大人になったら母さんと結婚すると言っていた俺も大人になりました……だから母さん、結婚しよう

れん

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06、向かう先は、私が避けていた場所で、

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 ーー母視点ーー

 あの子が違う誰かと結ばれる。
 それは本来の形。それが普通。

 実の母親に、恋愛感情を向けるのが異常なの。
 独り立ちして、離れていくのは喜ばしいこと。

 巣立つ子を見送るのが、親の勤め。

 そして勤めを果たしたらあれと別れて、女の幸せを取り戻すんだって、ずっとずっと夢見てたはずじゃない。孫の顔がみたいって、あの子にずっと言ってきたじゃない。

 なのに……どうして、あの子が私よりも大切な子を見つけて、私から離れていくことを想像するだけで、胸が痛んで苦しいの? 独り取り残されることが怖いと感じるの? 

 ……嫌だ。

 あの子が私以外の女と一緒にいるのが嫌だ。離れていくのが、誰かと結ばれて家を出ていくのが嫌だ。独りこの家に取り残されるのが嫌だ。

 独りは嫌。怖い。いかないで。一緒にいて。離れないで。独りにしないで。お母さんを、私を置いていかないで。

 ずっと一緒って、私と結婚するって、夫よりも素敵な男になるって約束してくれたじゃない……実際、あんなのと比べものにならないくらい素敵な男になってくれたじゃない……なのに、今になって私を置いていくなんて、嫌。許せない。

 ……許せない? 許せないって、なんで?
 あの子は息子。懸想しているわけじゃない、はず。

「う、っく……」

 はずなのに、なんで、息子が居なくなることを考えると胸が痛んで息苦しいの? 学生時代に片思いの相手が私じゃない誰かと幸せそうに歩いている姿を見たときと同じ痛みを感じるの?

 昨日の息子からのメッセージを、想いを理解して、どうしたらいいか解らない。

 頭の中がぐちゃぐちゃで、落ち着こうとすればするほど空回る。

『自分に正直になっていい』
『女に旬なんてない。遅咲きの花だってある』
『愛してくれる人が近くにいるなら逃がしちゃだめ』
『それが肉親でも、後悔しない選択を』

 友人からの言葉が頭の中で反響する。

「ん、あぁ……」

 オチンチン見たの、何年ぶりだろう。

 繋がっている部分しか見えないし、父とあの人と息子のオチンチンしか見たこと無いけど、すごく太い。

 最後に見たオチンチンはリビングのソファーに下着だけで寝ていた息子のはみ出したオチンチンだっけ。

 あのときみたのはフニャフニャだったけど、その状態でもあの人より大きくて長かった。

 もし勃起したら、どれくらい大きくなるんだろう。

 友人から送られた写真、二人とも凄く幸せそう。
 愛のあるセックスって、やっぱり違うのかな。
 好きな人とするセックス、羨ましい。

 私を大好きだって言ってくれるのは息子だけ。
 女として魅力的だと言ってくれるのも息子だけ。
 私が好きだとハッキリ言えるのも、息子だけ。

 母子だけど、お互いが好きなら、セックスしても、問題ない、のかな。家族同士でも、浮気になるのかな……浮気以上に、近親相姦なんだから、ダメ、よね。

 でも、近親相姦って、どんな感じなんだろう。
 私も息子と近親相姦したら、幸せになれるのかな。

 息子の勃起したオチンチン、私の膣に入るのかな。

「は、あん……」

 私のお股、濡れてる。

 オナニーなんて、何年もしてないのに、濡れてる。昔は暇さえあれば弄ってて、性欲は人よりも強かったのに……あれに犯されて、痛くて苦しいだけって知ってから、気持ち良くなれなかったのに……自分からしたいとか、まったく思わなかったのに。

