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白雪雫
46話「スノーホワイト5」
しおりを挟む新川優希はどこへ…
「よし、じゃあ今からみんなで俺らの母校に向かいましょう!」
「このファミレスから近いの?」
「はい、歩いてすぐの所なんですよね!」
「待っててね、優君…」
「舞ちゃん…」
「大丈夫だよ、栞菜ちゃん。」
「待ってろよ、優希…」
・
・
・
「着いたな…」
「うん、だけど…」
「今日平日でまだ夕方なのになんか…」
「誰もいる空気感じないね…」
「とりあえず、俺1人で…」
「今井君、みんなで行こう。」
「わかりました。じゃあ図書室の場所はわかるんでみんなで行きましょう。」
「でもあれね、本当に不思議…誰も居ないわ、やっぱこれが未来人の力…」
「でもさ、優君はその白雪さんって人は普通の人に戻ったって言ってたよね?」
「そうなんだよ、だからあるとしたら、優希がこんな事を起こした、あるいは彼女が嘘を…」
「着いたよ~」
「よし入ろう…」
「ガチャッ…」
「優希!」
「優君!」
「兄貴!」
「優ちゃん!」
「あなたたちは…」
「こんにちは白雪さん、私は同じ学年の…」
「朝比奈風夏、早乙女萌」
「私のことまで知ってるんですね…」
「白雪先輩…優希を返して欲しいんですけど…」
「それは無理ね、だってもうこの世界は私達のものなんだから…誰にも邪魔させないわ。」
「やっぱりあんた、嘘ついて…」
「そうよ、キスすれば新川君は元の世界に帰れるわ。」
「やっぱり…なんで優希を騙したんだ!」
「だって現実は残酷なんだもの…新川君ばっかり傷ついて、そんなのあんまりじゃない?
そもそも朝比奈さんと早乙女さんは彼の記憶がないのでしょ?それなのに助ける義理がある訳?」
「だって元の世界では私が元カノだったんでしょ!」
「それよ、あなたは元の世界で散々新川君を振り回して告白させて自分の気持ちを優先させて振ったのよ。
そう言う自分勝手な所が新川君を傷つけてるのよ?」
「で、でも!」
「何?、それとも今の世界の私だから関係ないって言いたいわけ?だったらこの世界に居ても良いじゃない?」
「うぅ…」
「あなたもよ、早乙女さん。」
「え?」
「あなただって新川君の事好きで仕方ないのに自分が嫌われたくないがために丁度いい後輩の位置をずっとキープして、それで分かったつもり?」
「あんたね!さっきから!」
「一番嫌いなのはあなたよ、有栖さん。
あなたがクラスの人に言わなきゃ新川君は学校でハブられる事もなかったし、元の世界であなたは小学3年生の時の未練のせいで
身体が小学生に戻って新川君に面倒見てもらって迷惑かけてるのよ。
それにお母さんが亡くなった事も知らないくせに…
みんな自分には関係ないって思うなら、私達に構わないでくれる?
「や、やめてくれよ白雪先輩…」
「翼…」
「あんたの言ってる事はもしかしたらただしいのかもな、でも優希は…あいつはそれでも元の世界に戻りたいって俺に、俺らに話してくれたんだよ。
俺だって分かってるよ、あいつは昔から茨の道を通るバカなんだけどよ、それでも、困ってる奴がいたら絶対に助けるんだよ。
不器用だけど誰よりも真っ直ぐでさ、だから辛い事があってもあいつは前に進むって決めたんだ。俺だって無茶するあいつを止めれば良かったって、
中学の時、背伸びしたあいつを止めてればって、何回も何十回も思ったよ。
でもさ、あいつはそれを含めて前に進むって決めたんだ。だから頼むよ、優希を元の世界に返して…あげてください…」
「ごめんなさい、それはできないだって…」
「雫…」
「新川君??」
「優希…」
「すいません、みんなの声が聞こえて脳は起きてたんですけど声が出なくて…」
「起きるはずないのに…」
「ここは中学の図書室ですかね、懐かしいっすね、それに風夏に萌まで居るし…凄いな…夢みたい…」
「新川君、寝てていいのに…」
「雫、やっぱり嘘ついてたのか…
みんなごめんなこんな事に巻き込んで、何も知らないのに風夏も日向先輩も萌も来てくれてありがとう。
雫、俺のために悪者やってくれたんだろ…本当は誰よりも人に優しくて誰よりも俺の話聞いてくれて…
でも、雫と付き合うのも悪くないなって思ったわ。ありがとう。
元の世界に行って謝らなきゃ、風夏に彼女なのに他の人の事ばっか気にした事、萌に過去の自分と重ねて悲しい思いさせた事、桃花に
逃げちゃった事、本当は桃香の話聞いてあげる余裕がなかった自分の弱さを謝らなきゃ…あと雫に沢山話聞いてもらった事、中学時代名前忘れちゃってた事
謝らなきゃ…だからさ、俺の最後のわがまま聞いてくれ雫…元の世界に…」
「ごめんなさい。有栖さんの時一緒で私も本当にこの世界を終わらせる方法を知ってるの。」
「それは雫に…」
「違うわ、それだとまた私は新川君にリセットをかけられるの。」
「え、じゃあ…」
「本当に運命の人だと思う人とキスをするの。この世界で。」
「ってことは…」
「やっぱり私だよね!!」
照れ臭そうに見てくるこっちの世界の風夏、正直可愛い。
「あの嫌ならいいんですけど…」
「私ね、みんなから新川君の話聞いたけどね多分こっちの世界線でも絶対好きになると思うの。
だからいいよ、私の初めてあげる…」
そういえば俺元の世界でも風夏にキスした事…
「すいません、ありがとうございます。
あとみんな本当にありがとう。この世界がこのあとどうなるか分からないけどもし俺がいたらなんでも奢ってもらってくれ…
「分かったよ、優希。じゃあ俺たち外で待ってるからな。」
図書室には俺と風夏2人きりになった。
「早くしてくれる?」
「あ、すいません。」
「あの、ありがとう。」
こうして俺はキスをした。
とても柔らかい唇だったような。
・
・
・
・
「ん…」
第二話見知らぬ天井…
なんて言ってる訳じゃない…
「俺は…」
「優希君!!」
「風夏?」
「良かった、舞ちゃん!優希君が!」
俺はなぜか病院に居た。
話によると夏休み最終日に道端で倒れていた所を誰かが助けてくれたらしい。
だが、夏休み最終日俺は誰と会っていたんだろうか…
全く思い出せない。
でもなんか誰かのぬくもりとかキスとか…
ってなんて破廉恥な夢を見ていたんだ俺は。
・
・
・
こうして特に体に異常は無く無事に退院出来たのであった。
夏休みもおわって数日経っているらしい。
「やばい、復帰初日から遅刻しそう…」
ドン!
周りを見てなかった俺は人とぶつかってしまった。
「あの、大丈夫ですか?…って」
ぶつかってしまった人はロングヘアで眼鏡のかけた可愛らしい女の子だった。
でもなんか…
「すいません、怪我ないですか?」
「はい、あの以前どっかで会った事ありますか?」
「いえ、人違いじゃないでしょうか?」
「あ、そうですよねすいません。」
新手のナンパと思われても嫌だしな…
「今までありがとう。バイバイ…」ボソッ
「今なんて…」
彼女はこうして居なくなったなんだかすごく懐かしい気持ちになった。
「ヤバイ!学校遅れる!!」
こうして俺の日常がまた戻って来たのであった。
ー白雪雫編閉幕ー
ー続くー
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