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クリスマス編
48話「ブルームーン」
しおりを挟む季節はすっかり冬になっていた。
俺は栞菜に告白されて以降、これ以上みんなと中途半端な関係を続ける事よりも、まずは本当に好きな人への想いを馳せることにした。
そう大好きな朝比奈風夏への想いを。
そんな訳で久々に風夏に会う事になったのだが本当に意外な話をされた。
「風夏、それ本当なの?」
「うん、あんな感じだったのに推薦受けれる事になったの‥」
そう、受験する気満々だったのだが推薦を受けられる事になり無事に大学に行ける事になったらしい。
「よ、よかったね‥」
「うん!実はその事を前々から言おうと思ってたんだけどさ、話そうと思ったらちょうど優希君から返信来なくて舞《まい》ちゃんに連絡したら入院してるって聞いてさ‥それで毎日看病に行ってたんだけどさ、目覚めたら目覚めたでその後気まずくなって話しかけられなかったの。ごめんね‥」
なんで風夏は気まずくなったんだろうか‥
でも実際気まずくなってしまった俺たちの関係をまた少しずつ戻したいと思った俺は残り少ない高校生活を友達で良いからと、一緒に過ごしたいとお願いした。
「どうかな?」
「むしろいいの?私酷い事したのに‥」
「そんな事ないよ!あの時は俺も風夏も色々いっぱいいっぱいだっただけだと思うし‥」
「ありがとね‥」
誰が悪いとじゃなくそれも運命だったと思う。
だからこうしてまた仲良くなれるのも運命だと思っている。
こうして俺たちはぎこちないながらにも本当に昔のように戻っていった。
「優希君おはよ~!」
「おはよ、風夏!」
「ゆうき、全部愛してるよ?」
「はい!‥じゃなくてそれ億恋のセリフでしょ!」
「引っ掛からなかったか‥」
「あれ、風夏?」
「あ、日向先輩お久しぶりです。」
「なに、2人ともまた仲良くなったの?」
「まあ、色々あったけど優希君が許してくれたからさ?」
「新川君、この人めんどくさいでしょ?」
「いや、そんな事ないですよ??」
「本当に?なら良いけど?‥まあ2人が仲直りしたならよかった。私、意外と2人が仲良くしてるの好きなのよね~」
「え、こはる、珍しいこと言ってくれるじゃん!」
本当に良かったと思う。
なんだかんだで好きなのに気持ちが空回りしてたからな。
正直今は付き合いたいとかそう言う感情じゃなくて、ただ一緒に入れることが嬉しいのだ。
.
.
.
昼休みもよく一緒にいる事が増えた。
「優希君さ、今度の日曜って暇?」
「うん、特に予定はないよ?」
「本当?じゃあさ遊びに行かない?」
「良いですよ!どこでも行きましょう!」
「ここなんだけどさ!!」
.
.
.
「ってえ?!!?!!」
「どうしたの優希君?」
そう、風夏の行きたい所は何と夏休みに来たばっかりのお婆ちゃんの住んでる上田だった。
「寒いねぇ~」
「寒いね、ってそうじゃなくて!
ここ、俺のお婆ちゃんが住んでる所なんだよね!」
「え、そうなの?ここの海好きで中学生ぐらいまでよく家族で来てたんだよね~」
「そうなんですね、知らなかった‥」
「それに親戚が住んでてさ、お母さんの弟なんだけど、子供が双子の女の子なんだけど、確か優希君と同い年じゃなかったかな?」
「え、それってまさか菊池ゆいとかおりじゃ‥」
「え!!何で知ってるの??」
マジか‥マジなのか‥
まあ確かにゆいもかおりも風夏もみんな可愛いけどさ~
「いや、知ってるも何も‥」
待てよ、出来れば2人の事もゆいとの関係もあんまり知られたくないな‥
だって、いとこなんでしょ~
参ったな‥
「知ってるも何も、ここら辺じゃ有名ですよね、あの双子は、ま、まあ俺はあんまり存じ上げ無いですけどね~」
「ふ~ん」
やばい、嘘が下手くそすぎる‥
「まあ私さ、冬の海が好きで来たかったの!
お婆ちゃんに挨拶してく?」
何とか誤魔化せたか~
反応が微妙すぎる~
「あれ!優希??」
この声は‥
「ひ、人違い、じゃあないですかねぇ‥」
やはり噂をすればなんとやらって感じで、菊池かおりが現れた。
「あれ!かおりちゃん?私だよ、風夏!」
「え、風夏さん??なんで優希と一緒に?」
__【速報】新川優希終了のお知らせ。
.
.
.
「いらっしゃいませ~ってかおり、おかえり!」
「お客さんも連れてきたぜ!」
「え、優希君に風夏さん?!?!」
「ゆいちゃん、久しぶり~」
「お、おう、ゆい、久しぶり~」
__【速報】地獄始まる。
「優希君がなんで風夏さんといるの?」
「そうなのよ、そもそも優希会った時に知らない人のふりしようとしたしな!」
「てかさ、優希君?ゆいちゃんもかおりちゃんも存じ上げないとか言ってなかった???」
「あ、あのですね、それは‥」
__【悲報】新川優希、バレる。
「そうなんだ?じゃあ2人とも小学校からの仲なのに私に言いづらい事があって”嘘” ついたんだ~」
怒った風夏の顔久々に見たけど怖すぎるよ‥
何で俺はバレる嘘をついてしまったんだ。
数分前の俺マジで間違ってるぞ‥
「ま、まあ風夏さん、優希君も反省してるし‥
でもま、さ、か優希君の絶対諦めたく無い好きな人が風夏さんだったとはねぇ~」
「え?まさか、ゆいちゃん‥」
「実は私、”小学生の頃”から優希君の事好きで告白したんですよ、そしたら好きな人がいるって振られちゃって~」
少し恥ずかしそうに聞く風夏の可愛さ
逆にちらちら見てくるゆいの視線が怖くて仕方なかった‥
「ちょっとお手洗いに~‥」
この空気に耐えられなくなった俺は逃げるようにトイレに駆け込んだ。
ー続くー
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