「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎

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文化祭編

14話「とらうま おかわり」

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2人で出かけるほど仲良くなっていた新川優希しんかわゆうき有栖桃花ありすももかだが、2人のすれ違いが起きたのは彼女の誕生日9月14日の事である。

当時の俺は何か勘違いしてたのかもしれない。
俺は誕生日にThunder voltで買ったネックレスと自分の想いを曲にして告白しようと思った。

何か手作りの物を渡したいという気持ち、恋愛経験のない俺が唯一知ってるギャルゲーの知識だった。

別に手作りのケーキを渡すとか手作りのマフラーを渡すとかの気持ちと対して変わらないもんだと思ってたし、その頃の俺はみんなの告白したらいけないみたいな風潮なんて全く気にしてなかったし何より俺と有栖の仲だからこそ気持ちが伝わると思っていたのだ。

中1の誕生日に買ってもらったアコギをコツコツ練習していたし何より夏休みがあるからそこで沢山練習しよう。

「お前ら、夏休みだからってハメを外しすぎるなよ~!わかったか!じゃまた二学期に会おう!」

「新川~!夏休みって予定とかあるの?」

「別に特にないよ!」

「いつメンでプールとか花火行こうって話になってるんだけど!」

「おう!もちろん行くよ!」

夏休みでも有栖に会える、それだけで幸せだ。

そして、迎えた夏休み。正直あんまり覚えてない、それほど消したい記憶なのかもしれないな‥

そして俺がこの事で唯一忘れられないのは有栖に作った曲のコード進行と歌詞である。

「♪~君と初めましての隣の席~俺の心はキミに掴まれたままで~」

よし、明日から二学期だ。まずは有栖に14日のの放課後空いてるか聞いてみよう。

.
.
.

「おはよう!桃花!」

「おはよう!優くん‥ちゃんと宿題はやってきた?」

夏休み中に2人で行った祭りの後に自然と名前で呼び合う仲になっていた。
このせいで俺は未だに優くんって呼ばれるのが嫌なのかもしれない。

「宿題なんて余裕だよ~‥徹夜でやってきた」

「本当そういうタイプだよね、優くんは!」

「ま、まあやる事も沢山あったからな~てかさ、桃花って14日の放課後ってちょっとだけでも良いから時間あったりする?」

「その日は部活は確かお休みだったよ!」

「14日絶対空けといてほしい。」

「うん!わかった!」


ついに”決戦の日”は決まったのだ。


前日、俺はこんな事を思った

「ついに明日かぁ‥もしも、振られたらどうなるんだろうか。俺ってなんだかんだ中学入ってから有栖の事ばっか考えてきたからな‥もしも、そんな日々に終わりが来たら、俺は‥いや、弱きになるな俺。プレゼントも用意したんだから絶対成功させよう。」


そしてついに当日を迎えることになった。

「それでは、帰りのホームルーム終了します。さようなら。」

「さようなら~」

「あ、あのさ、桃花!今日のことって?」

「ちゃんと覚えてるよ!」

「ついてきて欲しいところがあるんだよね。」

「わかった!どこ?」

「別棟の理科準備室って所なんだけど一緒に行く?」

「迷子になりそうだから一緒に行く!」

別棟の理科準備室は誰も来ないし普段から空いている言うなれば誰でも使える教室なのだ
生徒のいる教室からはかなり離れておりここなら誰にも邪魔される事もないのである。

「着いた。ここなんだけど」

「うん‥」

お互いの鼓動が聞こえるぐらい静まる教室内、桃花と2人きり。
まるで時間が止まっているようだった。

「えっと、まずは桃花、誕生日おめでとう!」

「え、知ってたの!だから今日空けといて欲しいって話だったのね!」

「うん、これプレゼントなんだけど」

「今開けても良い?」

「いいよ!気に入ってくれるか分からないけど!」

「ありがとう。これ、ネックレス?すごく可愛い!!」

良かった。喜んでもらえた。

「この前2人で行ったThunder voltで買ったんだ!これ絶対に似合うと思って。」

シンプルな四つ葉のクローバーのネックレスだ。
特に意味は無いんだけど可愛いって理由だけで買ってしまったが、どうやら気に入ってくれたらしい。

「そ、それともう一つ俺からのプレゼント。桃花にどうしても手作りの何かを送りたくて曲を作ったんだ。聴いてくれる?」

「いいよ。」

緊張のあまり、歌詞もコードも全部吹っ飛びそうになった、弦を押さえる指が震えてるのも自分でもわかった。

「じゃ、いくよ」

こうして俺は桃花に作った曲を披露した。
今思えばこれが大きな間違いだったのかもしれない。

「ど、どうかな?」

演奏を終えて身体の芯まで熱くなってるのが自分でもわかった。

「凄いよ!!優くんって本当何でもできるんだね!!私感動しちゃった~」

上手くいった、のか?
微笑む彼女にはうっすら涙も流れていたのかもしれない。

「あのさ!俺、桃花に出会って世界が変わったんだ。あの時、目が好きって言われてさ、その日からオシャレとか音楽とか映画とか勉強してその度に自分の世界に色が付いたんだよね、桃花のおかげで俺の時が動き出したんだ。」

「ずっと、ずっとあの日から好きでした。良かったら僕と付き合ってください。」

「‥‥‥」

あの時なんて言われたかは思い出せない。
いや思い出したくないだけなのかもしれない。
次の日学校に行った俺は浮かれてたような気がしたんだけどな。

「お、登校してきたぞ!」ニヤニヤ

「みんなおはよう‥ってなんだよこれ‥」

黒板には新川は勘違い男、有栖にポエムソングを披露とか多分そんな事が沢山書いてあったと思う。クラスの男子や女子、仲良いと思ってたメンバーもそこに居た。

「おいおい、新川お前なんか勘違いしてるだろ、有栖は優しさでお前と遊んでただけだよ、バカだなー」

「おい~新川、お前が作った曲俺らにも聴かせろよ~」

「何でお前らがそんな事知ってんだよ」

俺は恥ずかしさなのか苛立ちなのか怒鳴ってしまった‥

「有栖が昨日帰ってからクラスの女にお前が誕生日で歌作ってきた事言ってきたってよ!自作の歌なんてダサすぎて他の人に言わずにいられなかったんじゃねぇの?」

「てか曲とか恥ずかしい事よくできるな‥」

やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ、
俺だってちょっとは痛いと思ってたよ。
それでも、それでも、桃花は喜んでくれると思ったんだよ。

「ちょっと、何よこれ。」

そんな所に少し遅れて桃花が登校してきたのだ。

ー続くー
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