ!!!と言う音がして剣がロッドに防がれる、凄い馬鹿力だとエヴァリナは思った、こんなのと真正面から打ち合いを続けていたら、自分と武器が先に音を上げるのは火を見るより明らかだ。
その上しかも。
「アウロラ、僕とメリーとオリヴィアに強化魔法を掛けてくれ。それから背後にいる別働隊二人を“爆雷魔法”で牽制して欲しい!!!」
「・・・は、はいっ。承知しました!!!」
アウロラはテキパキと与えられた指示通りに役割を熟しながら先程の蒼太の言葉を頭の中で反芻させていた、“うちの嫁さんを傷付けさせる訳にはいかないんでね”、なんてニヒルっぽくて格好良い言い草だろうか。
それに自分が大切にされている感じがして“愛されているんだな”と言うのが強く伝わって来て思わず嬉しくなってしまう、しかし。
そんな事を考えながらも暖かな気持ちになったアウロラがふとした事から気を緩めてしまった、その時だ。
ズダアアァァァンッ!!!と言う銃声が響くと同時にキィンッ!!!と言う金属の激突音が聞こえて来て、蒼太の足下に真っ二つに切り裂かれたライフル弾が転がった。
「アウロラ、油断しないっ。敵は銃を持っているから気を付けるんだ!!!」
「・・・・・っ。は、はいっ!!!」
青髪少女はそう頷いて咄嗟に蒼太に従った、それほど彼は自信と威厳に満ち満ちており、頼もしくて逞しかったのである。
一方で。
「・・・・・っ!!?」
(防いだ?今のを・・・!!!)
後方にいて自分専用のオーストリア製ライフル銃スナイパーカスタムを構えていたリエラは一瞬、驚きの表情を露わにするが完全に虚を突いた上に殺気だって引き金を引くギリギリまで出さなかったにも関わらず、あの蒼太と言う男は此方の攻撃に反応して見せた。
「・・・・・」
(まぐれか?それとも・・・)
リエラは気を取り直すと再びボルトアクションを構えて引き金に手を掛け、スコープを覗きながら“その時”を待つが今度は先程自分が狙っていた相手から反撃が来た、アウロラが爆雷魔法を用いて超新星達の前線と後方を遮断に出たのだ。
「・・・・・っ!!?」
(やってくれる・・・!!!)
リエラはライフル銃を持つと咄嗟にその場を離れてヴェルキナ共々右に左に爆雷魔法を躱し始め、時折その隙を突いては何度かアウロラに対する精密射撃を試みるモノの、それらは全て蒼太に叩き落とされて防がれてしまい用をなさなかった。
それだけではない、方向を変えてメリアリアやオリヴィアを狙った場合も結果は同じ事だった、彼は此方の動きや狙いを予測出来るのか、その時になると必ずエヴァリナを突き飛ばして体勢を崩させ、その隙に二人の援護へと駆け付けるのである。
「・・・・・っ!!!」
(あの男の人・・・!!!)
と事ここに至ってリエラは瞬時に理解したのである、蒼太の実力が達人を遥かに超えた領域に足を踏み入れた地点にいるのだ、と言う事に。
そしてそれはエヴァリナもまた同様であった、まだ“超新星”から“極超新星”になっていないとは言えどもそれでも、この目の前にいる青年は自分達二人を向こうに回して戦えるだけの戦闘能力を有しており、尚且つ頑健なのである、始末が悪いと判断していたのである。
その蒼太は涼しい顔で戦況を有利に持っていっていた、既にエヴァリナは肩で気吹きをするほどにまで消耗していた、と言うのに彼はと言えば少しも息が切れていない所か呼吸に乱れが全く無かった、とんでもない程の腕力と体力の持ち主であり、そして命を懸ける戦場の只中においても彼は常に一歩踏み込む勇気を持っている人間だったのだ。
「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!た、大した男です。ソウタ・アヤカベ、まさか私がここまで追い詰められるとは・・・」
「・・・・・」
僅か10分足らずの間にすっかりと消耗してしまったエヴァリナはそれでも何とか武器をつがえたまま後方に大きく飛び退き、戦場の流れの仕切り直しを画策する。
それに対して蒼太は特に追撃をかけるでも無くて、黙ってそれを見つめ続けていた、今回彼が取っていたのは何という事はない、ルクレールの時に試した相手の自滅を待つ攻勢防御戦法であったのだ。
自らの持つ集中力と感性を最大限にまで高めて直感力と洞察力とを引き出し、それと同時に鍛え抜かれた肉体の誇る体力と俊敏性とを活かして一瞬早くに相手の動きを先読み、機先を制する形でそこへと攻撃を加えて行くのだ。
これをやられてしまうとルクレールもエヴァリナも自分の好きに動く事が出来ないばかりか蒼太の鋭くも力強い打ち込みや刺突を否が応にも真正面から受ける事となってしまい己のペースが全く掴めずにただただ、やる気と継戦能力とを削がれて著しく消耗してしまう結果となってしまうのである。
現にエヴァリナはこれをやられた為に10分程度の戦闘でもう息が上がって来てしまい、腕が痺れてロッドを持つのも億劫な程にまで追い詰められてしまっていた、要するに蒼太の良いように動き回らされて体力と精神力とをすっかり磨り減らされてしまっていたのだ。
「・・・・・っ!!!」
(信じられません。ただでさえこの私と戦っている、と言うのに。その上で自分自身は元よりその後方にいるアウロラさん、いいえそれだけではなくてメリアリアさんやオリヴィアさんへの銃弾攻撃をも防ぎきって見せるなんて・・・っ!!!)
「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!ふうぅぅっ。想像を絶しますね、蒼太さん。あなたの内側には物凄い力が漲っているのを感じましたけれども・・・。だけどそれだけでは無いみたいですね?一体全体何なのでしょうか、その力の源は・・・!!!」
「・・・そんなの、決まっているだろ?」
“愛だよ・・・!!!”と蒼太はにべも無く言い放った、彼としてみれば本心からそう思っていたし、またそれ以外考えられない事柄だったからである。
「・・・愛ですって?」
「エヴァリナ、君は愛とは何かを知っているか?」
それを聞いた時にエヴァリナは一瞬、我が耳を疑ってしまった、まさかここに来てその言葉が聞かれるとは思っても見なかったのだ。
「・・・陳腐なロマンチシズムですわ?そんな言葉は」
「いいや違うね。人は愛や希望があるから生きて行く事が出来るんだよ・・・」
“君だってそうだろ?”とエヴァリナが蒼太に告げると彼は即座に反応して見せた。
「愛、他者を思いやる心・・・。その為にあんな自己犠牲スレスレの危険な行為を為さったんですの?自分だって決して余裕がある訳では無いにも関わらず、銃弾の前に何度も身を晒すなんて・・・」
「自己犠牲とはちょっと違うかな?僕は自分がそうしたかったからやっただけだよ?」
呆れた表情でそう述べ立てるエヴァリナに対して蒼太が静かに答えた。
「僕は愛と言うのが必ずしも自己犠牲を伴うモノだとは、思っていないよ?エヴァリナ。そりゃ確かに愛を貫く為には時には痛みだったり苦しみだったりが伴う場合もあるかもだけれども・・・。それでも最終的に自分を始めとして皆が報われ、救われるのが愛本来の姿であると僕は思っているからね・・・」
“そもそも僕は”と蒼太は続けた、“自己犠牲なんて大嫌いだよ”とそう言って。
「本来であれば己が一番、大事にしなければならない筈の最愛の体現である自分自身を事もあろうに自分で不用意に痛め付けるだなんて、そんな事をしている内は他人を愛する事など絶対に出来ないと思うからね・・・」
「・・・・・」
「それに逆の立場だったから悲しくて辛くて見ていられないよ、自分の大事な人達が自分を守って助ける為に自己犠牲の精神を発揮して危険に身を晒すなんて。絶対に御免被るよ、そんなのは愛の痛み、苦しみとは完全に似て非なるモノだ!!!」
「それはそうですけれど・・・。だけどあなたは・・・!!!」
「僕はね?エヴァリナ。僕自身を救って守り、そしてメリーやアウロラ、オリヴィアを救って守る。それを成し遂げたいんだよ、何がなんでもね?それが僕の愛だ!!!」
それだけ言うと蒼太は再び剣を構えてエヴァリナへと向き直るが、その瞳にはそれまで以上に強くて確かな輝きが宿り煌めいていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
蒼太君は別に自己犠牲の精神を発揮してメリアリアちゃん達を守っていたのではありません、彼は自分がそうしたかったからそうしたのです(メリアリアちゃん達を大切にしてあげたかったからです、そして何としてでも守ってあげたかったからそうしたのです)。
ちなみに私は自己犠牲と言うのは決して軽はずみにやったり、或いは誰かに強いたりしてはいけないモノだと思います、確かに愛を貫く為には時には痛みや苦しみが伴うのは事実です(ちなみに何故そう言った“障害”や“試練”が引き起こされて来るのか、と言えばそれは“それらを無事に突破して乗り越え、より強く美しく光り輝いて欲しい”と言う“御親神様”即ち大宇宙の愛情故なのだそうです←反対に宇宙は不必要な辛さ、悲しみを与えたりはしません。例えばもう既にこの二人だったら突破出来るな、と言う試練や障害を恋人達や夫婦に再度わざわざ与えたりはしないそうです、それらは余計な苦しみであり無駄な事だからです)、だけどそれらと自己犠牲は似て非なるモノだと思っています(最後の最後の手段としてどうしようも無い場合を除いては絶対にやってはいけませんし、やる必要も無いと思います)。
また皆様方、私は“愛に付いて”と題しましてここで何度か述べさせていただいておりますけれども(そしてその結果として“真心を尽くす事が愛すると言う事だ”と言う答えに辿り着けた訳ですけれども)、ここに来てまた、愛とは何なのか、と言う事がよく解らなくなってしまいました(そんなに簡単に“愛とは何か”と言う問いに対する究極的な回答が導き出せるのならばお互いに苦労は無い、と言う事なのでしょうね)。
皆様方はどう思われますか?私の出した答で正しいと思っていただけるのならばやはり、それが正解なのでしょう。
後は皆様方次第です(なるべく解りやすい説明を心掛けて来たつもりなのですが)。
ダメージの中和許容限界を上回る、怒濤のような波動法力の奔流に流石の超新星達も無傷ではいられなかった、“レウルーラの加護”を前方に集中して展開させたばかりか己達のパワーの一部も防御に振り分けて何とか彼の放った極小マイクロブラックホールの次元振幅放射の、凄まじいまでの衝撃波と熱エネルギーとを耐え忍ぶ事が出来たのだ。
もっとも。
「・・・・・」
「・・・・・」
全身が煤と切り傷だらけになりながらも、それでも尚もレウルーラの最高戦力“超新星”の面々はまだまだ余力を残していた、確かにある程度のダメージを与える事には成功していたのだが、“レウルーラの加護”は完全に消し飛んだ訳では無くて相変わらず彼女達の周囲に鉄壁の壁を出現させていたのだ。
だが流石に蒼太はもう2度と波動真空呪文を集束状態でぶっ放そうとはしなかった、あのエネルギー質量と疾走力はここで使うには拙すぎると判断していた為である。
(確かに“レウルーラの加護”のダメージ限界を上回る力は持っているけれど・・・。だけど下手をすると今度はここが、本部が持たなくなってしまうかも知れないからね・・・)
“それにルテティア市民に犠牲を出したくは無いし・・・”等と蒼太が考えているとー。
「蒼太、あなた!!!」
メリアリアが心配そうな面持ちのままに横から声を掛けて来た。
「あの、その・・・。凄い呪文威力だったけれども体の方は大丈夫なの・・・?」
「ああ、それに付いては問題ないよ?ちゃんと君達や自分に悪影響が行かないように計算して撃ったからね、それよりも・・・」
“あいつらだ・・・!!!”と青年はマーガレット達を睨むモノの超新星達の戦闘能力はこれっぽっちも衰えておらず、その気力も十二分に漲っている、尚且つ“レウルーラの加護”も未だに健在なままである、正直に言ってこのまま本格的な戦闘に入るのはかなり危険と言わざるを得なかった、かと言って。
「どうするの?一応ダメージは通ったみたいだけれど・・・。だけどあの攻撃を何発も続けるのは正直に言って危険だわ?ここや街が持たないかも知れないし、それになりよりあなたの体が!!!」
「うん、その通りなんだよメリー。まあ体の方は大丈夫なんだけれども、ここの施設の方が崩壊してしまうかも知れないんだ。それでどうしようかと考えている所だったんだ、君達を巻き込みたくはないからね・・・」
「今の波動真空呪文は威力が大きすぎますけれども、かと言って私達の呪文では効果がありませんモノね・・・」
「それだけではない。あの“レウルーラの加護”とか言う防御幕を何とかしないとこっちの攻撃は通らないままだぞ?」
そこへアウロラとオリヴィアも会話に加わって来るモノの流石の彼女達も情勢の厳しさは目に余る程であり、顔を思い切り曇らせていた、確かに蒼太の今の攻撃をあと2、3回も繰り返せばいかな超新星達と言えどもそれなりに消耗はするだろうし、ダメージもかなり蓄積するだろう、つまりは彼がそのつもりになってくれるのならば勝ち目はメリアリア達にも存在していた、いたのだが。
問題はその2、3回の攻撃を掛ける際に発生するであろうエネルギー充填に於ける時間をマーガレット達がおめおめと見逃すとは思えない、と言う所であり更に言うならば今のメリアリア達では蒼太が波動真空呪文を生成するまでの時間も稼いではやる事が出来ない、と言う事がまた困りモノであったのである。
「・・・・・っ!!!」
「・・・・・」
「くそぅ・・・っ!!!」
“こっちもせめて、互角の状態で戦えればな・・・”とオリヴィアが呻くように述べ立てた、その時だ。
「出来るぞ?」
後ろから声が聞こえて全員が振り向くとそこにはエマとクレモンスが立っていた。
「向こうの不死身のタネは解った、そして状況もな。要するに奴等と同じ時空歪曲フィールドを君達に纏わせてやれば良いのだろう?」
「そうすれば互角の戦いが出来る、そうだな?」
「・・・その通りなんだけれども。だけどそんな事が本当に出来るのか?」
怪訝そうな面持ちのままにそう尋ね返す青年に対してエマとクレモンスは“まあ見てろ”と答えると二人で手を繋いで並んで立ち、互いの意識を同調させる、そうしておいてー。
気とエネルギーとを混ぜ合わせて行きその状態で祈りを捧げ始めた、すると。
蒼太達の全身が虹色に輝く光に包まれ、天地がグニャリと歪む感覚を覚えて困惑した、しかし。
「・・・・・っ!!!」
「これって・・・!!!」
「この感覚は・・・!!?」
「私にも解るぞ?これが“時空歪曲”と言う奴なのか・・・」
感嘆の言葉を口にする花嫁達に対して蒼太は直ぐ様“みんな、エマとクレモンスを守れ!!!”と指示を出していた、“彼女達の内、どちらかがやられてしまえばこの能力も消えてしまう!!!”とそう告げて。
「だけど確かにこれで互角の戦いが出来る、こちらの時空歪曲フィールドで相手のそれを中和、減退させて攻撃を通す事が出来るようになっている筈だ。みんな構えろ!!!」
「ええっ!!!」
「はいっ!!!」
「了解した!!!」
そう言って蒼太とメリアリア達花嫁が戦闘態勢を取った瞬間ー。
ルクレールやエヴァリナ、そしてマーガレットがエマとクレモンス目掛けて吶喊して来た、悔しそうな表情を浮かべている所を見るとやはり“先に始末をつけておけば良かった”と後悔をしているのであろう事がありありと窺える。
そしてその背後ではー。
リエラが肩に担いでいた大型自動小銃を降ろして構え、ヴェルキナが何時ぞやのように本をペラペラと捲ってトワイライトゾーンを発動させようと試みる、しかし。
「させるかぁっ!!!」
そこにメリアリアが“待った”を掛けた、先程と同じく紅炎魔法を顕現させた彼女はそれを自在に操りつつもヴェルキナ目掛けて一挙に殺到させたのだ、すると。
「・・・・・っ!!!」
(通った、攻撃が!!!)