 友人母子のエッチな写真で、興奮しちゃってる。

 自分の息子に抱かれて……生セックスしてるところを想像して、濡れちゃってる。
  
「ん、んふ……あぁ、ぐちゃぐちゃ、してる。私のお股……オマンコ、濡れてる。息子の、オチンチン、想像して……ほしく、なっちゃって……」

 気持ちいい。今までと比べ物にならない。
 自分の指じゃなくて、あの子の指だったら……勃起したオチンチンだったら、どうなんだろう。

「は、んん……あ、んくっ……あっ、」

 想像しただけで快感が跳ね上がる。大きくなっていく気持ちよさに身を委ねていると、何も考えられない。悩みが溶けていく。

 頭が真っ白になって、気持ちよさが全身に広がって爆発しそうな瞬間、

「母さん、起きてる?」
「ひゃう!? え、ゆき?」

 扉をノックする音と声に現実に引き戻される。
 オナニーに夢中で息子の接近に気づかなかった。

 それほど夢中で、オナニーしちゃうなんて……息子に抱かれる想像で、あんなに乱れちゃうとか……はしたないし、恥ずかしい。

 母親失格で、顔向けできない。

「うん、俺だけど……大丈夫?」
「え、あ、ううん、大丈夫、だけど、どうしたの?」

 扉越しに心配そうな声に罪悪感が……言えない。息子が私じゃない誰かと幸せそうにしている妄想に嫉妬して、息子に抱かれる妄想でオナニーしてたなんて、言えるわけがない。

「いや、なかなか起きてこないから、体調悪いのかなって……昨日の酒、残ってるなら昼からの外出、無理しなくても良いんだけど」

「大丈夫、大丈夫よ。ちょっと、布団の中で昨日の自慢話を友達に話してただけだから。準備したら、イくから……リビングで、待ってて」

「……わかった」

 遠退いていく足音に安堵すると同時に、寂しさと残念という思いが湧く。

「はぁ……もう少し、したかったなぁ」

 もう少しだけ、あの快感に身を委ねていたかった。

 もし、あの子がこの扉を開けて中に入ってきて、ひとりエッチしてのに気付いたら……私のことが大好きという息子は、私をレイプしたのかしら。

 そしたら、私は受け入れたのだろうか。

「準備、しないと」

 快楽でぼんやりする頭のまま動き出す。
 このあと、息子とデートなんだ。切り替えないと。

 普通の母子を演じられるか不安だけど、動かないとあの子を心配させて、がっかりさせちゃう。悲しませちゃう。

 あの子は優しいから、それだけは、絶対だめ。

 必死に体を動かして、外にでられる格好を整え、顔を一張りして切り替える。

「ごめん、お待たせ。朝ご飯も、ごめんね。家事はお母さんの役目なのに……ダメね、息子に甘えっぱなしで」

「大丈夫だよ。今日は車で移動するから、移動中に食べられるようにおにぎり作っておいたから。助手席乗って。お茶も用意してるから」

 そう言って、昨日熱い想いのこもったカクテルと花束を贈ってきたのに、普段通りの振る舞いでおにぎりとお茶が入った包みを渡してくれた。

「ありがとう……今日は車で出るの? しかも車内で食べろって、遠い場所? お母さんもっと早く起きた方がよかった? いったい、どこに行くつもりなの?」

「んー、どこに行くかは、驚かせたいから内緒。でも、母さんはきっと好きだと思う場所。時間は余裕はあるけど、念のためにね」

「ふーん? まぁ、あなたはマザコンだから、私が嫌がることは絶対にしないと思うけど……ちょっと怖いわね」

 行き先も告げられないまま、息子が運転する車が走り出す。この子のことだから、私が嫌がることや苦手なことをするようには思えないので大人しく助手席で遅い朝食をとることにした。

「ん、美味しい。塩加減が絶妙。ほっとする味だわ」
「成功したようで良かったよ」

 昨日の夜のことはお互い話題に出さず、車はどんどん進んでいく。どんどん、普段私が行かない……避けている場所へと向かっていく。

「ねぇ、ゆき。この先って」
「んー? 目的地だよ。もうすぐつく」

「もうすぐって……まさか、」
「それは着くまで内緒」

 この先にある建物は、結婚式場併設のホテル。
 私には縁遠く、幸せそうな新婚の男女を見るとツラくなるので、ずっと避け続けている場所。

 そんな場所に、私達を乗せた車が入っていく。

「さぁ、着いたよ。行こう、母さん」
「え、えっと……こんな所に、なんできたの?」

「良いから、ほら。先方が待ってる」
「先方? 誰かと待ち合わせなの?」

 ホテルで誰かと待ち合わせなんて……まさか、実は彼女ができて、その人を紹介したくて私を連れだしたとか? いきなり両家顔合わせ? 昨日、私にあんな熱烈なメッセージを送ってきたのに……その気にさせておいて、私以外の女と結婚するつもりなの?

