132 / 196
21章
131.即死道具
しおりを挟む
クロノダに声をかけたあと、箱から出て真っ白な地へ降り立つ。
「気を取り直して、ワープポイントの解放だね」
まずは地図でどのワープポイントから解放するかを確認。イナトがすぐにルートを決め、それに沿って解放することになった。
コンゴウに貰った地図は精度が高い。川や海など目立つものは勿論だが、山の高さや階段がある場所などの記載もある。それはまるで上空から描いたもののようだ。
「地図がかなり正確だよね。エンドラスト国では空を飛んで地図を作ってるのかな?」
「羽が生えているやつは見当たらなかったぞ。俺は仲のいい龍が背中に乗せてくれた可能性を推す」
ロクは龍と自分が仲良くなれる可能性も込め、そう話す。
確かに仲良くなった龍の背中に、というのはロマンはある。しかし、龍の血も引いていない私達を友好的に見てくれる龍などいるのだろうか。
「そもそも片親が龍の可能性はないか? あのヒスイっていう男が自分の龍の血は薄いって言ってたし」
ルーパルドも期待を込めているようでウキウキとしている。
「話に花を咲かせるのは構いませんが、地図を描写する道具がありますよ……」
イナトが使っていた地図を思い出す。あれもエンドラスト国の地図ほどではないが、精度の高い地図だったはずだ。
私は「あ」と声が出た。ルーパルドとロクの反応も似たものだ。どうやらあまり自分で地図を活用する機会がなく忘れていたようだ。
「そういえばそうだった。ゲムデースの王様に貰った地図は手書きだったからそっちに持ってかれてたよ」
私がそう言えば、イナトは息を吐く。
「確かにゲムデースの国王様がくださった地図は手書きで汚かったですけれども」
「汚いとか一言も言ってないよ!?」
イナトが聞いた話だが、ゲムデースの国王が用意してくれた地図は、国王直々に描いたものだったらしい。
どうせなら心を込めたものを――とかいうそんな理由。心を込めるところを間違えている……。
そんな談笑をしつつ、ワープポイントの解放のため歩く。
ゲムデースよりもだだっ広いが、ワープポイントの数は少ない。それは過去、魔族によって破壊されたからと言われているらしい。
「ワープポイントが少ないなら楽勝では? と思ってた私は楽観視しすぎてたなぁ」
次のワープポイントまでの距離と、慣れない雪の上を歩いているため。加えて雪で道は覆われており、同じような景色ばかり。似た景色では飽き飽きもしてくる。
理由はわかっている。わかってはいるのだが、こんなにも早く疲れたと言いたくなるとは思いもしなかった。
私が顔をしかめていたからだろう。イナトは柔らかく微笑み私へと問いかけた。
「休みますか?」
「いや、まだ大丈夫。あんまり甘やかすと動けなくなっちゃうよ」
「俺達に甘えてもいいんですけどねぇ」
ルーパルドは軽口を叩きながら私を見つめた。
こうして話していればいくらかマシだな。1人だったらきっと楽する方法を考えていただろう。
ザクザクと雪を踏み、その度に足を取られる。
上からは視界を奪う雪が降り注いでいて、ストレスは嫌でも溜まってくる。
「雪、強くなってきましたね」
ルーパルドは空を見上げ恨めしそうに言う。
幸い宝石のおかげで寒さはそこまで感じないのだが、視界も足場も悪く思うように歩けない。どうにかこの吹雪を止めることはできないのだろうか。
そんなことを思いながら、やっと今日予定していたワープポイントの解放をすべて終わらせた。
「お疲れ様です、救世主様」
「召使さん!」
雪に埋もれかけている小屋の側を通ったところで、召使が突然近くに現れた。
召使は素材を確認したあと、手早くマップのアップグレードをしてくれた。真っ黒だったマップが色鮮やかになる。
「ここまで来られるなんて、さすが私が見込んだお方ですね」
「ありがとうございます。……これはなんですか?」
かなり至近距離まで来た召使は、私にしか見えないように物を手渡してきた。
「これで死ぬのが楽になりますよ」
召使は小声でそう言って私から少しだけ離れた。
手渡された物を確認しようとしたが、それは私の手の中で消えた。
その代わりメッセージウインドウが現れ、"おめでとうございます! 即死道具を手に入れました"なんて端から見ればかなり物騒な文字が書かれていた。
「ありがとうございます。これを使えば痛くも苦しくもないってことですよね?」
「もちろんですよ。ぜひご活用くださいね」
そう言い残し召使は消えた。
その様子を見ていた3人は、眉間にシワを寄せている。一体何を手渡されたのか気になるのだろう。
「ステータスアップだよ」
目に見えないことを良いことに、適当なことを言う。
まあ、どうせ死んだらナルを通してバレるのでその場しのぎではあるのだが。
「それはおめでとうございます。ですが、それならわざわざあそこまで近づく必要はあったのでしょうか」
「さあ? それは私にはわからないからなんとも」
イナトを筆頭に2人も納得いかない様子だ。と言っても私が近づいたわけではないし、私に不満をぶつけられても困る。
「今更言ってもしょうがない。早く箱に入ろう。俺は休みたい」
ロクはもう雪に飽きたのか、眼の前に散る雪を鬱陶しそうに眺めていた。
