慟哭の時

レクフル

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第四章

あの時のように

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体の中が満たされて行くように、左肩から暖かさが広がっていく。
 

優しい気が体を巡る様に、心地いい感覚が体を覆う。


ゆっくりと目を開けると、私は森の中にいた。


体を起こそうとしたが、まだ左肩が疼く。


側に人の気配がした。


見ると、一人の男がそこにはいた。


「貴方は誰だ…?」

「気付かれましたか?左肩はどうですか?」

「まだ少し痛むが…暫くすると治ると思う……」

「そうですか。それは良かった。申し遅れました。私はゾランと申します。」

「貴方が私を助けてくれたのか……?」

「いえ、私ではありません。私の主人が貴方を助けました。」

「その人はどこに……?」

「急ぎの用事がおありでしたので、先に帰られました。私はここに残るよう言われまして……」

「そうか…その人に……ありがとうと………」

「畏まりました。その様にお伝え致します。まだ少し休まれた方がよろしいでしょう。私がついておりますので、安心してお休み下さい。」

「ありがとう……」


それからゾランに水を貰い、また私は眠りについた。


初めてディルクと会った日を思い出していた。

あの時もこんな感じだった…

ディルク…

貴方を感じた様な気がしたのに……

ディルクは大丈夫だろうか?

なぜかそんな風に思った。

そしてまた、深い眠りに落ちていく……








朝目覚めると、肩の具合はかなり良くなっていた。

まだちゃんと動かす事は出来ないが、普通なら一生腕が動かなくなってもおかしくない程の怪我だっただろう。

起きると、ゾランがそこにはいた。

「おはようございます。簡単な食事を用意しました。食べられますか?」

「ありがとう……何から何まで。貴方には世話になった。」

「いえ、主人の指示で動いております。貴方が元気になれば、主人も喜びますので。」

「貴方の御主人は良い人なんだな。必ず恩は返すと伝えて欲しい。」

「畏まりました。では食事をどうぞ。御自分で食べられますか?」

「大丈夫だ。」

微笑んでゾランを見つめると、フッと目をかわされた。

そう言えば…

「レクスは……」

「レクス?」

「いや、……何でもない。」

レクスの姿が見当たらない。

どこに行ったんだろう?

後で探しに行ってみようか…







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