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クリスマス編
49話「ILOVEXMAS」
しおりを挟む【速報】新川優希トイレに逃げ込む。
「まさか優希君の好きな人が風夏さんだったとは‥これじゃ私も流石に勝てないな~」
「勝ち負けじゃ無いと思うけど‥」
「でも、私は本当に優希君の事大好きなんで、別に気持ちがないんだったら振り回すのやめてくださいね?」
「残念。でもね、私も本当に本当に優希君の事好きなの気づいたの、どんなに可愛いゆいちゃんでもこれだけは譲れないわ。」
なんか盛り上がっているな‥
すっっごく気まずいがトイレから戻ってきた。
「行こっか、優希君。」
「は、はい!」
何故か、風夏は俺の腕に抱きついてきた。
「ごめんね、ゆいちゃん、優希君だけは絶対ダメなの。」
何の話だろうか‥正直、良い匂いとか胸が当たってるとか良い匂いとかで頭が回らなかった。
「じゃ、俺らはそろそろ行くわ。」
「そ、そっか、優希君またね。」
「おう、優希、次こそ家族でこっち来いよ、お父さんが会いたがってたぞ。」
「わかった。」
何とかこの気まずい空間を逃げ出してきた。
「優希君は、何で嘘ついたの?」
「いや、こうなるのが目に見えてたんで‥」
「全く‥でも許してあげる。」
なんだか機嫌が良い‥
やっと生きた心地がしてきた。
「ちょっと海の近く散歩しよ?」
「いいよ!」
俺らは海の周りを少し歩く事にした。
「ちょっと変な話していい?」
風夏は真面目な顔でそう言ってきた。
「うん!いいよ?」
「本当変な話なんだけどさ、私最近夢見たんだよね、それがさ本当に不思議でさ、その夢に優希君が出てくるんだけど知らない女の子が居て、優希君と親しいらしくてその人に、優希君を傷つけてるのはあなただってあなたのせいで辛い思いばかりさせてるって言われてさ、私言い返せなかったんだよね。」
俺も病院でそんなような夢を見た気がする。
「それでさ、私辛くてさ、気が付いてたんだけどどうする事も出来なくてさ。
私が悪いって分かってたんだけど優希君の気持ちを分かってながらも冷たい態度取っちゃって傷つけてさ、それで言い返せなかった事が辛かった。その通りだと思ったの。
七夕の時も夏に会った時も結局は自分から突き放しながらも自分から寄っていった事本当にごめんね。」
「でも結局その時は受験とか俺が他の人にばっか時間使っていたから本当にごめん。
風夏1人が悪いって訳じゃないんだよ、本当に。」
「でも、謝りたいのにさ、もしこのまま優希君が目を覚さなかったらっていうのが嫌でそれが怖くてさ、でも夢の中で本当に運命だと思う人がキスをすれば優希君が目が覚めるって話を聞いた気がしたからさ、咄嗟に眠っている優希君にキスをしたの、そしたら本当に目を覚ましてさ‥」
え、今なんて‥風夏と俺がキス‥‥??
「え、それ本当?!?!!?」
「う、うん。」
なんて返せば良いのか分からなかった‥
「でも、本当に目が覚めて、また仲良くなれて謝れて良かった。それほど私も好きだったのに嫌な態度とって本当にごめんなさい‥」
波の音、沈む夕日、俺はここで全部の気持ちをぶつけようと思った。
正直今は付き合いたいとかそう言う感情じゃなくて、ただ一緒に入れることが嬉しいとかほざいたがあれは嘘だ。ただの傲慢でカッコ付けのだっさい言い訳だ。
「色々あったけど俺の隣は風夏以外考えられないよ。」
「え?」
「何があっても大好きだ。嫉妬深い所も、一途な所も、無邪気な所も、優しい所も、すぐ顔に出る所も、外見も内面も全部全部‥何があってもどんな風夏でも俺は大好きだ!!!!!!!」
これでいいんだ。
俺はかっこよくないし、ギャルゲー主人公でもないし、バカでアホだ。
回りくどい事とかおれの性に合わない。
この気持ち全部を素直に叫んだ。
「私も‥き‥」
「え?」
「私も大好きだよ~‥」
風夏が泣き出した。
「誰にでも優しいと不安になるし、周りに可愛い子いっぱいいるし、辛い道ばっかり選ぶ人だけど、私も私も‥何があっても大好き‥」
泣きながらも本当の気持ちを俺にぶつけてくれた。
俺は思わず抱きしめてしまった。
「あの、俺‥俺‥」
何を言えばいいか分からなくなっていた。
「今度は2人で幸せは倍に悲しみは半分にしよう。」
「うん‥」
「好きだよ。風夏。」
波の音、沈む夕日、俺はここで全部の気持ちをぶつけた。
「俺と付き合ってください。」
「もちろん‥」
2人して泣いてしまった。
幸せな涙だった。
多分2人とも似てるんだと思う。
伝えるのが下手くそで本当は誰よりもお互いの事想ってるのに不器用だから伝わらなくて、でも、それでも、ちゃんと想いをぶつければなんて事ないんだって初めてお互いが分かったのかも知れない。
「そろそろ帰ろっか‥」
「うん!」
次こそは本当に風夏と幸せになるんだ。
.
.
.
「やっぱ、私じゃダメかぁ~‥」
「ゆい、やっぱ盗み聞きしない方が良かったんじゃない?」
「そうだよね‥でもさ、分かっときたいじゃん?」
「ま、まあさ、別れたら次こそ狙い目っていうか‥」
「なにそれ、かおりっぽい答え~」
「幸せになってね優希君‥」
結局はみんなを幸せにするなんてルートは存在しないし、セーブして全員攻略するなんてのは現実じゃ無理な話だ。
だったらやっぱり1番好きで誰にも譲りたく無い人と俺は幸せになりたい。
いやなってやる。
それしか無いんだ。
ー続くー
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