 私が嫌がること絶対しないって、信じてたのに。

 そんな不安で頭がいっぱいになる私を無視して、息子は私を車から降ろすと手を引いてホテルの中に入っていく。

「ねぇ、ちょっと! いい加減説明を、」
「あ、いたいた。あの人が待ち合わせの人だよ」

 こちらの声を無視した息子があの人が待ち人だというと、こちらに気づいて近付いてきた。

「お待ちしておりました。お早い到着でしたね」

 私達を待っていた人はスーツをビシっと着こなした、若くて綺麗な女性で……あれ、このホテルの従業員がつける名札がついてる……従業員? ブライダル課? この人、何者?

「今日はよろしくお願いします。実は驚かせたくて、内緒で連れ出してきたんです。それに、女性の支度は時間がかかると言いますし、余裕を持って動いた方が良いかなと」

「ああ、なるほど。それで奥様が困惑されているわけですね、理解しました。それでは、説明は移動しながら行います。旦那様は別の係りの者がご案内します。奥様は私についてきてください」

「え、あ、はい……え?」

 状況が理解できない。え、どういうこと?
 ゆきが旦那様と呼ばれて、私が奥様?
 母子なのに、なんで夫婦みたいな扱いされてるの?

「えー、事前に旦那様から奥様の体の寸法は提出していただいているので、サイズとしてはこのあたりになります。お好きなドレスを2着選んでください」

 連れてこられた場所にはカラフルで綺麗なドレスが所狭しと詰め込まれた部屋で、テーブルの上にはドレスに合うであろうネックレスにティアラ、イヤリングなどのアクセサリー。

「え、ドレス? 誰が着るの?」

「もちろん、奥様です。選んでいただいたら、別室でメイクを行います。その間に選んでいただいたドレスに合う小物をこちらでご用意させていただきます。そのあとは係りの者がご案内いたします」

「え? は? え、えっと、純白のドレスと、バラみたいな赤が、良い、です」

 とりあえず、ドレスは白と赤色を選んだ。

 理由は単純に純白のドレスに憧れていたのと、あの子が昨日買ってきてくれたバラと同じ色だから。

 色が絞れればあとは形。

 サイズは何故か事前に知らされていたからと軽く合わせてみたら本当に自分に合っていた……。

「赤と白ですね、かしこまりました。バラがお好きなのですね……旦那様から贈られたとかで、思い入れがあるんでしょうか? 素敵ですね。それでは別室へ移動をお願いします……もしもし、ドレス選び終わりました。小物を準備するので、花嫁のメイクをお願いします」

 テキパキと動きながらも手を止めない。

 同時にいくつも考えながら動いているのにこのトーク力。プロってすごい……内線で別のスタッフに連絡を入れているみたいだけど、花嫁って何? 私のこと?どっからどう見ても母親でしょ? 

 いったい私は、何をされるの?

 呆けている間に別室へ誘導され、化粧を施されて髪をセットされ、ドレスを着せられるとアクセサリーやヴェールをつけられて微調整が入る。

「よし、仕上がりました! 移動お願いします!!」

 姿見に写る私は憧れていた花嫁そのもの。

 夢を見ているようで、どうしてこうなったのか理解する間もなく、別の場所に誘導されていく。

「会場に入る前に、ヴェールを下げます。少し視界が悪くなるので、足下に注意してください」

 導かれた先にあったのはホテルの結婚式場。

 そこには神父の衣装を着たスタッフと、白いタキシードにしっかりと身だしなみを整えられた息子が待っていた。
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