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文化祭編
13話「とらうま」
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「どうしたの?優希くん?」
「話ってなんでしょうか‥?」
「やっぱ文化祭を楽しむ為にも風夏先輩と萌には話しておきたい事があるんですよ。俺の過去のトラウマについて。
.
.
.
“これから話すのは新川優希が中学2年の頃の話だ。
この頃の俺は誰しもがよく通る厨二病って奴だったのかもしれない。
今と違って人前に立って目立ちたいタイプだったし、なんなら、ギャルゲーの主人公ポジションを目指していたと思う。
今の俺に当時は無理してたのかと聞かれたら多分、いや、絶対無理してたしそこまでやりたい理由もあった、だからこそその時は翼と栞菜には変に距離を置いてた。
なんか幼馴染がダサいと思ってた。
何者でもなれると思ってたし自分中心に地球が回ってると思っていた。
そしてこの学校には、
後に雑誌「NOWHERE 」の専属モデルになり100年に一度の美少女と言われる”有栖桃花が居た。
彼女は絶対的ヒロインだ。
それはもう逆張りの俺ですら良いと思う程可愛いくてよく、街に出れば色々な芸能事務所からスカウトされていたというぐらいだからな。
顔も拳ぐらいしか無いんじゃないかってぐらい小さいし、綺麗に伸びた黒髪をなびかせ、誰にでも優しく、むしろ誰も告白しちゃいけないみたいな空気まで流れるほどだった。
俺はそんな彼女に惚れていた。
出会いは中1の頃、席が隣だったとか本当それぐらいの出来事だった。
頭は良いのに授業中に天使のような寝顔で寝ていた彼女に惚れるぐらいには当時の俺はちょろかったのかもしれない。
当時の俺は安いギャルゲーを漁るぐらいしか興味が無かったが彼女の一言で俺の世界は簡単に変わった
「新川って絶対この服似合うよね」
「え、俺?」
「いやいや新川って名前あんたしか居ないでしょ‥」
「いや、新川って転校生が今日から来たのかなって‥」
「そんな訳ないでしょ!新川面白いな!」
「そんな事ないよ、てか俺服とか全然わかんないんだよね~」
「新川って意外と背高いしさ、短髪にしたら絶対モテると思うんだよね!!」
当時人と目を合わせるのが苦手だった俺は、無造作すぎるヘアで居たのだがその時前髪をどけられて初めてしっかり有栖と目を合わせた。
「私、前から思ってたけど新川の目好きなんだよね~」
自分はこの奥二重ななんとも言えない目が嫌いだったのだが初めて褒められた。
俺にとって有栖との出会いは初めてだらけだったのだ。
そしてその会話から俺は努力をした。
多分何か変わるきっかけが欲しくて、有栖にまた好きって言われたい本当に単純な理由だったと思う。
中2になって俺は完全に垢抜けた。
その頃から古着屋”Thunder volt”にもお年玉を切り詰めて通い詰めた。
ヒロシさんは俺にファッションだけじゃなくて色んな音楽やカルチャーを教えてくれた。
「有栖がこの前おすすめしてくれた映画面白かった!」
「あの映画シリアスとギャグの間が上手すぎるんだよね!新川って本当守備範囲広いよね!」
「そうかな?俺は有栖の方がなんでも知ってて凄いと思うよ?」
「最近すっかりイメチェンもしてかっこよくなったしもしかして、私のおかげだったりする感じ??」
「有栖は覚えるか分からないけど目が好きって言われた時こんな風に思ってくれる人も居るんだなって思って、そこから服とか映画とか音楽とかどんどん好きになって確かに見る景色はすごく変わったな!でも、本当に感謝してるよ!」
「ちょっと、照れるな~!変に真面目で考えすぎなところな昔のままだけどね~」
こうして少しずつ有栖に近づけてる気がして自分は素直に嬉しかったのかもしれない。
「有栖って次の休みって暇?」
