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文化祭編
22話「Fade to Black 君の名を呼ぶ」
しおりを挟む何度もリセットされた世界に囚われた新川優希がその原因となる白雪雫と接触し前に進む事を決意した優希は元の世界に戻るために雫をキスをしたのであった。
.
.
.
「ん‥ここは‥」
「おはよう。」
「おはようございます。雫‥」
どうやら本当に元の世界に戻れたらしい。
恐るべきキスの力‥
「あの、俺、マジで感謝してます。雫のおかげで今の俺があると言っても過言ではないんで。」
「そう、でも私は変わってほしくなかったのかもしれない、新川君に。」
「今までの俺はそうやって救われてたんだからそれはそれで感謝してますよ、だからその、自分を責めないでください。別に俺、悩みがなくなったからって雫を忘れないしこれからも好きですからね。
だから安心してください!」
「縛り付けてごめん。」
「だから!謝らないでくださいよ!これからは普通に俺に話しかけて良いんですからね!」
「ありがとう‥」
こうして文化祭に戻れた俺がやる事は一つ。
「あのすいません。」
「行くんでしょ、ミスコン。」
「はい、今どうしても会わなきゃいけないんで。」
「頑張ってね、新川君、また辛くなったら私の所に来て良いんだからね。」
「辛くなくても雫には会いに来るよ。本当ありがとう、じゃまた‥」
こうして体感にして何年振りかに文芸同好会の部屋から出たのであった。
雫のおかげでずっと守られてきたけど、それでも俺は、前に進む。
.
.
.
「皆さん、大変お待たせしました!これより第15回目の裏高ミスコンを始めたいと思います~!!」
ワー!!
キャー!!
「凄い盛り上がりね‥」
「どうしたの?桃花《ももか》ちゃん、まさか怖気ついた?」
「意外と読モも大した事ないんですね~」
「あんたらね、そうやって吠えてられるのも今のうちよ!!」
「それでは紹介していきましょう!まずは、急遽参戦になったこの3人だ!!
エントリーNo.1
前回の覇者、そして学園のマドンナ~この笑顔は誰にも譲れない~
“朝比奈風夏”!!!
朝比奈さ~ん!!
風夏~がんばれ~!!
エントリーNo.2
この三つ巴で1番不利か~否!!顔良しスタイル良し、先程のライブでは歌唱力からMCまで存在感出まくり!1年生のダークホース
“早乙女萌”!!!
早乙女さんさっきのライブ良かったよ~!
萌ちゃん頑張ってね~!
そして、そして、まさかの殴り込み~
エントリーNo.3
最強!!!以上。
説明不要のこの女
“有栖桃花”
桃花ちゃん!!
本物だ~!!
そしてここからは事前応募で選ばれしメンバーだ!!
.
.
.
もう始まってるっぽいな急いで行かなきゃ‥
「あれ、兄貴!居るじゃん!みんな探してたよ?」
「お~舞か、心配かけちまったよ。とりあえずミスコン行ってくる、後俺‥決めたから1人の人に‥」
「何だ兄貴完全にスッキリしたって感じだな‥」
ガラガラ‥
体育館のドアを開けた先は連年とは比にならないくらい盛り上がったミスコンが行われていた。
「さて!次が最終種目、アピールスピーチタイムだ!!それではエントリーNo.1の朝比奈さんから皆さん5分づつスタートです!!」
「皆さんこんにちは、朝比奈風夏です。前年度も優勝したから多分知ってる人はいっぱい居ると思うけど、これから話すのは多分、みんなが知らない私の話です。
まず、私は可愛いです。スタイルも良いし、やれば運動も勉強も出来ちゃうんですよね~っていきなり、みんなの知ってる話か!
でも、そんな私を見てくる人はみんないつも外側だけでした。
可愛いから、スタイルいいから、そんな子を隣に置きたい男達はみんな私に寄ってきました。
そのせいで友達の好きだった先輩に告白されたり、それで振って関係悪くなったり、風夏は可愛いから羨ましいとか言われることも沢山ありました。その気はなくても俺のこと誘ってるとか言われたり、本当に顔が可愛いと何不自由なく生きれるのかなって、私って外見にしか価値のない女だって思う時期もありました。
でも、ある時1人の人に出会いました。
その人は私の中身を褒めてくれて、私と好きなものが同じでそのくせ、友達とくっつけようとか、他の人が好きみたいな素振りを見せたり、散々振り回されてます。
でもそんな日々も嫌いじゃありませんでした。
こんなに私の中の喜怒哀楽を出せる人は彼しかいないと思いました。
正直恋は諦めて少女漫画に逃げた私でしたがそんな私を救ってくれた唯一の人、でもその人が今辛くて逃げ出してます。そんな時でも力になれるように私は私なりに彼のそばにいたいと思いました。
時間がないので最後に一言だけ。」
「大好きだーーーーーーーー」
「以上、朝比奈風夏でした!」
パチパチパチ!!!
「ありがとうございました!まさかの告白でしたね~うーんこんな風に思われてみたい!それでは次の方どうぞ!」
「皆さん、こんにちは、早乙女萌です。あ、あの私は中学時代すごく嫌な事があってそれから男の人が怖くなりました。
正直、人なんてみんな一緒だと思ってました。
だからずっと他人に期待しない人生を送ろうと思ってました。
そのせいで、分かってはいたけどクラスでは浮いたし、せっかく話しかけてくれる女子にも冷たい態度を取り続けてました。
本当にごめんなさい。
でも、似たような過去を待ってる人が私を助けてくれました。
人見知りで怖くて入れないお店に着いてきてくれたり、プリクラも撮ってくれました。
自分の過去の辛さをその人は自分の事のように怒ってくれました。
きっかけは本当に私がポロッと言った一言だったんですが、もしその一言を彼が拾ってくれてなかったら、今も1人で誰にも期待しないまま生き続けたんだとおもいます。
私の音楽もファッションも人間も全部全部認めてくれて、大事にしてくれてありがとうございます。
今、聞いてるか分からないけど本当に大好きです。これからも一緒に居させてください。
あ、あの以上です。ありがとうございました。」
パチパチ!!
「ありがとうございました~いや、何だか私の涙腺が崩壊してしまいました‥。
そ、それでは次の方どうぞ!」
「こんにちは!桃花です!
いや、ごめんなさい、私の身勝手な理由でこのミスコンに出させてもらいました、ありがとうございます。
いきなり変な話をしますが
何故か私、ある時期からこのミスコン前までの出来事が何度もループする夢をみたんですよ
で、その夢は1人の少年が扉を開ける事でループが終わるって夢で私何度も何度もミスコン前で戻されてたんですよね!でも今ミスコンが開催してるって事は1人の少年が勇気をだして前に進んだって事だと思うんですよ。
まあ変な夢の話に続けて私の失恋の話します。
あのね!!
まずあんただけが被害者ぶってるのがおかしいのよ。
私、曲もらって嬉しかったんだよ、その後の告白ちゃんと返事したんだよ!
私も好きって言ったんだよ!
なのに何で忘れてるの??
私別にバカにしたくて周りの人に言ったんじゃないのに!
嬉しくて、嬉しくてその気持ちを他の人に話しただけなのに、
何であの時私の話を聞いてくれなかったの!!私はずっとずっと今でもこの四つ葉のクローバーのネックレス大事にしてるのに!!
なんでよ!会ったら逃げ出すとかやめてよ!
夢の中じゃ話せたじゃん!
バカ、バカ、バカ
私の大事な思い出トラウマとか言わないでよ
なんでよ!
見返したくてモデル始めたのに全然心満たされないじゃん!
何十万人に褒められてもあんた1人に褒めてもらわなきゃダメなんだよ!
それにあんたは覚えてないかもだけど、
初めて話したの小学生の時だから!!
あの時、あんたが私の服褒めてくれたんじゃない!!
それで私いっぱいいっぱいオシャレしたのに何で忘れてるのさ!
いつも私だけ覚えてて!
何回も何回も人生やり直してたけどその時だって私だけは覚えてたのに、
なんでよ!
バカ!!バカ!
それでも、今でも、あんたの事
大好きなんだから!!!!
勝手にトラウマとか言って逃げないでよ!
私だけ置いてかないでよ!!
バカ!!!!!
私からはこれだけ後はあんたの人生なんだから‥」
「あ、ありがとうございました‥気迫のスピーチでしたね‥」
みんなの本心を聞いてしまった。
俺はやっぱりこの気持ち達から逃げていたんだと思う。
なにより、有栖さんの事は完全に俺が悪いな‥
何で俺はすっかり忘れてしまってたんだろうか
でも、もう向き合うって決めたんだ俺は。
このミスコンが終わったらみんなに話そう。
こう強く思ったのであった。
ー続くー
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