「気を取り直して、ワープポイントの解放だね」
まずは地図でどのワープポイントから解放するかを確認。イナトがすぐにルートを決め、それに沿って解放することになった。
コンゴウに貰った地図は精度が高い。川や海など目立つものは勿論だが、山の高さや階段がある場所などの記載もある。それはまるで上空から描いたもののようだ。
「地図がかなり正確だよね。エンドラスト国では空を飛んで地図を作ってるのかな?」
「羽が生えているやつは見当たらなかったぞ。俺は仲のいい龍が背中に乗せてくれた可能性を推す」
ロクは龍と自分が仲良くなれる可能性も込め、そう話す。
確かに仲良くなった龍の背中に、というのはロマンはある。しかし、龍の血も引いていない私達を友好的に見てくれる龍などいるのだろうか。
「そもそも片親が龍の可能性はないか? あのヒスイっていう男が自分の龍の血は薄いって言ってたし」
ルーパルドも期待を込めているようでウキウキとしている。
「話に花を咲かせるのは構いませんが、地図を描写する道具がありますよ……」
イナトが使っていた地図を思い出す。あれもエンドラスト国の地図ほどではないが、精度の高い地図だったはずだ。
私は「あ」と声が出た。ルーパルドとロクの反応も似たものだ。どうやらあまり自分で地図を活用する機会がなく忘れていたようだ。
「そういえばそうだった。ゲムデースの王様に貰った地図は手書きだったからそっちに持ってかれてたよ」
私がそう言えば、イナトは息を吐く。
「確かにゲムデースの国王様がくださった地図は手書きで汚かったですけれども」
「汚いとか一言も言ってないよ!?」
イナトが聞いた話だが、ゲムデースの国王が用意してくれた地図は、国王直々に描いたものだったらしい。
どうせなら心を込めたものを――とかいうそんな理由。心を込めるところを間違えている……。
そんな談笑をしつつ、ワープポイントの解放のため歩く。
ゲムデースよりもだだっ広いが、ワープポイントの数は少ない。それは過去、魔族によって破壊されたからと言われているらしい。
「ワープポイントが少ないなら楽勝では? と思ってた私は楽観視しすぎてたなぁ」
次のワープポイントまでの距離と、慣れない雪の上を歩いているため。加えて雪で道は覆われており、同じような景色ばかり。似た景色では飽き飽きもしてくる。
理由はわかっている。わかってはいるのだが、こんなにも早く疲れたと言いたくなるとは思いもしなかった。
私が顔をしかめていたからだろう。イナトは柔らかく微笑み私へと問いかけた。
「休みますか?」
「いや、まだ大丈夫。あんまり甘やかすと動けなくなっちゃうよ」
「俺達に甘えてもいいんですけどねぇ」
ルーパルドは軽口を叩きながら私を見つめた。
こうして話していればいくらかマシだな。1人だったらきっと楽する方法を考えていただろう。
ザクザクと雪を踏み、その度に足を取られる。
上からは視界を奪う雪が降り注いでいて、ストレスは嫌でも溜まってくる。
「雪、強くなってきましたね」
ルーパルドは空を見上げ恨めしそうに言う。
幸い宝石のおかげで寒さはそこまで感じないのだが、視界も足場も悪く思うように歩けない。どうにかこの吹雪を止めることはできないのだろうか。
そんなことを思いながら、やっと今日予定していたワープポイントの解放をすべて終わらせた。
「お疲れ様です、救世主様」
「召使さん!」
雪に埋もれかけている小屋の側を通ったところで、召使が突然近くに現れた。
召使は素材を確認したあと、手早くマップのアップグレードをしてくれた。真っ黒だったマップが色鮮やかになる。
「ここまで来られるなんて、さすが私が見込んだお方ですね」
「ありがとうございます。……これはなんですか?」
かなり至近距離まで来た召使は、私にしか見えないように物を手渡してきた。
「これで死ぬのが楽になりますよ」
召使は小声でそう言って私から少しだけ離れた。
手渡された物を確認しようとしたが、それは私の手の中で消えた。
その代わりメッセージウインドウが現れ、"おめでとうございます! 即死道具を手に入れました"なんて端から見ればかなり物騒な文字が書かれていた。
「ありがとうございます。これを使えば痛くも苦しくもないってことですよね?」
「もちろんですよ。ぜひご活用くださいね」
そう言い残し召使は消えた。
その様子を見ていた3人は、眉間にシワを寄せている。一体何を手渡されたのか気になるのだろう。
「ステータスアップだよ」
目に見えないことを良いことに、適当なことを言う。
まあ、どうせ死んだらナルを通してバレるのでその場しのぎではあるのだが。
「それはおめでとうございます。ですが、それならわざわざあそこまで近づく必要はあったのでしょうか」
「さあ? それは私にはわからないからなんとも」
イナトを筆頭に2人も納得いかない様子だ。と言っても私が近づいたわけではないし、私に不満をぶつけられても困る。
「今更言ってもしょうがない。早く箱に入ろう。俺は休みたい」
ロクはもう雪に飽きたのか、眼の前に散る雪を鬱陶しそうに眺めていた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる