129 / 196
21章
128.星空
しおりを挟む
エンドラスト街を出て、少し歩いたところで箱を取り出し休憩。
夕食をとり、今はリビングでイナトに明日の予定を聞いていた。
近くにあるワープポイントをまず解放し、火山側に歩いていくと。ウロスラを用意するためとは言え、いつ噴火するかもわからない火山に近づくのは気が引ける。
そのため、コンゴウから火山近くに住んでいる住民は感知能力に優れているためまず状況の確認をして行くと良い教えてもらった。
ちなみに、ルーパルドとロクは早々に部屋へと戻っている。寒暖差で少し体調を崩してしまったようだ。あとでイナトと一緒に2人の様子を見に行こう。
「そういえば、エンドラストはいつも夜のように暗いみたいだけど、星はなかったね。あれってもしかして空じゃないのかな」
「そうだと思います。でないと他国も多少であれ影響があるでしょうし」
確かにそうだ。仮に空を暗くしているのなら、エンドラスト国がある方角を他国が見れば、空が暗く見えるはずだ。
だが、エンドラストに入るまでは特に異常はなかった。そうなると、国に何かしら魔法などの類がかけられていると考えるのが無難かもしれない。
「あ、星で思い出した。イナト、星の球体買ったりしてない?」
「……は、はい。買いました。救世主様と鑑賞できたら良いなと思いまして」
買ったものを言い当てられたからなのか、他の理由があるのかは知らないがなぜか照れるイナト。
なお、星の球体は部屋や空に星を映し出したり、球体に入って楽しめるのだそう。
「せっかくなので2人で見てみませんか?」
「興味ある。ルーパルドとロクも誘おうか」
「球体の中に入れるのは2人だけなんです! なので僕と救世主様で使いましょう」
別に部屋に映し出して見てもいいと思っていたが、せっかくなので球体に入って楽しもうと力強く言われてしまった。
そんなに私と2人きりがいいのか。と自惚れてみるが、まあこれも全部ゲーム設定がちょろいせいだろう。
ルーパルドとロクに星の球体が見つかったら邪魔されるかもしれないとイナトは、空き部屋で星の球体を取り出した。
説明通りに2人で球体に触れると、気づいた時にはソファに座っていた。隣にはイナトがいる。それはいいのだが、カップル向けのものかと聞きたくなるほどに距離が近い。
「綺麗ですね」
ちょっと抱きしめたくらいで照れるイナト。それなのにこの距離を気にしないなんてあり得るだろうか。訝しげに私がイナトを見つめると、イナトは口をキュッと結んで私と顔を合わせようとしない。
耳は赤くなっているので照れてはいるようだ。
「きゅ、救世主様、僕ではなく星空を見てください」
イナトは顔を隠すように手で覆う。仕方なく星を見ると、そこには満天の星空が広がっていた。ちょっと星が多すぎて眩しくもあるが。
目を細める私を見かねて、イナトはリモコンらしきものを取り出した。
「星は調整ができます。時間帯指定もできますし、音声ガイドの再生もできますよ」
私とイナトの間にあったわずかな隙間。その隙間にはリモコンが設置されており、それで操作ができるようだ。
こう言うものが作れるのなら、この住める箱を作ることだってできそうなものだ。
「星の球体って誰が作ったのか知ってる?」
「それはわかりません。ただ、かなり昔に作られたものだとネェオさんに聞いています」
となると、すでに失われた技術なのだろうか。もし白い箱を作った者と同じであれば、召使に聞けばわかるのだろうか。
「考え事ですか?」
「もし星の球体とか白い箱の技術が使えたら、便利になるよなぁと思って」
「宿泣かせにはなりますけどね」
そのあとはイナトに「星と僕のことだけ考えてください」と言われてしまい、私はイナトとひたすら星とイナトとの談笑を楽しんだのだった――
球体から出て、ルーパルドとロクの様子を見に行った。もちろんイナト付きだ。1人で行けばまた叱られるに決まっている。
まずルーパルドの部屋へと入るとルーパルドは少し熱っぽいとすでにベッドに寝転がっていた。と言っても寝ずに本を読んでいる。
「私の回復魔法で体調回復しないかな?」
「そんなことで使わなくていいですよ。ルーパルド、これを飲んで早めに寝るといい」
いつの間に用意していたのか、イナトは小瓶の中身を1つ取り出しルーパルドに手渡した。緑色で丸いそれは薬草をすり潰し丸めた丸薬のようだ。
それを見たルーパルドは顔をひきつりながらも、感謝の言葉をイナトに言ったあとすぐに口に含み水で流し込んだ。ルーパルドは不快そうな表情を浮かべている。
「風邪薬?」
「はい。臭いと苦味が強いですが、即効性抜群ですよ」
「もう少し臭いも苦味も落ち着けば文句ないんですけどねぇ」
ルーパルドと同じ気持ちの者が調合を頑張っているそうだ。しかし、今のところ効果を薄めると臭いも苦味も落ち着くという本末転倒な状況にあるらしい。
ルーパルドから本を没収して明かりを消したあと、ロクの部屋へ。ロクは自身で作った薬を飲んだとイナトの丸薬を拒否。
ロクがどの程度効く薬を持っていたのかはわからないが、イナトは無理に飲ませようとせずすぐに引き下がった。
「さて、僕たちもそろそろ休みましょう。風邪予防としてこれを寝る前に飲んでおいてくださいね」
イナトから渡されたものは白い丸薬。無味無臭らしいそれは、ビタミン剤みたいなものだと。
「イナトって職に困らなさそうだね」
「ありがとうございます。もし国が滅んでも僕がお守りしますからね」
「あ、ありがとう……?」