今度は一瞬の間を置いて力が伝わり、炎の渦が直後にヴェルキナの本を焼き尽くして行った、その事に自信を得たメリアリアは続いて気合い一閃、迫り来るルクレールに対してエルヴスヘイムで貰って来た、魔法金属ミスリルで作られている“茨の聖鞭”を高速で叩き付け、その動きを止めるべく立ちはだかる。
まず最初に狙ったのは脚であり、特に太腿に狙いを定めるモノの、これは見事に躱されてしまい反対にルクレールをして加速を付けさせ、自身に向かって突撃を許す事態となった。
「もらった!!!」
「させない!!!」
しかしメリアリアは冷静だった、ルクレールの動きは以前、蒼太を相手にして見せた時とは違って単調でありその軌道を読む事はメリアリアにとって造作も無い事だったのである。
「てやっ!!!」
「ちいぃぃっ!!!」
メリアリアは再び、目にも止まらぬ早業で鞭を振るう。
今度はルクレールの胸、特に心臓を狙って攻撃を繰り出した、だがルクレールはその攻撃を瞬時に見切ると漸く本調子が出て来たのか2本のレイピアを自在に操り目標をエマとクレモンスからメリアリアへと明確に変えて遮二無二連続で刺突攻撃を繰り出して行く。
それを華麗なステップと体捌きで全ていなして躱して見せたメリアリアはリエラやヴェルキナの動きに注意しつつもルクレールに第3撃を叩き込んだ。
二人の間には無数の火花が飛び散って、それらがどれだけ激しい攻防が行われているのかを物語っていた、一方で。
「・・・貴様がマーガレットか?」
「そう言う貴様はオリヴィアだな?」
オリヴィアはマーガレットと相対していた、互いに名前は聞き知っていた、いつか決着を着けねばならない事も覚悟していたモノの、それが今日、訪れたのだ。
オリヴィアは愛用の片刃剣を、そしてマーガレットはロングソードを抜き放つとそれぞれ距離を詰めつつ“先読み”の応酬を開始した、剣を実際に打ち込むより先に相手の動きを読み取って隙を探り、そこへ必殺の一撃を放つ。
東洋西洋で表現方法に違いはあれども基本的に何処も剣術とは似たような動きや流れを辿るのだな、とそれを見ていた蒼太は思ったが、そんな彼はと言うと。
「あなたが相手なのですか?蒼太さん・・・!!!」
「久し振りだな、エヴァリナ。“クールジャパン”は楽しんでもらえたかな・・・?」
メリアリアやオリヴィアと同じように後方に陣取っているリエラやヴェルキナの動きを警戒しつつ、エヴァリナの前へと立ちはだかった、これはエマとクレモンスのみならずアウロラを守る為に取った行動であった。
メリアリアやオリヴィアと違って格闘戦はそれほど得意では無い彼女を蒼太は最優先で保護する事にしたのである。
「無粋ですわ?せっかく“超新星”と“女王位”の決戦の場ですのに・・・。余計な殿方がウロチョロと!!!」
「うちの嫁さんを傷付けさせる訳にはいかないんでね、悪いけど選手交代を認めてもらうよエヴァリナ!!!」
そう叫び様。
蒼太はエヴァリナに吶喊して手にしていた聖剣“ナレク・アレスフィア”を上段から振り下ろした、瞬間。
ガッチイイィィィンッ!!!と言う音がして剣がロッドに防がれる、凄い馬鹿力だとエヴァリナは思った、こんなのと真正面から打ち合いを続けていたら、自分と武器が先に音を上げるのは火を見るより明らかだ。
その上しかも。
「アウロラ、僕とメリーとオリヴィアに強化魔法を掛けてくれ。それから背後にいる別働隊二人を“爆雷魔法”で牽制して欲しい!!!」
「・・・は、はいっ。承知しました!!!」
アウロラはテキパキと与えられた指示通りに役割を熟しながら先程の蒼太の言葉を頭の中で反芻させていた、“うちの嫁さんを傷付けさせる訳にはいかないんでね”、なんてニヒルっぽくて格好良い言い草だろうか。
それに自分が大切にされている感じがして“愛されているんだな”と言うのが強く伝わって来て思わず嬉しくなってしまう、しかし。
そんな事を考えながらも暖かな気持ちになったアウロラがふとした事から気を緩めてしまった、その時だ。
ズダアアァァァンッ!!!と言う銃声が響くと同時にキィンッ!!!と言う金属の激突音が聞こえて来て、蒼太の足下に真っ二つに切り裂かれたライフル弾が転がった。
「アウロラ、油断しないっ。敵は銃を持っているから気を付けるんだ!!!」
「・・・・・っ。は、はいっ!!!」
青髪少女はそう頷いて咄嗟に蒼太に従った、それほど彼は自信と威厳に満ち満ちており、頼もしくて逞しかったのである。
一方で。
「・・・・・っ!!?」
(防いだ?今のを・・・!!!)
