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黒髪黒目
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「……紗凪と悠月は、テストとか大丈夫なのか?」
夏、出会ってから約二ヶ月。強い日差しが射す日も増えたこの頃、夏休み前のテストが近づいていた。
「え、まさか静月勉強してたのー?」
「あぁ、まぁ……一応な?」
「へー、偉いね。そのノート?」
「おう。見るか?」
「んー、字綺麗だねー。あ、ここ解き方違う。答え合ってるけど」
「え、そうなのか?」
「ここの二次方程式は──」
その時────。
「いやー、仲がいいねぇ」
そんな静月と紗凪を見つめる、悠月と弦がいた。
「ほんとなー。気が合うというか、なんと言うか」
「あれじゃない? いい意味の同族」
「そうだな」
「まぁうちらも、傍観の同族かな?」
「っはははは! そーだな!」
出会って二ヶ月。最初こそケンカしていたが、付き合いの長くなるうち打ち解けて行った。何より、『今まで、自分たちに媚を売ってきた女とは違う』──そんな感情が、藍咲の若頭たちの心に響いていた。
「悠月は勉強しないのか?」
「一応終わったからね」
「え、早くないか? 範囲広いし」
「それは建て前。それの半分もないよ?」
「えぇぇぇ!?」
「その三分の一ぐらいは、教科書にある例題のそのまんまだし。弦なら大丈夫だよ!」
「っ……! あ、あぁ」
「あ、飲み物買ってくるけど、何がいい?」
立ち上がりつつ悠月に問う紗凪。その手にはネイビーの財布が握られている。
「いつものでいいよ!」
「ん、りょーかい。じゃー行ってくるね!」
「……あれ? 悠月、静月と紗凪は?」
「コンビニに飲み物買い行った!」
「そーか。なーんだ……デートでも行ったのかと思った」
「ぷっ、はははっ!! でもそのうちしそうだね!?」
「だよなぁ、仲良いし!」
「ほんと……っ痛っ!」
「っ、大丈夫か?」
「う、うん。ちょっと...ね?」
突然目を押さえ、うずくまった悠月。
「どうかしたのか? ……そういえば、悠月はコンタクトだっけ」
「ん、そうなんだけどね」
「大きさ合ってるか? 一回外した方がいいんじゃ……」
「っ大丈夫だよ! そんなんじゃないしっ...」
「本当に大丈夫か? カラコンとかなら、一回変えたり」
「っ、大丈夫だってばっ!!」
いつになく大きな声を出し、悠月は弦を拒んだ。
「 ……あ、ご、ごめ──」
「別にいい、言いたくないんなら……」
「っ、そういうんじゃっ……!」
「踏み込んで悪かったな。少し頭冷やしてくる。静月たち戻ってきたら、連絡してくれればいいから」
「っ、弦ってば──」
無情にもがらりと音を立て、教室のドアは閉められる。
がらがらがらがら、がらららっ。
何か、崩れるような音が、悠月には聞こえていた。
それは、他人には聞こえない『幻聴』のようなものだった。
何が崩れる音で、何を崩す音だったのだろう。
そしてそれは、今になって、知る者はいない。
夏、出会ってから約二ヶ月。強い日差しが射す日も増えたこの頃、夏休み前のテストが近づいていた。
「え、まさか静月勉強してたのー?」
「あぁ、まぁ……一応な?」
「へー、偉いね。そのノート?」
「おう。見るか?」
「んー、字綺麗だねー。あ、ここ解き方違う。答え合ってるけど」
「え、そうなのか?」
「ここの二次方程式は──」
その時────。
「いやー、仲がいいねぇ」
そんな静月と紗凪を見つめる、悠月と弦がいた。
「ほんとなー。気が合うというか、なんと言うか」
「あれじゃない? いい意味の同族」
「そうだな」
「まぁうちらも、傍観の同族かな?」
「っはははは! そーだな!」
出会って二ヶ月。最初こそケンカしていたが、付き合いの長くなるうち打ち解けて行った。何より、『今まで、自分たちに媚を売ってきた女とは違う』──そんな感情が、藍咲の若頭たちの心に響いていた。
「悠月は勉強しないのか?」
「一応終わったからね」
「え、早くないか? 範囲広いし」
「それは建て前。それの半分もないよ?」
「えぇぇぇ!?」
「その三分の一ぐらいは、教科書にある例題のそのまんまだし。弦なら大丈夫だよ!」
「っ……! あ、あぁ」
「あ、飲み物買ってくるけど、何がいい?」
立ち上がりつつ悠月に問う紗凪。その手にはネイビーの財布が握られている。
「いつものでいいよ!」
「ん、りょーかい。じゃー行ってくるね!」
「……あれ? 悠月、静月と紗凪は?」
「コンビニに飲み物買い行った!」
「そーか。なーんだ……デートでも行ったのかと思った」
「ぷっ、はははっ!! でもそのうちしそうだね!?」
「だよなぁ、仲良いし!」
「ほんと……っ痛っ!」
「っ、大丈夫か?」
「う、うん。ちょっと...ね?」
突然目を押さえ、うずくまった悠月。
「どうかしたのか? ……そういえば、悠月はコンタクトだっけ」
「ん、そうなんだけどね」
「大きさ合ってるか? 一回外した方がいいんじゃ……」
「っ大丈夫だよ! そんなんじゃないしっ...」
「本当に大丈夫か? カラコンとかなら、一回変えたり」
「っ、大丈夫だってばっ!!」
いつになく大きな声を出し、悠月は弦を拒んだ。
「 ……あ、ご、ごめ──」
「別にいい、言いたくないんなら……」
「っ、そういうんじゃっ……!」
「踏み込んで悪かったな。少し頭冷やしてくる。静月たち戻ってきたら、連絡してくれればいいから」
「っ、弦ってば──」
無情にもがらりと音を立て、教室のドアは閉められる。
がらがらがらがら、がらららっ。
何か、崩れるような音が、悠月には聞こえていた。
それは、他人には聞こえない『幻聴』のようなものだった。
何が崩れる音で、何を崩す音だったのだろう。
そしてそれは、今になって、知る者はいない。
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