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本編
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海街の準備に忙しい中、ダリアローズは聖歌の練習も欠かさなかった。
朝早い、誰も活動していない時間に丘まで出て、ひっそりと練習をする。思い切り歌うのは気持ちが良い。
どう歌えばいいのかは、ひよこカナリアが教えてくれる。簡単なものが歌いこなせるようになれば、少し難易度を上げた新しいものを。祈りの気持ちについては、ダリアローズに教えることは無いらしい。
(この国の人皆が幸せになれればいいわ。だってわたしだけ幸せでも気分が悪いもの。嫉妬を買うことも無くなるでしょうし)
ダリアローズはこの忙しさの中に、概ね幸せを感じていた。
パールブレス侯爵領は宝の宝庫だ。酒に強い人も多いので、シャルドネ侯爵領で有名なワインを大量にこちらに持って来させて商売を始めようとしている。魚料理とワインの相性は頗る良い。
夫がトリスタンというのも、悪くない。むしろ、生真面目で信頼できる男であると言える。このまま婚姻を続けても良いような気がしてきていた。次期侯爵夫人という立場は、ダリアローズの能力を存分に活かすのにうってつけだ。
トリスタンにいつか愛する人が出来たなら、別に良い。魚料理に胃袋を掴まれたダリアローズは、この地での自立に向けた活動を順調に進めていた。そう考えると鈍い痛みが走るものの、まだ、手遅れではない。ダリアローズには、ミミやシドという支えてくれる人間がいるから。
幸せだからこそ、皆にも幸せを。
「ここは、~~、ではなくて?」
『違うピ!~~ピ!』
ひよこカナリアの指導にも熱が入る。一人と一匹は交互に歌い合い、ダリアローズの聖歌は日々ぐんぐんと上達していった。練習場所の丘は、いつの間にか色とりどりの花畑と化していた。
新婚旅行に当たって、王子らは希望リストを送りつけていた。
海が見たい、水着で遊びたい(この世界では女性の水着は無いため、もちろん却下)などというユリアナの希望が羅列してある中に、『聖歌を歌ってあげたい』と言うものがあった。
そのため、聖女としてのパフォーマンスを行う時間を設けた。かすり傷であっても早く治ることは、感染症を防ぐことにもなるため助かるには助かるのだが、単なる親切心とは思えない。
ユリアナは庇護欲を唆る容姿をしている。彼女が聖歌を歌う姿を見て、レオナルドがそうであったように、トリスタンも目を奪われてしまうのではないだろうか?
(……その時は、その時よ。彼女はもう既婚者。トリスタン様は理知的な人だもの、告白するなど、愚かなことはしない知性は持っているはずよ)
祝祭の一週間前からは、トリスタンと共に海街を巡り、細かなチェックをするようになった。
「報告書で知っているつもりでしたが、ここまで見事だとは……さすがロゼ、ですね」
「トリスタン様にそう言っていただけると嬉しいわ。貴方、他人にも自分にも厳しそうだから」
「それは合っていますが、……ロゼには甘いはずですよ」
「…………それじゃ、正当な評価とは言えないわ」
トリスタンの腕に添えた手が、熱いような気がする。ダリアローズは視線を外へ向け、展望台の出来、あれこれ飾り付けの意味や産み出した料理などの説明をして、その場を凌いだ。
美男美女が並んで歩く姿に、市民は見惚れ、そしてそれが次期領主夫妻と知ると、誇りに思った。小声で『あの代官様は奥様だったのか!?』と驚愕する声も聞こえる。
「はぁ~、二人とも背がお高くて……」
「絵姿を……なんで売ってないんだ!?」
「作れ作れ!我らが若様と若奥様だ!」
ザワザワする人々の間を、素知らぬ顔をしてすいすいと巡っていく。とうとう歩き疲れて茶屋へと入り、休んでいると、隣へ座ったトリスタンがふと、気付いたように声を上げた。
「……こうしていると、デートのようですね」
「でっ……、いえ、これは視察ではなくって?」
「いえ、デートです。デートにしましょう?」
驚くダリアローズの手を取り、トリスタンは目を合わせてくる。常に冷えた静かなアメジストの瞳は、今ばかりは熱を込めてダリアローズを見つめており、何故だか胸が苦しくなってくる。
「でも……わたし、ドレスではありませんし……」
「貴女はただのシャツですら着こなしています。とても素敵ですよ。これからドレス姿のデートも、町娘姿のデートもしてください。楽しみです」
「…………ありがとう。トリスタン様、貴方、恥ずかしいことも真顔で仰るのね」
「恥ずかしくはありませんよ。俺は」
どう言っても勝てない気がして、ダリアローズは押し黙った。トリスタンの長く節だった指が、ダリアローズの華奢で嫋やかな指を撫でる。触れられたところがひどく敏感になったようで、ピクリと身じろぎをすると、隣の男はとても楽しそうに笑っていた。
(知らなかったけれど、この人、結構いい性格をしているのね……)
恨みがましい目で見る。すると、あるものを見つけてしまった。
トリスタンの背中側は大きなガラス窓になっていた。そこに写り込んだ光景に、ダリアローズは席を立つ。
「失礼、少し……お花を摘みに」
「はい、これを飲んでいますね」
まだ席に着いたばかりで心苦しいが、ダリアローズは手洗いに行く振りをしてそっと店を抜け出した。
店と店の間、昼間でも暗い路地裏へ、音もなく女性が連れ込まれていくのを見てしまったのだ。すぐに粗暴な輩が五人、泣いて嫌がる女性を押さえつけ、持ち物を剥がし、衣服までも取ろうとしていた。
祭りが近付いて観光客が増えると共に、治安も悪化しているようだ。ダリアローズは冷たく男たちを見下ろした。
「何をしているのかしら」
「……ぁあ"?お前……すげー美人じゃねぇか」
「会話は無駄のようね」
「!?カハッ」
バシン!
バシンバシンバシンバシン!
見るからに荒事に長けた男たちが、強力な平手打ちを受けて吹き飛んでいく。もちろんダリアローズの手ではなく、闇魔法で顕現した大きな手である。自分の手を汚すことなど、淑女はしない。
「もう大丈夫よ。わたしが来たもの」
「あっ、うっ……」
女性を助け起こす間にも、真っ黒な手は五人をビタンビタンと平手打ちし続ける。
男たちは、自分より強い者に嬲られた経験が無かった。大きすぎる手により、頭の中までも揺さぶられ、平衡感覚は狂い、立つこともままならない。顔は腫れ上がり、未知の恐怖で震え上がっていた。
「ヒッ……スミマセン、ズミ”マ”ゼン……っ!」
「お仕置き、してあげるわ。光栄に思いなさい」
ついにくったりと意識を失った男たちをぴったりくっつけて縄で縛り上げ、額には【ボクたちは性犯罪者です】とおそろいで刻んでやる。魔力をふんだんに込めたので、あと三年程は保つだろう。
「貴女は……恩人様です……ありがとうございます……っ、うっ、うっ、」
「いえ、怖かったわよね。今、衛兵が来るから」
「ありがとう、ございます……っ、お礼に、名を……」
「ほら見て。あの人たちが助けてくれるわ」
この街に配置していた使い魔の黒ひよこが、衛兵を呼んで来る。それを遠目で認めて、ダリアローズは急いでその場から離れた。時間がかかり過ぎてしまったからだ。
影移動で茶屋へと帰ると、トリスタンは不思議な顔をしていた。
「……?大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ何もないわ」
何も気付かせないようにしないと。ダリアローズは外の陽気と戦闘で汗を少し浮かばせていたのを、ハンカチで抑えて誤魔化した。
(危なかったわ。なんとなく……トリスタン様に、わたしが強いと言うことはバレたくないもの)
トリスタンと最終調整をするのは思いの外楽しくて、例えば二人とも淡白な白身魚や、食感の良いものを好むことを知った。露天にあった不気味な魔除けの人形を、ダリアローズが気に入ってしまい、トリスタンが購入してくれたこと。シャルドネ侯爵領産のワインの飲める、ダリアローズプロデュースのバーの存在がバレて誤魔化そうとしたこと。
トリスタンの表情は、ダリアローズでも分かるほどに柔らかくなった。
(……でも。これで、いいのかしら……また、ユリアナさんが来て、歌ったら…………変わってしまうのかしら)
違うと信じたかった。当時と違い、ユリアナは既婚者だ。トリスタンが仮に恋に落ちたとしても想いは叶わない。しかし、そうなると想像するだけで、ダリアローズには不快に感じられた。
楽しさと不安をないまぜにした複雑な気持ちのまま、時間はあっという間に流れて、王子夫妻がパールブレス侯爵領へと到着した。
朝早い、誰も活動していない時間に丘まで出て、ひっそりと練習をする。思い切り歌うのは気持ちが良い。
どう歌えばいいのかは、ひよこカナリアが教えてくれる。簡単なものが歌いこなせるようになれば、少し難易度を上げた新しいものを。祈りの気持ちについては、ダリアローズに教えることは無いらしい。
(この国の人皆が幸せになれればいいわ。だってわたしだけ幸せでも気分が悪いもの。嫉妬を買うことも無くなるでしょうし)
ダリアローズはこの忙しさの中に、概ね幸せを感じていた。
パールブレス侯爵領は宝の宝庫だ。酒に強い人も多いので、シャルドネ侯爵領で有名なワインを大量にこちらに持って来させて商売を始めようとしている。魚料理とワインの相性は頗る良い。
夫がトリスタンというのも、悪くない。むしろ、生真面目で信頼できる男であると言える。このまま婚姻を続けても良いような気がしてきていた。次期侯爵夫人という立場は、ダリアローズの能力を存分に活かすのにうってつけだ。
トリスタンにいつか愛する人が出来たなら、別に良い。魚料理に胃袋を掴まれたダリアローズは、この地での自立に向けた活動を順調に進めていた。そう考えると鈍い痛みが走るものの、まだ、手遅れではない。ダリアローズには、ミミやシドという支えてくれる人間がいるから。
幸せだからこそ、皆にも幸せを。
「ここは、~~、ではなくて?」
『違うピ!~~ピ!』
ひよこカナリアの指導にも熱が入る。一人と一匹は交互に歌い合い、ダリアローズの聖歌は日々ぐんぐんと上達していった。練習場所の丘は、いつの間にか色とりどりの花畑と化していた。
新婚旅行に当たって、王子らは希望リストを送りつけていた。
海が見たい、水着で遊びたい(この世界では女性の水着は無いため、もちろん却下)などというユリアナの希望が羅列してある中に、『聖歌を歌ってあげたい』と言うものがあった。
そのため、聖女としてのパフォーマンスを行う時間を設けた。かすり傷であっても早く治ることは、感染症を防ぐことにもなるため助かるには助かるのだが、単なる親切心とは思えない。
ユリアナは庇護欲を唆る容姿をしている。彼女が聖歌を歌う姿を見て、レオナルドがそうであったように、トリスタンも目を奪われてしまうのではないだろうか?
(……その時は、その時よ。彼女はもう既婚者。トリスタン様は理知的な人だもの、告白するなど、愚かなことはしない知性は持っているはずよ)
祝祭の一週間前からは、トリスタンと共に海街を巡り、細かなチェックをするようになった。
「報告書で知っているつもりでしたが、ここまで見事だとは……さすがロゼ、ですね」
「トリスタン様にそう言っていただけると嬉しいわ。貴方、他人にも自分にも厳しそうだから」
「それは合っていますが、……ロゼには甘いはずですよ」
「…………それじゃ、正当な評価とは言えないわ」
トリスタンの腕に添えた手が、熱いような気がする。ダリアローズは視線を外へ向け、展望台の出来、あれこれ飾り付けの意味や産み出した料理などの説明をして、その場を凌いだ。
美男美女が並んで歩く姿に、市民は見惚れ、そしてそれが次期領主夫妻と知ると、誇りに思った。小声で『あの代官様は奥様だったのか!?』と驚愕する声も聞こえる。
「はぁ~、二人とも背がお高くて……」
「絵姿を……なんで売ってないんだ!?」
「作れ作れ!我らが若様と若奥様だ!」
ザワザワする人々の間を、素知らぬ顔をしてすいすいと巡っていく。とうとう歩き疲れて茶屋へと入り、休んでいると、隣へ座ったトリスタンがふと、気付いたように声を上げた。
「……こうしていると、デートのようですね」
「でっ……、いえ、これは視察ではなくって?」
「いえ、デートです。デートにしましょう?」
驚くダリアローズの手を取り、トリスタンは目を合わせてくる。常に冷えた静かなアメジストの瞳は、今ばかりは熱を込めてダリアローズを見つめており、何故だか胸が苦しくなってくる。
「でも……わたし、ドレスではありませんし……」
「貴女はただのシャツですら着こなしています。とても素敵ですよ。これからドレス姿のデートも、町娘姿のデートもしてください。楽しみです」
「…………ありがとう。トリスタン様、貴方、恥ずかしいことも真顔で仰るのね」
「恥ずかしくはありませんよ。俺は」
どう言っても勝てない気がして、ダリアローズは押し黙った。トリスタンの長く節だった指が、ダリアローズの華奢で嫋やかな指を撫でる。触れられたところがひどく敏感になったようで、ピクリと身じろぎをすると、隣の男はとても楽しそうに笑っていた。
(知らなかったけれど、この人、結構いい性格をしているのね……)
恨みがましい目で見る。すると、あるものを見つけてしまった。
トリスタンの背中側は大きなガラス窓になっていた。そこに写り込んだ光景に、ダリアローズは席を立つ。
「失礼、少し……お花を摘みに」
「はい、これを飲んでいますね」
まだ席に着いたばかりで心苦しいが、ダリアローズは手洗いに行く振りをしてそっと店を抜け出した。
店と店の間、昼間でも暗い路地裏へ、音もなく女性が連れ込まれていくのを見てしまったのだ。すぐに粗暴な輩が五人、泣いて嫌がる女性を押さえつけ、持ち物を剥がし、衣服までも取ろうとしていた。
祭りが近付いて観光客が増えると共に、治安も悪化しているようだ。ダリアローズは冷たく男たちを見下ろした。
「何をしているのかしら」
「……ぁあ"?お前……すげー美人じゃねぇか」
「会話は無駄のようね」
「!?カハッ」
バシン!
バシンバシンバシンバシン!
見るからに荒事に長けた男たちが、強力な平手打ちを受けて吹き飛んでいく。もちろんダリアローズの手ではなく、闇魔法で顕現した大きな手である。自分の手を汚すことなど、淑女はしない。
「もう大丈夫よ。わたしが来たもの」
「あっ、うっ……」
女性を助け起こす間にも、真っ黒な手は五人をビタンビタンと平手打ちし続ける。
男たちは、自分より強い者に嬲られた経験が無かった。大きすぎる手により、頭の中までも揺さぶられ、平衡感覚は狂い、立つこともままならない。顔は腫れ上がり、未知の恐怖で震え上がっていた。
「ヒッ……スミマセン、ズミ”マ”ゼン……っ!」
「お仕置き、してあげるわ。光栄に思いなさい」
ついにくったりと意識を失った男たちをぴったりくっつけて縄で縛り上げ、額には【ボクたちは性犯罪者です】とおそろいで刻んでやる。魔力をふんだんに込めたので、あと三年程は保つだろう。
「貴女は……恩人様です……ありがとうございます……っ、うっ、うっ、」
「いえ、怖かったわよね。今、衛兵が来るから」
「ありがとう、ございます……っ、お礼に、名を……」
「ほら見て。あの人たちが助けてくれるわ」
この街に配置していた使い魔の黒ひよこが、衛兵を呼んで来る。それを遠目で認めて、ダリアローズは急いでその場から離れた。時間がかかり過ぎてしまったからだ。
影移動で茶屋へと帰ると、トリスタンは不思議な顔をしていた。
「……?大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ何もないわ」
何も気付かせないようにしないと。ダリアローズは外の陽気と戦闘で汗を少し浮かばせていたのを、ハンカチで抑えて誤魔化した。
(危なかったわ。なんとなく……トリスタン様に、わたしが強いと言うことはバレたくないもの)
トリスタンと最終調整をするのは思いの外楽しくて、例えば二人とも淡白な白身魚や、食感の良いものを好むことを知った。露天にあった不気味な魔除けの人形を、ダリアローズが気に入ってしまい、トリスタンが購入してくれたこと。シャルドネ侯爵領産のワインの飲める、ダリアローズプロデュースのバーの存在がバレて誤魔化そうとしたこと。
トリスタンの表情は、ダリアローズでも分かるほどに柔らかくなった。
(……でも。これで、いいのかしら……また、ユリアナさんが来て、歌ったら…………変わってしまうのかしら)
違うと信じたかった。当時と違い、ユリアナは既婚者だ。トリスタンが仮に恋に落ちたとしても想いは叶わない。しかし、そうなると想像するだけで、ダリアローズには不快に感じられた。
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