マトリョーシカ少女

天海 時雨

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回想 the sixteen years old

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「あはははははははっ! ほら、何だよ?」
「うっ、あああっ……」

 その日は、月のない闇夜だった。女の被害は絶えず、そしてそれを見て見ぬ振りをする者。今日はある一人の女が被害を受けているようだ。しかし────。

「……『何だよ』はこっちの台詞。そいつに触るな」
「あ? 混ざりてぇのか? あぁ?」
「お前に満足させられる程私は安くねぇな。早く退け、そいつが汚れる」
「けけっ、汚そうとしてん──」

 ぐしゅり、と音がする。

「うっ……」
「……ばいばい、クズ」

 あははっと笑い、最早命は消えた男から銀色のバタフライナイフを引き抜く紗凪。彼女の髪は同じように銀に光って見える。

「っ、ふ、くっ……」

 そして黙ったまま泣き続ける女も、銀色に瞬くような容姿をしていた。

「大丈夫? 見ない方が──悠月?」
「っ……あな、た──紗凪?」
「私の家においで。手当てしよう」



「……未遂なら、良かった」
「ん、まぁね。助かったよ」
「久しぶりに会ったね」
「……うん、私の母さんの葬式以来だよね」
「悠月は、何してた?」
「おばさんのところにいた。優しい人だった」
「ん、そっか、よかった。ねぇ、高校どこ?」
「あの、金持ちのとこ……」
「え、嘘。同じだよ」
「ほんと?」
「うん。……ほら、終わった。もう十一時──寝る?」
「うん、疲れたから」


「……さっさと行け」
「ひっ、ひいいっ……」
「もー、しつこいなぁ。やられたいの?」
「うっ、うわああああっ!」

 命からがらといった様相で駆け出していく男達。その背後では女が二人で笑っている。

「あーぁ、弱いの。しつこいし……」
「スライムみたい。そうだ、そろそろスノーに行かないと」
「あ、そうだね。そうだ紗凪、マティーニ作ってみるから練習に付き合ってくれない?」
「いいよ」



「……あ、おいしい。完成だね」
「やったー! じゃあ次は!」
「ふふっ、紗凪と一緒にサイドメニュー!」
「よしっ、頑張ろ!」
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