虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

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2章 セカンドライブ

69話 大丈夫だよ

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入学式から1週間が経った。
「ねぇ、次の授業って理科だろ?
移動しようぜ」
「そうだな。あ、昼休み、
サッカーしようぜ」
「ねぇ、この前買った雑誌に可愛い服
載ってたんだ」
「本当?後で、写真送って」
グループ分けがある程度固まった頃、
僕は未だにボッチ。

まぁ慣れてるといえば慣れてるけど、
僕もそろそろ理科室に移動しようと思い、
席をたった拍子に落とした消しゴムを拾うとしたら、
「っ、」
手を踏まれた、上履きだから結構痛い。

「あ、ごめ~ん。気づかなかったよ、
雪希ちゃん、」
僕を見下したのはクラスカーストで確実に
上位にいるであろう辺理くん。
彼はすぐに足を離す。

「いや、大丈夫だよ。」
「チッ」
彼は舌打ちをして去り際に、
「ごめん」
とボソリと呟いた。
「え、」
彼はそれだけ言って取り巻きのところへ。

元々この中学校に来るつもりはなかった。
でも、みんなと同じ中学校だと今までよりも
寮から遠くなるので断念してこの学校に進学した。

これから3年間も縛られないといけないのかと思うと憂鬱でしかない。
クラスメイトは遠巻きに傍観してたり、
クスクス笑ったり、興味ないなど三者三様。
(どこに行っても異物は排除するって
考えなんだな)

そこから無視されたりぶつかられたりした。
流石に暴力はなかったけど。
でも私物がなくなったり、
壊れていることが増えた。
担任の先生に言っても、
「そんな身なりしてるからでしょう、
自己責任だよ」
と嘲笑った。

(期待してた訳じゃない。ただそんなことを
言われるなんて思わなかった。)
数日後の美術の時間、
クラスメイトが絵を教卓の椅子に座っている先生に見せるとこう返ってきた。
「自分を表現できているね、
個性的な絵で素敵だね」

優しい声でそう言われた生徒ははにかんだ。
(その子の絵の個性は認められるのに僕の個性は認めてくれない、理不尽だな)

先生は席を立って
「自分を表現できるのは自分だけです。
下手でもいい、上手くなくていいんです。
自分はこういう人物だとどう表現したら相手に伝わるか、難しいかもしれませんがそれを意識して描きましょう。」
自分、自分ってなんだろう。

分からなくて適当に取った絵の具を少量ずつパレットに出し、画用紙に乱雑に塗りつぶした後、黒で線を沢山描く。
(何やってんだろう)
先生が僕の方に来て絵を覗き込む。
「色使いが上手だね、」

(あ、この人は絵を見ていない、適当に口先だけの言葉を並べて相手をおだててるんだ。)
「あえて黒い線を引いたんだね」
先生はそういうと、満足したように席を
離れた。

(自分で何を描いたか分からないのになんで
わかったようなことを言うんだろう)
授業が終わり絵を乾燥棚へ
載せて美術室を出る。

学校が、終わりレッスン場へ行くともう
みんな揃ってた。
「ごめん、遅れた」
「大丈夫だよ、雪希。」
舞はストレッチをしながら答えた。
僕はジャージに着替えたタイミングで杏奈さんと杏子さんが入ってくてレッスン開始。

余計なことは考えないように集中してやると
すぐに休憩になった。
「雪希、何かあった?」
「どうしたの、蓮、何かって?」
「いや、なんか元気ないように見えたから」
「、そう?気のせいだと思うけど」
(余計なことは考えさせないようにしないと)
「そっか、話せる時まで待つから聞かせてくれよ」
「う?うん」
(なんだかんだ3人は勘がいい。
気をつけないと)
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