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第三章
幼い頃のように
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「そういえば、ナタリアさんは?」
「3年前に病気で亡くなりましてな。」
「そうだったんですね…」
「ナディアの事を知ったら喜んだに違いない。襲われるのが怖くて外部との接触を拒んできたが、それが必ずしも良いことだとは言えませんな。」
「いえ、そんな状態であれば仕方がなかったでしょう。それに…」
「なんですかな?」
「この辺りは盗賊の類いが多くなっています。恐らくこの部族の情報が漏れているからでしょう。」
「っ!やはりそうでしたかっ!あのディルクと言う男を捉えた事から、その可能性も考えていたのですがっ!」
「なぜ狙われるのか、ご存知ですか?」
「それがさっぱり分からんのです。魔力が強い者が欲しければ、男を皆殺しにする必要はありませんからな。襲ってくる者は若い女だけを狙って拐うのです。」
「それは何故でしょうね。しかし、ある国が銀髪の部族を狙っていると聞きました。」
「なぜ我々が狙われるのかっ!いつになったら安住の地となる場所に住めるのかっ!」
そう思うのは仕方のないことだ。
周りに怯えながら、隠れて暮らすのは大変だろう。
他の血が混ざらない様にする、それはこちらが閉鎖的にする事によって気をつけていけば問題はないだろうが、交流を持ちたくても見つかったら連れ去られるのでは気が気ではない。
何も言えないでいると
「あ、すみませんでしたな…つい取り乱してしまって……」
「いえ、お気持ちは察します。何か私に出来ることがあれば良いのですが…」
「お気持ちだけで充分です。ありがとうございます。」
「ディルクの事も、よろしくお願いします。彼は弟を探していると言っていました。それにこの部族が関係している可能性があると……」
「そうでしたか。彼の求める情報を与えられるかは分かりませんが、話を聞いてみましょう。」
「ありがとうございます。」
そうして私はオレグの家を出た。
出た所で、ディルクが向こうから連れられて来るのが見えた。
「アシュレイ、君が言ってくれたらしいな。ありがとう。」
「いや、私は、私が思ったことを言ったまでだ。」
そう言い合ってすれ違う。
すれ違い様に、ディルクは私の頭に手を置いて、軽くポンポンと弾ませた。
「…っ!」
すぐに両手で頭を押さえて振り向いた。
ディルクは少し振り向き微笑んでいた。
こんな事は幼い頃、母にしてもらった以外ではなかった事だ。
私を子供だと思っているのか?!
しかし、嬉しいような、恥ずかしいような、なんだか変な感じで、両手で頭を押さえたまま立ち尽くしてしまっていた。
「アッシュ、どうしたんだ?」
「な、なんでもないっ!」
「なぁ、俺、偉かっただろ?大切な話をしている時は、ちゃんと大人しくしてたんだからな!」
「そう、だな!レクスはちゃんと空気が読めるな!」
そう話しながら、言い様のない気持ちを隠して、マリーの家へ向かったのだった。
「3年前に病気で亡くなりましてな。」
「そうだったんですね…」
「ナディアの事を知ったら喜んだに違いない。襲われるのが怖くて外部との接触を拒んできたが、それが必ずしも良いことだとは言えませんな。」
「いえ、そんな状態であれば仕方がなかったでしょう。それに…」
「なんですかな?」
「この辺りは盗賊の類いが多くなっています。恐らくこの部族の情報が漏れているからでしょう。」
「っ!やはりそうでしたかっ!あのディルクと言う男を捉えた事から、その可能性も考えていたのですがっ!」
「なぜ狙われるのか、ご存知ですか?」
「それがさっぱり分からんのです。魔力が強い者が欲しければ、男を皆殺しにする必要はありませんからな。襲ってくる者は若い女だけを狙って拐うのです。」
「それは何故でしょうね。しかし、ある国が銀髪の部族を狙っていると聞きました。」
「なぜ我々が狙われるのかっ!いつになったら安住の地となる場所に住めるのかっ!」
そう思うのは仕方のないことだ。
周りに怯えながら、隠れて暮らすのは大変だろう。
他の血が混ざらない様にする、それはこちらが閉鎖的にする事によって気をつけていけば問題はないだろうが、交流を持ちたくても見つかったら連れ去られるのでは気が気ではない。
何も言えないでいると
「あ、すみませんでしたな…つい取り乱してしまって……」
「いえ、お気持ちは察します。何か私に出来ることがあれば良いのですが…」
「お気持ちだけで充分です。ありがとうございます。」
「ディルクの事も、よろしくお願いします。彼は弟を探していると言っていました。それにこの部族が関係している可能性があると……」
「そうでしたか。彼の求める情報を与えられるかは分かりませんが、話を聞いてみましょう。」
「ありがとうございます。」
そうして私はオレグの家を出た。
出た所で、ディルクが向こうから連れられて来るのが見えた。
「アシュレイ、君が言ってくれたらしいな。ありがとう。」
「いや、私は、私が思ったことを言ったまでだ。」
そう言い合ってすれ違う。
すれ違い様に、ディルクは私の頭に手を置いて、軽くポンポンと弾ませた。
「…っ!」
すぐに両手で頭を押さえて振り向いた。
ディルクは少し振り向き微笑んでいた。
こんな事は幼い頃、母にしてもらった以外ではなかった事だ。
私を子供だと思っているのか?!
しかし、嬉しいような、恥ずかしいような、なんだか変な感じで、両手で頭を押さえたまま立ち尽くしてしまっていた。
「アッシュ、どうしたんだ?」
「な、なんでもないっ!」
「なぁ、俺、偉かっただろ?大切な話をしている時は、ちゃんと大人しくしてたんだからな!」
「そう、だな!レクスはちゃんと空気が読めるな!」
そう話しながら、言い様のない気持ちを隠して、マリーの家へ向かったのだった。
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