乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

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21章

128.星空

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 エンドラスト街を出て、少し歩いたところで箱を取り出し休憩。
 夕食をとり、今はリビングでイナトに明日の予定を聞いていた。
 近くにあるワープポイントをまず解放し、火山側に歩いていくと。ウロスラを用意するためとは言え、いつ噴火するかもわからない火山に近づくのは気が引ける。
 そのため、コンゴウから火山近くに住んでいる住民は感知能力に優れているためまず状況の確認をして行くと良い教えてもらった。
 
 ちなみに、ルーパルドとロクは早々に部屋へと戻っている。寒暖差で少し体調を崩してしまったようだ。あとでイナトと一緒に2人の様子を見に行こう。

「そういえば、エンドラストはいつも夜のように暗いみたいだけど、星はなかったね。あれってもしかして空じゃないのかな」
「そうだと思います。でないと他国も多少であれ影響があるでしょうし」
 
 確かにそうだ。仮に空を暗くしているのなら、エンドラスト国がある方角を他国が見れば、空が暗く見えるはずだ。
 だが、エンドラストに入るまでは特に異常はなかった。そうなると、国に何かしら魔法などの類がかけられていると考えるのが無難かもしれない。

「あ、星で思い出した。イナト、星の球体買ったりしてない?」
「……は、はい。買いました。救世主様と鑑賞できたら良いなと思いまして」

 買ったものを言い当てられたからなのか、他の理由があるのかは知らないがなぜか照れるイナト。
 なお、星の球体は部屋や空に星を映し出したり、球体に入って楽しめるのだそう。

「せっかくなので2人で見てみませんか?」
「興味ある。ルーパルドとロクも誘おうか」
「球体の中に入れるのは2人だけなんです! なので僕と救世主様で使いましょう」

 別に部屋に映し出して見てもいいと思っていたが、せっかくなので球体に入って楽しもうと力強く言われてしまった。
 そんなに私と2人きりがいいのか。と自惚れてみるが、まあこれも全部ゲーム設定がちょろいせいだろう。
 
 ルーパルドとロクに星の球体が見つかったら邪魔されるかもしれないとイナトは、空き部屋で星の球体を取り出した。
 説明通りに2人で球体に触れると、気づいた時にはソファに座っていた。隣にはイナトがいる。それはいいのだが、カップル向けのものかと聞きたくなるほどに距離が近い。
 
「綺麗ですね」

 ちょっと抱きしめたくらいで照れるイナト。それなのにこの距離を気にしないなんてあり得るだろうか。訝しげに私がイナトを見つめると、イナトは口をキュッと結んで私と顔を合わせようとしない。
 耳は赤くなっているので照れてはいるようだ。

「きゅ、救世主様、僕ではなく星空を見てください」

 イナトは顔を隠すように手で覆う。仕方なく星を見ると、そこには満天の星空が広がっていた。ちょっと星が多すぎて眩しくもあるが。
 目を細める私を見かねて、イナトはリモコンらしきものを取り出した。

「星は調整ができます。時間帯指定もできますし、音声ガイドの再生もできますよ」

 私とイナトの間にあったわずかな隙間。その隙間にはリモコンが設置されており、それで操作ができるようだ。
 こう言うものが作れるのなら、この住める箱を作ることだってできそうなものだ。

「星の球体って誰が作ったのか知ってる?」
「それはわかりません。ただ、かなり昔に作られたものだとネェオさんに聞いています」

 となると、すでに失われた技術なのだろうか。もし白い箱を作った者と同じであれば、召使に聞けばわかるのだろうか。

「考え事ですか?」
「もし星の球体とか白い箱の技術が使えたら、便利になるよなぁと思って」
「宿泣かせにはなりますけどね」

 そのあとはイナトに「星と僕のことだけ考えてください」と言われてしまい、私はイナトとひたすら星とイナトとの談笑を楽しんだのだった――


 球体から出て、ルーパルドとロクの様子を見に行った。もちろんイナト付きだ。1人で行けばまた叱られるに決まっている。
 まずルーパルドの部屋へと入るとルーパルドは少し熱っぽいとすでにベッドに寝転がっていた。と言っても寝ずに本を読んでいる。

「私の回復魔法で体調回復しないかな?」
「そんなことで使わなくていいですよ。ルーパルド、これを飲んで早めに寝るといい」

 いつの間に用意していたのか、イナトは小瓶の中身を1つ取り出しルーパルドに手渡した。緑色で丸いそれは薬草をすり潰し丸めた丸薬のようだ。
 それを見たルーパルドは顔をひきつりながらも、感謝の言葉をイナトに言ったあとすぐに口に含み水で流し込んだ。ルーパルドは不快そうな表情を浮かべている。

「風邪薬?」
「はい。臭いと苦味が強いですが、即効性抜群ですよ」
「もう少し臭いも苦味も落ち着けば文句ないんですけどねぇ」

 ルーパルドと同じ気持ちの者が調合を頑張っているそうだ。しかし、今のところ効果を薄めると臭いも苦味も落ち着くという本末転倒な状況にあるらしい。
 
 ルーパルドから本を没収して明かりを消したあと、ロクの部屋へ。ロクは自身で作った薬を飲んだとイナトの丸薬を拒否。
 ロクがどの程度効く薬を持っていたのかはわからないが、イナトは無理に飲ませようとせずすぐに引き下がった。

「さて、僕たちもそろそろ休みましょう。風邪予防としてこれを寝る前に飲んでおいてくださいね」

 イナトから渡されたものは白い丸薬。無味無臭らしいそれは、ビタミン剤みたいなものだと。

「イナトって職に困らなさそうだね」
「ありがとうございます。もし国が滅んでも僕がお守りしますからね」
「あ、ありがとう……?」
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