9(ノナ)! TACTIC部!!

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11月のメインイベント

雷之丞と雷Jr.

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校長室へ呼ばれた、TACTIC部キャプテンの空町まちの。

空町
「空町です。」

雷之丞
「入りなさい。」

空町
「……」

ガチャ...... 空町は扉を開け中へ入る。

空町
「失礼いたしま――えっ誰ですか、
 この子達は……?」

雷之丞のいる校長机の両側に、
4人の少年達が控えている。

雷之丞
「ああ、戦いご苦労だったね。空町君。
 無事、エリアの一つ奥へ進んだと聞いた。
 コーチ君も、上手くやっているようだね。
 それはそうと、紹介しよう……
 
 私の補佐をしてくれる、雷之丞Jr……
 略して雷ジュニだ。」

こんちはー、よろしくぅなどめいめいに述べ、ニヤニヤと、あからさまに好奇の目で空町を見てくる雷之丞Jr.こと雷ジュニ達。

空町
「は、はあ……よ、よろしくお願いします……」

雷之丞
「我々男性は、お分かりのように、
 エリア内で戦うようなことはできない。
 縁の下の力持ちとして、君達の戦いを支える。
 
 私のように、君達をエリアに転送したり、
 コーチ君のように戦術面を受け持ったり、
 まあ色々とやることはあるわけだ。
 
 今までは、校長が一人でそれを担っていたが、
 私にはまだあのお方ほどの力は、
 ないのでね。」

空町
「……は、はい。感謝いたします。
 
 ……」

話を聞く間も、雷ジュニ達の好奇心旺盛な視線を注がれ、空町はいたたまれない。

雷之丞
「君達、TACTIC部と我々はこうした上で、
 学園内でも特に関わりが深い。
 我々は君達を支えるが、君達もまた、
 この《ハザマ》に来たばかりの我々を
 助けてほしいんだ。
 そういう協力関係を、築き上げていくことを
 我々は、望んでいる。」

空町
「ええ、それは、その通りですね……。」

優秀な魔導師であり、自惚れ屋と言っていい雷之丞が、助けてほしい……とは?
空町は訝しく思いつつ、見えない話の先を探る。

空町
「その、何か、私達にできることなんて
 あるのでしょうか?」

雷之丞
「我々男性にとって、本来、女子だけが
 いられるこの《ハザマ》の学園にいることは
 なかなかに、大変なことでね……」

空町
「はあ……」

雷之丞
「全く動ぜずにいらした校長を、尊敬するよ。
 いや、ただ老いぼれていた故にリビドーが
 暴走することもなかった、というだけかな?」

空町
「リビドー……? 暴走……?
 あの……どういうことです?
 先程からイマイチお話が見えないのですけど
 ……」

雷ジュニ達
「ニヤニヤ ニヤニヤ」

雷之丞
「この空間では、リビドーが安定しないのだよ。
 リビドーの膨張が心身を蝕み、病んだり、
 発狂してしまうこともある。」

空町
「そう……なのですか。
 男性にとっては……
 ……」

雷之丞
「君達の力で、このリビドーの安定化を
 手伝ってほしいんだ。
 そういうこと、だ。」

空町
「リビドーの……安定……?」

雷ジュニ達
「ニヤニヤ ニヤニヤ」

雷之丞
「ギブ&テイク? OK?」

空町
「私達が……えーっと
 つまり何をすれば?」

雷之丞
「今はいい。まだ、な。まあ別に、
 今してもらってもこっちとしてはそれはそれで
 愉しいのだが……フフ フ」

雷ジュニ達
「ニヤニヤ ニヤニヤ」

空町
「……、……
 
 あ、あの……今はもういいんでしたら、
 私は失礼しますね。」

退出する空町の背を、扉が閉まるまで尚、雷ジュニ達の視線が張り付くように追いかけた。

雷ジュニA
「へへへ。しかし、役得だよな。」

雷ジュニB
「あんなお姉さん達にやってもらえるんだ。」

雷ジュニC
「さっきの子もなかなか……」

雷ジュニD
「おれはもっと派手な子がいいなあ。」

雷ジュニA
「まあまあ、選り取り見取りだって!」

……

校長室を退出した空町。

空町
「……はああ
 緊張した……。
 あんな男子達の真ん中に立たされて、
 ……変な気分。
 けど、リビドー……よくわからないな。」

そこへ、草馬が通りかかる。

空町
「あ、草馬さん……
 どちらへ……?」

草馬
「……」

空町
「あ……」

草馬は空町に返答することなく、行ってしまう。

空町
「……仕方ないか。今は。
 部をしっかり立て直せるまでは……
 はあ、コーチ。お願いしますよ……!」
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