「暇だよ~どうして?」
「よ、良かったら遊びに行かない?」
「別に良いけど、私と出かけるとスカウトされまくってウザいからよ?大丈夫?」
「うん、その時は俺が守るよ。」
「そ、そう。どっか行きたいところある?」
「良かったら駅前にある俺がよく行く古着屋さんあるんだけど一緒に行かない??」
「面白そう!メンズの服とかあんまり見ないからちょっと見てみたいかも!」
ー当日ー
「おはよ!新川凄いオシャレだね私服!」
「ありがとう、有栖もす、すごく似合ってる。」
普段学校でよく話してるはずなのに凄くぎこちなくなっていた。
「言ってたお店ここなんだよね~」
そう言って俺はThundervoltに有栖を連れて行った。
これが、前に萌と2人で行った時にヒロシさんに言われた”前にもこんな事あった気がする”って話の事なんだろう。
「いらっしゃい!お、優希くん友達連れてくるなんて珍しいね~って、この前買った服着てるってことは~??」
遊びに誘う前に好きな人を誘う勇気が欲しいって話をしてヒロシさんと盛り上がった時に買ったのを忘れていた‥
「あの、有栖桃花です!」
「桃花ちゃんね、よろしく!俺は藤枝ヒロシだからよろしくね!」
「はい!」
「桃花ちゃん、まるでモデルみたいな体型だね、こんな美人な人が優希くんと一緒に歩いてるってだけで面白いな~」
「ちょっと、ヒロシさんからかわないでくださいよ!」
「はいはい、ま!ゆっくりしていって~試着は無料だからね~」
「新川ってこんな所で服買ってるんだ!そりゃオシャレになる訳だわ~」
有栖は別に服が大好きってより素のチートみたいな容姿でなんでも服が似合うタイプなのでファストファッションでも凄く可愛いんだろうな‥
「俺は服の力を借りてやっとオシャレになるからね~有栖は似合わない服探す方が難しいでしょ!」
「まあ私、天才だからな~」
こうやって2人きりで遊ぶぐらい仲良かった。
この後のやってくる事件までは。
続く
「話ってなんでしょうか‥?」
「やっぱ文化祭を楽しむ為にも風夏先輩と萌には話しておきたい事があるんですよ。俺の過去のトラウマについて。
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“これから話すのは新川優希が中学2年の頃の話だ。
この頃の俺は誰しもがよく通る厨二病って奴だったのかもしれない。
今と違って人前に立って目立ちたいタイプだったし、なんなら、ギャルゲーの主人公ポジションを目指していたと思う。
今の俺に当時は無理してたのかと聞かれたら多分、いや、絶対無理してたしそこまでやりたい理由もあった、だからこそその時は翼と栞菜には変に距離を置いてた。
なんか幼馴染がダサいと思ってた。
何者でもなれると思ってたし自分中心に地球が回ってると思っていた。
そしてこの学校には、
後に雑誌「NOWHERE 」の専属モデルになり100年に一度の美少女と言われる”有栖桃花が居た。
彼女は絶対的ヒロインだ。
それはもう逆張りの俺ですら良いと思う程可愛いくてよく、街に出れば色々な芸能事務所からスカウトされていたというぐらいだからな。
顔も拳ぐらいしか無いんじゃないかってぐらい小さいし、綺麗に伸びた黒髪をなびかせ、誰にでも優しく、むしろ誰も告白しちゃいけないみたいな空気まで流れるほどだった。
俺はそんな彼女に惚れていた。
出会いは中1の頃、席が隣だったとか本当それぐらいの出来事だった。
頭は良いのに授業中に天使のような寝顔で寝ていた彼女に惚れるぐらいには当時の俺はちょろかったのかもしれない。
当時の俺は安いギャルゲーを漁るぐらいしか興味が無かったが彼女の一言で俺の世界は簡単に変わった
「新川って絶対この服似合うよね」
「え、俺?」
「いやいや新川って名前あんたしか居ないでしょ‥」
「いや、新川って転校生が今日から来たのかなって‥」
「そんな訳ないでしょ!新川面白いな!」
「そんな事ないよ、てか俺服とか全然わかんないんだよね~」
「新川って意外と背高いしさ、短髪にしたら絶対モテると思うんだよね!!」
当時人と目を合わせるのが苦手だった俺は、無造作すぎるヘアで居たのだがその時前髪をどけられて初めてしっかり有栖と目を合わせた。
「私、前から思ってたけど新川の目好きなんだよね~」
自分はこの奥二重ななんとも言えない目が嫌いだったのだが初めて褒められた。
俺にとって有栖との出会いは初めてだらけだったのだ。
そしてその会話から俺は努力をした。
多分何か変わるきっかけが欲しくて、有栖にまた好きって言われたい本当に単純な理由だったと思う。
中2になって俺は完全に垢抜けた。
その頃から古着屋”Thunder volt”にもお年玉を切り詰めて通い詰めた。
ヒロシさんは俺にファッションだけじゃなくて色んな音楽やカルチャーを教えてくれた。
「有栖がこの前おすすめしてくれた映画面白かった!」
「あの映画シリアスとギャグの間が上手すぎるんだよね!新川って本当守備範囲広いよね!」
「そうかな?俺は有栖の方がなんでも知ってて凄いと思うよ?」
「最近すっかりイメチェンもしてかっこよくなったしもしかして、私のおかげだったりする感じ??」
「有栖は覚えるか分からないけど目が好きって言われた時こんな風に思ってくれる人も居るんだなって思って、そこから服とか映画とか音楽とかどんどん好きになって確かに見る景色はすごく変わったな!でも、本当に感謝してるよ!」
「ちょっと、照れるな~!変に真面目で考えすぎなところな昔のままだけどね~」
こうして少しずつ有栖に近づけてる気がして自分は素直に嬉しかったのかもしれない。
「有栖って次の休みって暇?」
「暇だよ~どうして?」
「よ、良かったら遊びに行かない?」
「別に良いけど、私と出かけるとスカウトされまくってウザいからよ?大丈夫?」
「うん、その時は俺が守るよ。」
「そ、そう。どっか行きたいところある?」
「良かったら駅前にある俺がよく行く古着屋さんあるんだけど一緒に行かない??」
「面白そう!メンズの服とかあんまり見ないからちょっと見てみたいかも!」
ー当日ー
「おはよ!新川凄いオシャレだね私服!」
「ありがとう、有栖もす、すごく似合ってる。」
普段学校でよく話してるはずなのに凄くぎこちなくなっていた。
「言ってたお店ここなんだよね~」
そう言って俺はThundervoltに有栖を連れて行った。
これが、前に萌と2人で行った時にヒロシさんに言われた”前にもこんな事あった気がする”って話の事なんだろう。
「いらっしゃい!お、優希くん友達連れてくるなんて珍しいね~って、この前買った服着てるってことは~??」
遊びに誘う前に好きな人を誘う勇気が欲しいって話をしてヒロシさんと盛り上がった時に買ったのを忘れていた‥
「あの、有栖桃花です!」
「桃花ちゃんね、よろしく!俺は藤枝ヒロシだからよろしくね!」
「はい!」
「桃花ちゃん、まるでモデルみたいな体型だね、こんな美人な人が優希くんと一緒に歩いてるってだけで面白いな~」
「ちょっと、ヒロシさんからかわないでくださいよ!」
「はいはい、ま!ゆっくりしていって~試着は無料だからね~」
「新川ってこんな所で服買ってるんだ!そりゃオシャレになる訳だわ~」
有栖は別に服が大好きってより素のチートみたいな容姿でなんでも服が似合うタイプなのでファストファッションでも凄く可愛いんだろうな‥
「俺は服の力を借りてやっとオシャレになるからね~有栖は似合わない服探す方が難しいでしょ!」
「まあ私、天才だからな~」
こうやって2人きりで遊ぶぐらい仲良かった。
この後のやってくる事件までは。
続く
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