マトリョーシカ少女

天海 時雨

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最終章

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「──おー、これが伏見稲荷大社……」

 四人は京都に来ている。

「上ってみるか?」
「うん、行こう行こう! でも静月大丈夫?」
「俺はな。日焼けすんなよ」
「はーいっ。じゃあ悠月にお土産買って帰ろーっと」
「そういえばあいつらどこに?」
「悠月は来れないから、あの立花りっかさんのお手伝いじゃない?」

 日の下には出られない悠月は、四人が泊まる宿の女将の孫娘──もともと悠月の母親は京都出身だが、上京すると聞かない娘に折れた。

「あの人厳しそうだったよな」

 てくてくと長い長い階段を上りながら、少し不満げに言う静月──三年前より身長は伸びたようだ。

「そうかな? いい人じゃん。あ、拝殿だよっ!」

 朱色と黄色、黒色──全てが鮮やかに彩られた聖域の拝殿。

「御朱印あるっ! ほら行こうよー」
「ちょい待て」

 今にも走り出しそうな紗凪の手に、静月は指を絡める──その左手には、銀色の指輪が輝いていた。
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