125 / 196
20章
124.モテる男
しおりを挟む
ルーパルドから話を聞いたところ、婦人が困っていたのでそれを助けたら気に入られてしまったとのこと。
婦人としてはこの歳になると金で雇った男くらいしか助けてくれないと愚痴っていたのだと。
そして、金を渡していないのに自分を助けたということは、自分に気があるのではないか。と思い「愛人にしてやる」と言い放ったようだ。
ものすごいポジティブだ。
「巻き込んでごめん。まさかまだ諦めていなかったとは……」
「皆モテモテだねぇ。いつ刺されてもおかしくなさそう」
「物騒なこと言うなよ。いざとなれば俺が守るから」
今胸キュンするとこ? いや、そもそも今回の件はルーパルド関係だしなぁ。
私がそんなことを考えているとは思っていないだろうルーパルドは、立ち上がり伸びをした。
「さて、救世主さま。あの2人がどこにいるかわかります?」
「意外と便利だね。ちょっと待って」
探知機能使い2人を探す。すでにゲムデース城にいるようだ。ルーパルドに伝えると、城かぁ。と呟いている。
「じゃ、もう少しここでゆっくりしよう。いつまた追われるかわらないし」
「いいけど、通信機でイナトとロクに事情は説明しておいた方がよくない?」
「今あの2人動かすのもよくないと思う。2人がつけられたりなんかしたらこっちの動向バレちゃうよ」
「そう? ルーパルドが言うのならそうしようか」
箱に囲まれた狭いスペース。そんなスペースを2人で座るとなると、嫌でも肩や足が触れる。いや、触れるなんて優しいものではない。この場合、ぎゅうぎゅうという言葉が正しいだろう。
しかもルーパルドの鎧はそこそこ場所をとる。ということは私に硬いその鎧が押し付けられているのだ。跡がつきそうだ。
「あ、ごめん。狭いよな。俺の足の間とかどう?」
「いっそ立たない?」
「その方が楽? それなら――」
そう言いかけたところでルーパルドは視線を外に向けた。私はルーパルドが見ている視線の先を探す。
そこには、辺りを見渡しているフードを被った男が1人。ルーパルドが言うには仕事で出払っているため、昼時はほとんど人がいない場所らしい。
あの様子からして、迷い込んだ者か私達を探しに来た者どちらかだろう。
「あれ、ロクじゃない?」
「え、まじ? ……いや、偽物かも」
一瞬動揺を見せたルーパルドだったが、すぐに気を取り直す。
私は念の為もう一度探知機能を使った。しっかりとロクと名前が記載されている。
あそこに立っているのはロクで間違いないようだ。ではイナトはどこにいるんだろう。
「見つけた」
「っ! びっくりさせないで」
「突然すさまじい勢いで動き出して驚いたのは俺なんだが」
屋根から降りてきたロクは、私達が身を隠していた箱を退けて仏頂面で私を見た。
主人の証で位置を確認したロクは、イナトに許可を得てここまで走ってきたらしい。
「これもしかして俺が団長に怒られるやつじゃ?」
「別に私を守ったって言えばいいじゃん」
「あー、それはいいかもしれない。そうしよう」
「何かを隠蔽しようとしているんですかね?」
「え、待っていつからそこに」
どこで馬車を捕まえたのか、馬車から優雅に降りてくるイナトの姿がそこにあった。
これは言い訳できないと判断したルーパルドは、愛人にしたがっていた婦人と会ったことを話した。
イナトもその婦人を知っていたようで、同情の眼差しでルーパルドを見ていた。
「逃げ切ったみたいですし今日のところは咎めません。早くエンドラスト国に行きましょう」
「2人がお城にいたのは確認してたけど、もしかしてすでに挨拶済ませた?」
「はい。残念そうにしていましたが、問題はありません」
イナトだからこそできる荒技だろう。融通のきく良いお兄様だ。
私達はイナトが乗ってきた馬車に乗り込む。
乗り込んですぐにカーテンを閉め、イナトは一息つく。
「この馬車でワープポイントのある場所まで行きます」
徒歩でも5分もかからない場所にワープポイントはあるが、おそらくこれ以上面倒ごとに巻き込まれたくないからだろう。
誰も疑問を口にすることなく、馬車に揺られたのだった――。
国境を越えるため、門に1番近いワープポイントへと移動。そこからはまた徒歩だ。
門のすぐそばにワープポイントが設置されていたら良いのに。そう思いつつ整った道路を歩く。
「エンドラスト国はどんなところ?」
「雪国だそうですよ。龍は大半暑がりだから、寒い場所に住むのだそうです」
「ちなみに、雪の降っていない場所も一応あるらしいですよー。寒がりの龍がそこに集まると」
「その雪の降っていない場所もそこそこ寒かったり?」
「さあ? 俺達は行ったことないので、今話したことだって確証も何もないですしね」
確かな情報は龍が住む国ということくらい。他は未知すぎて、まずはエンドラストの国王に会って地図をもらう予定なのだそうだ。
私のマップも召使に会わない限りは真っ暗だし、それが1番だろう。
「国王様がいる場所はわかってるの?」
「いえ。ですが、迎えを頼んでいますのでご心配なく」
イナトはいつも用意周到だ。
婦人としてはこの歳になると金で雇った男くらいしか助けてくれないと愚痴っていたのだと。
そして、金を渡していないのに自分を助けたということは、自分に気があるのではないか。と思い「愛人にしてやる」と言い放ったようだ。
ものすごいポジティブだ。
「巻き込んでごめん。まさかまだ諦めていなかったとは……」
「皆モテモテだねぇ。いつ刺されてもおかしくなさそう」
「物騒なこと言うなよ。いざとなれば俺が守るから」
今胸キュンするとこ? いや、そもそも今回の件はルーパルド関係だしなぁ。
私がそんなことを考えているとは思っていないだろうルーパルドは、立ち上がり伸びをした。
「さて、救世主さま。あの2人がどこにいるかわかります?」
「意外と便利だね。ちょっと待って」
探知機能使い2人を探す。すでにゲムデース城にいるようだ。ルーパルドに伝えると、城かぁ。と呟いている。
「じゃ、もう少しここでゆっくりしよう。いつまた追われるかわらないし」
「いいけど、通信機でイナトとロクに事情は説明しておいた方がよくない?」
「今あの2人動かすのもよくないと思う。2人がつけられたりなんかしたらこっちの動向バレちゃうよ」
「そう? ルーパルドが言うのならそうしようか」
箱に囲まれた狭いスペース。そんなスペースを2人で座るとなると、嫌でも肩や足が触れる。いや、触れるなんて優しいものではない。この場合、ぎゅうぎゅうという言葉が正しいだろう。
しかもルーパルドの鎧はそこそこ場所をとる。ということは私に硬いその鎧が押し付けられているのだ。跡がつきそうだ。
「あ、ごめん。狭いよな。俺の足の間とかどう?」
「いっそ立たない?」
「その方が楽? それなら――」
そう言いかけたところでルーパルドは視線を外に向けた。私はルーパルドが見ている視線の先を探す。
そこには、辺りを見渡しているフードを被った男が1人。ルーパルドが言うには仕事で出払っているため、昼時はほとんど人がいない場所らしい。
あの様子からして、迷い込んだ者か私達を探しに来た者どちらかだろう。
「あれ、ロクじゃない?」
「え、まじ? ……いや、偽物かも」
一瞬動揺を見せたルーパルドだったが、すぐに気を取り直す。
私は念の為もう一度探知機能を使った。しっかりとロクと名前が記載されている。
あそこに立っているのはロクで間違いないようだ。ではイナトはどこにいるんだろう。
「見つけた」
「っ! びっくりさせないで」
「突然すさまじい勢いで動き出して驚いたのは俺なんだが」
屋根から降りてきたロクは、私達が身を隠していた箱を退けて仏頂面で私を見た。
主人の証で位置を確認したロクは、イナトに許可を得てここまで走ってきたらしい。
「これもしかして俺が団長に怒られるやつじゃ?」
「別に私を守ったって言えばいいじゃん」
「あー、それはいいかもしれない。そうしよう」
「何かを隠蔽しようとしているんですかね?」
「え、待っていつからそこに」
どこで馬車を捕まえたのか、馬車から優雅に降りてくるイナトの姿がそこにあった。
これは言い訳できないと判断したルーパルドは、愛人にしたがっていた婦人と会ったことを話した。
イナトもその婦人を知っていたようで、同情の眼差しでルーパルドを見ていた。
「逃げ切ったみたいですし今日のところは咎めません。早くエンドラスト国に行きましょう」
「2人がお城にいたのは確認してたけど、もしかしてすでに挨拶済ませた?」
「はい。残念そうにしていましたが、問題はありません」
イナトだからこそできる荒技だろう。融通のきく良いお兄様だ。
私達はイナトが乗ってきた馬車に乗り込む。
乗り込んですぐにカーテンを閉め、イナトは一息つく。
「この馬車でワープポイントのある場所まで行きます」
徒歩でも5分もかからない場所にワープポイントはあるが、おそらくこれ以上面倒ごとに巻き込まれたくないからだろう。
誰も疑問を口にすることなく、馬車に揺られたのだった――。
国境を越えるため、門に1番近いワープポイントへと移動。そこからはまた徒歩だ。
門のすぐそばにワープポイントが設置されていたら良いのに。そう思いつつ整った道路を歩く。
「エンドラスト国はどんなところ?」
「雪国だそうですよ。龍は大半暑がりだから、寒い場所に住むのだそうです」
「ちなみに、雪の降っていない場所も一応あるらしいですよー。寒がりの龍がそこに集まると」
「その雪の降っていない場所もそこそこ寒かったり?」
「さあ? 俺達は行ったことないので、今話したことだって確証も何もないですしね」
確かな情報は龍が住む国ということくらい。他は未知すぎて、まずはエンドラストの国王に会って地図をもらう予定なのだそうだ。
私のマップも召使に会わない限りは真っ暗だし、それが1番だろう。
「国王様がいる場所はわかってるの?」
「いえ。ですが、迎えを頼んでいますのでご心配なく」
イナトはいつも用意周到だ。
0
あなたにおすすめの小説
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる