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七夕編
29話「七夕the emotional.」
しおりを挟む新川優希が歩き出す新たな一歩
有栖桃花の騒動が落ち着いたすぐ後の話。
「もしもし、風夏?」
「あら、優希君!」
「桃花の件無事に終わったよ」
「そう、良かった。」
「あのさ、7月7日って空いてる?」
「空いてるよ~」
「その日、1日デートしたいなぁ~」
「優希君から誘ってくれるなんて珍しいね~」
「やっと色々終わったんでこれで心置きなく風夏と過ごせるなって思ったら楽しみで楽しみで」
「本当良かったよ。まずはお疲れ様!」
色々あったけど本当に終わったんだなって気持ちが強い。
やっと日常がやってくる気がする。
「あと、今日昼休み一緒にご飯食べたいな!」
「もちろんよ!じゃ、またあとでね。」
「はい!」
とりあえず帰って着替えよう。
「ねぇ、優ちゃん」
「おお、栞菜!」
咄嗟に挨拶してしまった。
「この前何で逃げたのさ??
てかてか!聞きない事たっくさんあるんだけど!!知らぬ間に朝比奈先輩と付き合ってるし、この前一緒にいた小学生はなに、てか世界がループしてたって何?、てか何でこのマンションに‥」
「分かったからとりあえず落ち着いてくれ!」
「だってさ!私!!」
「まだ時間あるから久しぶりにあそこ行かない?」
「え?」
そういって俺はあれ所に向かった。
「懐かしいね‥ここ。」
そう俺と栞菜と翼がよく3人で遊んでた公園である。
「とりあえず色々ありすぎて俺も一回落ち着きたいんだよな。
この前は逃げてごめん。」
「別にいいんだよ~」
「順を追って話すけどまず俺の中学時代に絶望してたのを救ってくれた人がいるって話しただろ?その人は実は同じ裏高の3年で白雪雫って人だった。
でもその人は俺がこれ以上悲しい想いをして欲しくなくてその結果傷付いた俺の為にリセット出来る力が雫についたんだって。」
「そんな魔法みたいな事ってあるんだ‥」
「そうなんだよで、その力から俺は何とか抜け出したんだよね、その後見てたか知らないけどミスコンやってその後に俺は風夏に告白して付き合ったんだ。」
「うん‥」
「で、全ては解決かと思ったらよ、今度は桃花が小学生ぐらい小さくなっちゃってさ!」
「じゃあ、あの時一緒に居たのって有栖さんな訳?」
「そうなんだよね、まあ小さくなったのを知られたくなかったらしいからあの時は咄嗟に逃げちゃったんだけど、それもまぁ‥解決した。」
「それは何が原因で小さくなったの?」
「俺と桃花の恋を終わらせた。」
「え?」
「昔からお互いずっと好きだったのに中途半端にしてたからそれを全部言ったんだ、まあ多分お別れの挨拶になっちゃったけどな‥」
「そうなんだ‥」
「まあ簡単にまとめるとこんな感じだな!」
「優ちゃんはやっぱ凄いな~」
「え?」
「昔からいつもヒーローみたいだった!」
「そんな事ないよ!」
「いや、あるよ~この公園でもよくみんなで遊んだよね!舞ちゃんも付いてきてさ、4人で鬼ごっことかしたな~」
「別に俺らが仲良いのは今も変わらないだろ!」
「そうなのかな?」
「え?」
「だってさ、最近みんな色々と忙しそうじゃん?翼だってさ、日向《ひなた》先輩とよく遊んでるしさ~優ちゃんだって‥」
「大丈夫だよ、俺のせいで一時期離れてた時期もあるけどそれでもこれまでずっと仲良くやってきたんだしさ!」
「うーん‥それなら良いけどさ~」
多分栞菜は寂しかったんだと思う。
最近俺たちの環境はここ数ヶ月でガラッと変わってしまった。
その環境に置いてかれる感覚みたいなものは俺も凄く分かるしあの言葉で言い表せられない感情を抱えたまま生きるのもなかなか辛いしな‥
「まあたまには3人で昔みたいにモンファンでもやるか!」
「懐かしいね!」
モンスターファンターというゲームが昔流行ったんだけど中3頃の俺らはよく3人で集まって受験勉強もしないでよく遊んでいた。
「絶対俺らは大丈夫だし変わらないからあんま気にすんなよ!」
「変わらない‥か」ボソ
「なんか言ったか?」
「別に~てか、優ちゃん私服だけど学校間に合うの?」
「え、今何時?」
「もう7時30分だよ~」
「やべぇ!!とりあえず急いで帰って着替えてくる!!」
「じゃあまた学校でね~」
「おう!」
「優ちゃん私も好きだよ。」ボソ
そう俺たちの環境は少しずつ変化していってたのかもしれない。
今年の夏休みはこんなにも壮大な時間を過ごすとはこの時は思ってなかった。
.
.
.
文化祭以降クラスのやつらとは仲良くなった、実際バックれた時はめちゃくちゃ怒られたけどまさか、桃花や風夏、萌《もえ》を巻き込んだ台風の目が俺だったとはクラスのみんなも思ってなくてその上朝比奈風夏《あさひなふうか》と付き合う事になったという事実に怒りよりもクラスの意外性ナンバーワンになってしまったのだ。
何より昼休みになると‥
「優希君!ご飯食べよー!」
学園のマドンナ朝比奈風夏のお迎えが付いているのだ‥
「新川って思った以上にすげぇ奴だよな‥」
「わたし優×翼推しだったのに~」
そんな声も聞こえてくる
でもそんな所を含めても今の俺は自分の事を好きでいれてると思う。
ー続くー
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