夕食をとり、今はリビングでイナトに明日の予定を聞いていた。
近くにあるワープポイントをまず解放し、火山側に歩いていくと。ウロスラを用意するためとは言え、いつ噴火するかもわからない火山に近づくのは気が引ける。
そのため、コンゴウから火山近くに住んでいる住民は感知能力に優れているためまず状況の確認をして行くと良い教えてもらった。
ちなみに、ルーパルドとロクは早々に部屋へと戻っている。寒暖差で少し体調を崩してしまったようだ。あとでイナトと一緒に2人の様子を見に行こう。
「そういえば、エンドラストはいつも夜のように暗いみたいだけど、星はなかったね。あれってもしかして空じゃないのかな」
「そうだと思います。でないと他国も多少であれ影響があるでしょうし」
確かにそうだ。仮に空を暗くしているのなら、エンドラスト国がある方角を他国が見れば、空が暗く見えるはずだ。
だが、エンドラストに入るまでは特に異常はなかった。そうなると、国に何かしら魔法などの類がかけられていると考えるのが無難かもしれない。
「あ、星で思い出した。イナト、星の球体買ったりしてない?」
「……は、はい。買いました。救世主様と鑑賞できたら良いなと思いまして」
買ったものを言い当てられたからなのか、他の理由があるのかは知らないがなぜか照れるイナト。
なお、星の球体は部屋や空に星を映し出したり、球体に入って楽しめるのだそう。
「せっかくなので2人で見てみませんか?」
「興味ある。ルーパルドとロクも誘おうか」
「球体の中に入れるのは2人だけなんです! なので僕と救世主様で使いましょう」
別に部屋に映し出して見てもいいと思っていたが、せっかくなので球体に入って楽しもうと力強く言われてしまった。
そんなに私と2人きりがいいのか。と自惚れてみるが、まあこれも全部ゲーム設定がちょろいせいだろう。
ルーパルドとロクに星の球体が見つかったら邪魔されるかもしれないとイナトは、空き部屋で星の球体を取り出した。
説明通りに2人で球体に触れると、気づいた時にはソファに座っていた。隣にはイナトがいる。それはいいのだが、カップル向けのものかと聞きたくなるほどに距離が近い。
「綺麗ですね」
ちょっと抱きしめたくらいで照れるイナト。それなのにこの距離を気にしないなんてあり得るだろうか。訝しげに私がイナトを見つめると、イナトは口をキュッと結んで私と顔を合わせようとしない。
耳は赤くなっているので照れてはいるようだ。
「きゅ、救世主様、僕ではなく星空を見てください」
イナトは顔を隠すように手で覆う。仕方なく星を見ると、そこには満天の星空が広がっていた。ちょっと星が多すぎて眩しくもあるが。
目を細める私を見かねて、イナトはリモコンらしきものを取り出した。
「星は調整ができます。時間帯指定もできますし、音声ガイドの再生もできますよ」
私とイナトの間にあったわずかな隙間。その隙間にはリモコンが設置されており、それで操作ができるようだ。
こう言うものが作れるのなら、この住める箱を作ることだってできそうなものだ。
「星の球体って誰が作ったのか知ってる?」
「それはわかりません。ただ、かなり昔に作られたものだとネェオさんに聞いています」
となると、すでに失われた技術なのだろうか。もし白い箱を作った者と同じであれば、召使に聞けばわかるのだろうか。
「考え事ですか?」
「もし星の球体とか白い箱の技術が使えたら、便利になるよなぁと思って」
「宿泣かせにはなりますけどね」
そのあとはイナトに「星と僕のことだけ考えてください」と言われてしまい、私はイナトとひたすら星とイナトとの談笑を楽しんだのだった――
球体から出て、ルーパルドとロクの様子を見に行った。もちろんイナト付きだ。1人で行けばまた叱られるに決まっている。
まずルーパルドの部屋へと入るとルーパルドは少し熱っぽいとすでにベッドに寝転がっていた。と言っても寝ずに本を読んでいる。
「私の回復魔法で体調回復しないかな?」
「そんなことで使わなくていいですよ。ルーパルド、これを飲んで早めに寝るといい」
いつの間に用意していたのか、イナトは小瓶の中身を1つ取り出しルーパルドに手渡した。緑色で丸いそれは薬草をすり潰し丸めた丸薬のようだ。
それを見たルーパルドは顔をひきつりながらも、感謝の言葉をイナトに言ったあとすぐに口に含み水で流し込んだ。ルーパルドは不快そうな表情を浮かべている。
「風邪薬?」
「はい。臭いと苦味が強いですが、即効性抜群ですよ」
「もう少し臭いも苦味も落ち着けば文句ないんですけどねぇ」
ルーパルドと同じ気持ちの者が調合を頑張っているそうだ。しかし、今のところ効果を薄めると臭いも苦味も落ち着くという本末転倒な状況にあるらしい。
ルーパルドから本を没収して明かりを消したあと、ロクの部屋へ。ロクは自身で作った薬を飲んだとイナトの丸薬を拒否。
ロクがどの程度効く薬を持っていたのかはわからないが、イナトは無理に飲ませようとせずすぐに引き下がった。
「さて、僕たちもそろそろ休みましょう。風邪予防としてこれを寝る前に飲んでおいてくださいね」
イナトから渡されたものは白い丸薬。無味無臭らしいそれは、ビタミン剤みたいなものだと。
「イナトって職に困らなさそうだね」
「ありがとうございます。もし国が滅んでも僕がお守りしますからね」
「あ、ありがとう……?」
0
あなたにおすすめの小説
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる