乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

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20章

124.モテる男

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 ルーパルドから話を聞いたところ、婦人が困っていたのでそれを助けたら気に入られてしまったとのこと。
 婦人としてはこの歳になると金で雇った男くらいしか助けてくれないと愚痴っていたのだと。
 そして、金を渡していないのに自分を助けたということは、自分に気があるのではないか。と思い「愛人にしてやる」と言い放ったようだ。
 ものすごいポジティブだ。

「巻き込んでごめん。まさかまだ諦めていなかったとは……」
「皆モテモテだねぇ。いつ刺されてもおかしくなさそう」
「物騒なこと言うなよ。いざとなれば俺が守るから」

 今胸キュンするとこ? いや、そもそも今回の件はルーパルド関係だしなぁ。
 私がそんなことを考えているとは思っていないだろうルーパルドは、立ち上がり伸びをした。

「さて、救世主さま。あの2人がどこにいるかわかります?」
「意外と便利だね。ちょっと待って」

 探知機能使い2人を探す。すでにゲムデース城にいるようだ。ルーパルドに伝えると、城かぁ。と呟いている。
 
「じゃ、もう少しここでゆっくりしよう。いつまた追われるかわらないし」
「いいけど、通信機でイナトとロクに事情は説明しておいた方がよくない?」
「今あの2人動かすのもよくないと思う。2人がつけられたりなんかしたらこっちの動向バレちゃうよ」
「そう? ルーパルドが言うのならそうしようか」

 箱に囲まれた狭いスペース。そんなスペースを2人で座るとなると、嫌でも肩や足が触れる。いや、触れるなんて優しいものではない。この場合、ぎゅうぎゅうという言葉が正しいだろう。
 しかもルーパルドの鎧はそこそこ場所をとる。ということは私に硬いその鎧が押し付けられているのだ。跡がつきそうだ。

「あ、ごめん。狭いよな。俺の足の間とかどう?」
「いっそ立たない?」
「その方が楽? それなら――」

 そう言いかけたところでルーパルドは視線を外に向けた。私はルーパルドが見ている視線の先を探す。
 そこには、辺りを見渡しているフードを被った男が1人。ルーパルドが言うには仕事で出払っているため、昼時はほとんど人がいない場所らしい。
 あの様子からして、迷い込んだ者か私達を探しに来た者どちらかだろう。

「あれ、ロクじゃない?」
「え、まじ? ……いや、偽物かも」

 一瞬動揺を見せたルーパルドだったが、すぐに気を取り直す。
 私は念の為もう一度探知機能を使った。しっかりとロクと名前が記載されている。
 あそこに立っているのはロクで間違いないようだ。ではイナトはどこにいるんだろう。

「見つけた」
「っ! びっくりさせないで」
「突然すさまじい勢いで動き出して驚いたのは俺なんだが」

 屋根から降りてきたロクは、私達が身を隠していた箱を退けて仏頂面で私を見た。
 主人の証で位置を確認したロクは、イナトに許可を得てここまで走ってきたらしい。

「これもしかして俺が団長に怒られるやつじゃ?」
「別に私を守ったって言えばいいじゃん」
「あー、それはいいかもしれない。そうしよう」
「何かを隠蔽しようとしているんですかね?」
「え、待っていつからそこに」

 どこで馬車を捕まえたのか、馬車から優雅に降りてくるイナトの姿がそこにあった。
 これは言い訳できないと判断したルーパルドは、愛人にしたがっていた婦人と会ったことを話した。
 イナトもその婦人を知っていたようで、同情の眼差しでルーパルドを見ていた。
 
「逃げ切ったみたいですし今日のところは咎めません。早くエンドラスト国に行きましょう」
「2人がお城にいたのは確認してたけど、もしかしてすでに挨拶済ませた?」
「はい。残念そうにしていましたが、問題はありません」

 イナトだからこそできる荒技だろう。融通のきく良いお兄様国王だ。
 私達はイナトが乗ってきた馬車に乗り込む。
 乗り込んですぐにカーテンを閉め、イナトは一息つく。

「この馬車でワープポイントのある場所まで行きます」

 徒歩でも5分もかからない場所にワープポイントはあるが、おそらくこれ以上面倒ごとに巻き込まれたくないからだろう。
 誰も疑問を口にすることなく、馬車に揺られたのだった――。


 国境を越えるため、門に1番近いワープポイントへと移動。そこからはまた徒歩だ。
 門のすぐそばにワープポイントが設置されていたら良いのに。そう思いつつ整った道路を歩く。

「エンドラスト国はどんなところ?」
「雪国だそうですよ。龍は大半暑がりだから、寒い場所に住むのだそうです」
「ちなみに、雪の降っていない場所も一応あるらしいですよー。寒がりの龍がそこに集まると」
「その雪の降っていない場所もそこそこ寒かったり?」
「さあ? 俺達は行ったことないので、今話したことだって確証も何もないですしね」

 確かな情報は龍が住む国ということくらい。他は未知すぎて、まずはエンドラストの国王に会って地図をもらう予定なのだそうだ。
 私のマップも召使に会わない限りは真っ暗だし、それが1番だろう。

「国王様がいる場所はわかってるの?」
「いえ。ですが、迎えを頼んでいますのでご心配なく」

 イナトはいつも用意周到だ。
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