後方にいて自分専用のオーストリア製ライフル銃スナイパーカスタムを構えていたリエラは一瞬、驚きの表情を露わにするが完全に虚を突いた上に殺気だって引き金を引くギリギリまで出さなかったにも関わらず、あの蒼太と言う男は此方の攻撃に反応して見せた。
「・・・・・」
(まぐれか?それとも・・・)
リエラは気を取り直すと再びボルトアクションを構えて引き金に手を掛け、スコープを覗きながら“その時”を待つが今度は先程自分が狙っていた相手から反撃が来た、アウロラが爆雷魔法を用いて超新星達の前線と後方を遮断に出たのだ。
「・・・・・っ!!?」
(やってくれる・・・!!!)
リエラはライフル銃を持つと咄嗟にその場を離れてヴェルキナ共々右に左に爆雷魔法を躱し始め、時折その隙を突いては何度かアウロラに対する精密射撃を試みるモノの、それらは全て蒼太に叩き落とされて防がれてしまい用をなさなかった。
それだけではない、方向を変えてメリアリアやオリヴィアを狙った場合も結果は同じ事だった、彼は此方の動きや狙いを予測出来るのか、その時になると必ずエヴァリナを突き飛ばして体勢を崩させ、その隙に二人の援護へと駆け付けるのである。
「・・・・・っ!!!」
(あの男の人・・・!!!)
と事ここに至ってリエラは瞬時に理解したのである、蒼太の実力が達人を遥かに超えた領域に足を踏み入れた地点にいるのだ、と言う事に。
そしてそれはエヴァリナもまた同様であった、まだ“超新星”から“極超新星”になっていないとは言えどもそれでも、この目の前にいる青年は自分達二人を向こうに回して戦えるだけの戦闘能力を有しており、尚且つ頑健なのである、始末が悪いと判断していたのである。
その蒼太は涼しい顔で戦況を有利に持っていっていた、既にエヴァリナは肩で気吹きをするほどにまで消耗していた、と言うのに彼はと言えば少しも息が切れていない所か呼吸に乱れが全く無かった、とんでもない程の腕力と体力の持ち主であり、そして命を懸ける戦場の只中においても彼は常に一歩踏み込む勇気を持っている人間だったのだ。
「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!た、大した男です。ソウタ・アヤカベ、まさか私がここまで追い詰められるとは・・・」
「・・・・・」
僅か10分足らずの間にすっかりと消耗してしまったエヴァリナはそれでも何とか武器をつがえたまま後方に大きく飛び退き、戦場の流れの仕切り直しを画策する。
それに対して蒼太は特に追撃をかけるでも無くて、黙ってそれを見つめ続けていた、今回彼が取っていたのは何という事はない、ルクレールの時に試した相手の自滅を待つ攻勢防御戦法であったのだ。
自らの持つ集中力と感性を最大限にまで高めて直感力と洞察力とを引き出し、それと同時に鍛え抜かれた肉体の誇る体力と俊敏性とを活かして一瞬早くに相手の動きを先読み、機先を制する形でそこへと攻撃を加えて行くのだ。
これをやられてしまうとルクレールもエヴァリナも自分の好きに動く事が出来ないばかりか蒼太の鋭くも力強い打ち込みや刺突を否が応にも真正面から受ける事となってしまい己のペースが全く掴めずにただただ、やる気と継戦能力とを削がれて著しく消耗してしまう結果となってしまうのである。
現にエヴァリナはこれをやられた為に10分程度の戦闘でもう息が上がって来てしまい、腕が痺れてロッドを持つのも億劫な程にまで追い詰められてしまっていた、要するに蒼太の良いように動き回らされて体力と精神力とをすっかり磨り減らされてしまっていたのだ。
「・・・・・っ!!!」
(信じられません。ただでさえこの私と戦っている、と言うのに。その上で自分自身は元よりその後方にいるアウロラさん、いいえそれだけではなくてメリアリアさんやオリヴィアさんへの銃弾攻撃をも防ぎきって見せるなんて・・・っ!!!)
「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!ふうぅぅっ。想像を絶しますね、蒼太さん。あなたの内側には物凄い力が漲っているのを感じましたけれども・・・。だけどそれだけでは無いみたいですね?一体全体何なのでしょうか、その力の源は・・・!!!」
「・・・そんなの、決まっているだろ?」
“愛だよ・・・!!!”と蒼太はにべも無く言い放った、彼としてみれば本心からそう思っていたし、またそれ以外考えられない事柄だったからである。
「・・・愛ですって?」
「エヴァリナ、君は愛とは何かを知っているか?」
それを聞いた時にエヴァリナは一瞬、我が耳を疑ってしまった、まさかここに来てその言葉が聞かれるとは思っても見なかったのだ。
「・・・陳腐なロマンチシズムですわ?そんな言葉は」
「いいや違うね。人は愛や希望があるから生きて行く事が出来るんだよ・・・」
“君だってそうだろ?”とエヴァリナが蒼太に告げると彼は即座に反応して見せた。
「愛、他者を思いやる心・・・。その為にあんな自己犠牲スレスレの危険な行為を為さったんですの?自分だって決して余裕がある訳では無いにも関わらず、銃弾の前に何度も身を晒すなんて・・・」
「自己犠牲とはちょっと違うかな?僕は自分がそうしたかったからやっただけだよ?」
呆れた表情でそう述べ立てるエヴァリナに対して蒼太が静かに答えた。
「僕は愛と言うのが必ずしも自己犠牲を伴うモノだとは、思っていないよ?エヴァリナ。そりゃ確かに愛を貫く為には時には痛みだったり苦しみだったりが伴う場合もあるかもだけれども・・・。それでも最終的に自分を始めとして皆が報われ、救われるのが愛本来の姿であると僕は思っているからね・・・」
“そもそも僕は”と蒼太は続けた、“自己犠牲なんて大嫌いだよ”とそう言って。
「本来であれば己が一番、大事にしなければならない筈の最愛の体現である自分自身を事もあろうに自分で不用意に痛め付けるだなんて、そんな事をしている内は他人を愛する事など絶対に出来ないと思うからね・・・」
「・・・・・」
「それに逆の立場だったから悲しくて辛くて見ていられないよ、自分の大事な人達が自分を守って助ける為に自己犠牲の精神を発揮して危険に身を晒すなんて。絶対に御免被るよ、そんなのは愛の痛み、苦しみとは完全に似て非なるモノだ!!!」
「それはそうですけれど・・・。だけどあなたは・・・!!!」
「僕はね?エヴァリナ。僕自身を救って守り、そしてメリーやアウロラ、オリヴィアを救って守る。それを成し遂げたいんだよ、何がなんでもね?それが僕の愛だ!!!」
それだけ言うと蒼太は再び剣を構えてエヴァリナへと向き直るが、その瞳にはそれまで以上に強くて確かな輝きが宿り煌めいていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
蒼太君は別に自己犠牲の精神を発揮してメリアリアちゃん達を守っていたのではありません、彼は自分がそうしたかったからそうしたのです(メリアリアちゃん達を大切にしてあげたかったからです、そして何としてでも守ってあげたかったからそうしたのです)。
ちなみに私は自己犠牲と言うのは決して軽はずみにやったり、或いは誰かに強いたりしてはいけないモノだと思います、確かに愛を貫く為には時には痛みや苦しみが伴うのは事実です(ちなみに何故そう言った“障害”や“試練”が引き起こされて来るのか、と言えばそれは“それらを無事に突破して乗り越え、より強く美しく光り輝いて欲しい”と言う“御親神様”即ち大宇宙の愛情故なのだそうです←反対に宇宙は不必要な辛さ、悲しみを与えたりはしません。例えばもう既にこの二人だったら突破出来るな、と言う試練や障害を恋人達や夫婦に再度わざわざ与えたりはしないそうです、それらは余計な苦しみであり無駄な事だからです)、だけどそれらと自己犠牲は似て非なるモノだと思っています(最後の最後の手段としてどうしようも無い場合を除いては絶対にやってはいけませんし、やる必要も無いと思います)。
また皆様方、私は“愛に付いて”と題しましてここで何度か述べさせていただいておりますけれども(そしてその結果として“真心を尽くす事が愛すると言う事だ”と言う答えに辿り着けた訳ですけれども)、ここに来てまた、愛とは何なのか、と言う事がよく解らなくなってしまいました(そんなに簡単に“愛とは何か”と言う問いに対する究極的な回答が導き出せるのならばお互いに苦労は無い、と言う事なのでしょうね)。
皆様方はどう思われますか?私の出した答で正しいと思っていただけるのならばやはり、それが正解なのでしょう。
後は皆様方次第です(なるべく解りやすい説明を心掛けて来たつもりなのですが)。
応援ありがとうございます!
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