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1 Prologue
「あんなやつだったか?」
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「ーーユリアーナ!」
たまらず廊下に出て、オイレンブルグ家から去るべく玄関を目指す。同じ会場にいたテオドール・シュナイダーが私を追いかけてきた。テオドールはラムスドルフ侯爵家とも旧知の中のシュナイダー公爵家の三男であり、私の幼馴染みでもある。
「テオ…」
「アウグストのやつ、どうしたんだ?お前たちはまったく問題がなかったように思うんだが」
テオとアウグストは同い年で仲も悪くないと思うのだが、そんなテオも今回の件は初耳だったらしい。
「ーーー私もそう思ってた…」
今年20歳になる私の、3歳歳上のアウグストは、容姿こそ凡庸ではあったが人格者で知性にも優れ、私は激しい恋情は持つことはなかったものの信頼できる兄のような気持ちで幼い頃から慕っていたのである。親同士が決めた婚姻とはいえ、自分が尊敬できる人と婚約が出来て恵まれていると思っていたーーついさっきまで。
「あのラウラって女、初めて見る顔だったが、知り合いか?」
「ううん、私も知らない…」
その時、彼の背後に、私を追いかけてきたらしいアウグストが走り寄ってくるのが見えて、テオドールに黙るように目配せした。
「ーーユリアーナ」
「アウグスト様」
彼はきっと咄嗟に追いかけてきたのだろう、何も言葉が出そうにはなかった。それはそうだろう、考えうる最悪の方法で、彼は私を侮辱した。大勢の群衆の前で、婚約破棄を一方的に宣言したのである。しかも、人格を否定するような言葉も添えて。私たちが向き合って黙っていると、テオドールが腕を組んで唸った。
「アウグスト、お前らしくない。一体何がどうしたんだ?ユリアーナに何の問題が?」
「…問題は、ない…。ただ……ふと、このまま親の言いなりで婚姻していいのかと悩んでいたんだ…その時ラウラに会って…」
(あ、これ、小説と同じ流れだ…確か『悪役令嬢』がここで婚約破棄をしないでと駄々をこねて…本当のヒロインが登場して…)
「アウグスト様」
殿方が話している時に無礼なことだと分かっていたが、気持ちがせいた私は彼の言葉を遮った。
「婚約破棄の件は…お受けいたします。ただ先程申し上げました通り、家同士の問題でもありますから…ラムスドルフ家に正式にお申し入れくださいませ。両親には私から先に話しておきます」
「あ、ああ…」
「ラウラ様と、お幸せに。遠く離れた場所からアウグスト様のお幸せを心から願っておりますわ」
私は茫然としているようにも見えるアウグストに最上級の礼をした。顔をあげた瞬間、遠くから憎々しげな視線を感じた。
(ーーーーラウラ!)
大広間の出入り口に立ったラウラがそれはそれは強い視線で私を睨みつけていた。
(私、あんな顔で睨まれるほどに憎まれている…?どうして?彼女の思い通りになったのに…?)
たまらず廊下に出て、オイレンブルグ家から去るべく玄関を目指す。同じ会場にいたテオドール・シュナイダーが私を追いかけてきた。テオドールはラムスドルフ侯爵家とも旧知の中のシュナイダー公爵家の三男であり、私の幼馴染みでもある。
「テオ…」
「アウグストのやつ、どうしたんだ?お前たちはまったく問題がなかったように思うんだが」
テオとアウグストは同い年で仲も悪くないと思うのだが、そんなテオも今回の件は初耳だったらしい。
「ーーー私もそう思ってた…」
今年20歳になる私の、3歳歳上のアウグストは、容姿こそ凡庸ではあったが人格者で知性にも優れ、私は激しい恋情は持つことはなかったものの信頼できる兄のような気持ちで幼い頃から慕っていたのである。親同士が決めた婚姻とはいえ、自分が尊敬できる人と婚約が出来て恵まれていると思っていたーーついさっきまで。
「あのラウラって女、初めて見る顔だったが、知り合いか?」
「ううん、私も知らない…」
その時、彼の背後に、私を追いかけてきたらしいアウグストが走り寄ってくるのが見えて、テオドールに黙るように目配せした。
「ーーユリアーナ」
「アウグスト様」
彼はきっと咄嗟に追いかけてきたのだろう、何も言葉が出そうにはなかった。それはそうだろう、考えうる最悪の方法で、彼は私を侮辱した。大勢の群衆の前で、婚約破棄を一方的に宣言したのである。しかも、人格を否定するような言葉も添えて。私たちが向き合って黙っていると、テオドールが腕を組んで唸った。
「アウグスト、お前らしくない。一体何がどうしたんだ?ユリアーナに何の問題が?」
「…問題は、ない…。ただ……ふと、このまま親の言いなりで婚姻していいのかと悩んでいたんだ…その時ラウラに会って…」
(あ、これ、小説と同じ流れだ…確か『悪役令嬢』がここで婚約破棄をしないでと駄々をこねて…本当のヒロインが登場して…)
「アウグスト様」
殿方が話している時に無礼なことだと分かっていたが、気持ちがせいた私は彼の言葉を遮った。
「婚約破棄の件は…お受けいたします。ただ先程申し上げました通り、家同士の問題でもありますから…ラムスドルフ家に正式にお申し入れくださいませ。両親には私から先に話しておきます」
「あ、ああ…」
「ラウラ様と、お幸せに。遠く離れた場所からアウグスト様のお幸せを心から願っておりますわ」
私は茫然としているようにも見えるアウグストに最上級の礼をした。顔をあげた瞬間、遠くから憎々しげな視線を感じた。
(ーーーーラウラ!)
大広間の出入り口に立ったラウラがそれはそれは強い視線で私を睨みつけていた。
(私、あんな顔で睨まれるほどに憎まれている…?どうして?彼女の思い通りになったのに…?)
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