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天高く陰謀巡る秋
別意味カオスです
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「下賤の女はいくら金を積むと、いなくなるものか」
下賤の女って……あぁ、私のことですね。仕方ないですか。資金援助を約束してもらう代わりに、私が旦那様に嫁いだことになってますからね。
前回私が離婚を切り出したって、この方たちご存じないんですかね。
別れると、ちょっと寂しいものはありますが、旦那様が喫茶店に時々顔を店に来てくれれば問題ないです。なので、個人的には私が一年暮らせるだけのお金がいいのですが。
一年分というのも、仕事探したりするために必要なのであって、他意はないです。
「ふざけるな!」
いきなり大声出さないでください。ただでさえあなた、御年召してるわけですから、寿命縮みますよ?
「お前がかようにのらりくらりと躱すからからこそ、あの出来損ないが離せぬのではないか!」
誤解です。ってか人の話聞きゃしないな、この老爺。
老爺の頭の中では、出来損ないである旦那様を私が篭絡して、叔父夫婦に資金援助を頼んだことにでもなっているのでしょうか。
それとも、それを口実に叔父夫婦から助けてくれと、頼んだことになっているのでしょうか。
どっちでもいいですよ。見当違いもいいところですから。少し調べれば、分かることなんですがね。だから頭でっかちの、堅物は……失礼。口が悪くなりそうです。
うーん。どうしたらいいものか。
もうすぐ帰らないと晩御飯の支度間に合わなくなっちゃいますね。そうしたら大志さんが私を連れ出したことが、旦那様にばれちゃうのですよ。
「麻帆佳!」
って、旦那様!? あなたまだ勤務時間中ですよね!? なんでここに来たんですか!
「……父……いや、会長と社長には許可をもらってきたから」
息ぐらい整えてから言ってください! それくらい急いできたのかもしれませんが、落ち着いて!
「この出来損ないめが! お前なぞ、厳原の穀潰しだ!!」
なんでいきなり怒鳴るんですかね。怒鳴ったって威厳なんて出てこないのに。こういう人の話は右から左にスルーしたい気分です。今やったらかなりまずいことになりそうですから、やりませんけど。
……前後撤回。スルー上等です。さっきっから同じことしか言ってない。
旦那様が穀潰しで、私は親なしの下賤の女だそうです。聞きあきた。旦那様はお仕事されているわけですから、穀潰しじゃないと思うのですよ。
「厳原内ですら能力も発揮できない愚か者めが。厳原の会社に居れるのは、お前が厳原の直系だからでしかないわ」
自己紹介キターってやつですか? うん。どう見てもこんな怒鳴りっぱなしの老爺よりも、旦那様のほうが能力ありますよ……多分。
「麻帆佳、私は嬉しいけど、声に出てるよ」
「構いませんよ。言おうが言うまいが、怒鳴ってくるだけですから」
それで血管切れたとしても、あの方の自己責任というやつでしょう。聞きたくなければ聞かなきゃいいんです、聞くに堪えない下賤の女ですから。うふふ。
「……腹に据えかねてた?」
「いいえ、全く。似たようなことは叔父の家でも言われてましたし。産まれに貴賤なんて関係ないんですよ。どう育ったかで貴賤が出てくるんです」
これは、私の母が言ってた言葉で、花音のお母さんにも言われました。これで家族との楽しかった記憶も思い出せたいい言葉ですよ。
「その貴賤の分け方は?」
「人それぞれじゃないんですか? 殺人とか収賄とか起こすような人間はどう見ても高貴とは言い難いと思ってますけど」
「儂が下賤の身だというのか!」
また自己紹介乙というやつですかね。というか、殺人とか収賄やったことあるんですか。
「あの人が一線から身を引いたのが、収賄事件だったから」
……あらま。存じ上げませんでしたわ。
とうとう、老爺がブチ切れたらしく、ものに八つ当たりしながら、怒鳴り散らしております。老爺の側近の方々も怯えてますよ。カオスです。
どうでもいいですけど、このカオスどうしましょう。
「三分の一くらいは麻帆佳のせいだよ」
旦那様、他人事のように言わないでください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
龍雅さん、到着早すぎ! 予定と変わっちまったじゃないか!
というわけで、この後プロット練り直しですorz
下賤の女って……あぁ、私のことですね。仕方ないですか。資金援助を約束してもらう代わりに、私が旦那様に嫁いだことになってますからね。
前回私が離婚を切り出したって、この方たちご存じないんですかね。
別れると、ちょっと寂しいものはありますが、旦那様が喫茶店に時々顔を店に来てくれれば問題ないです。なので、個人的には私が一年暮らせるだけのお金がいいのですが。
一年分というのも、仕事探したりするために必要なのであって、他意はないです。
「ふざけるな!」
いきなり大声出さないでください。ただでさえあなた、御年召してるわけですから、寿命縮みますよ?
「お前がかようにのらりくらりと躱すからからこそ、あの出来損ないが離せぬのではないか!」
誤解です。ってか人の話聞きゃしないな、この老爺。
老爺の頭の中では、出来損ないである旦那様を私が篭絡して、叔父夫婦に資金援助を頼んだことにでもなっているのでしょうか。
それとも、それを口実に叔父夫婦から助けてくれと、頼んだことになっているのでしょうか。
どっちでもいいですよ。見当違いもいいところですから。少し調べれば、分かることなんですがね。だから頭でっかちの、堅物は……失礼。口が悪くなりそうです。
うーん。どうしたらいいものか。
もうすぐ帰らないと晩御飯の支度間に合わなくなっちゃいますね。そうしたら大志さんが私を連れ出したことが、旦那様にばれちゃうのですよ。
「麻帆佳!」
って、旦那様!? あなたまだ勤務時間中ですよね!? なんでここに来たんですか!
「……父……いや、会長と社長には許可をもらってきたから」
息ぐらい整えてから言ってください! それくらい急いできたのかもしれませんが、落ち着いて!
「この出来損ないめが! お前なぞ、厳原の穀潰しだ!!」
なんでいきなり怒鳴るんですかね。怒鳴ったって威厳なんて出てこないのに。こういう人の話は右から左にスルーしたい気分です。今やったらかなりまずいことになりそうですから、やりませんけど。
……前後撤回。スルー上等です。さっきっから同じことしか言ってない。
旦那様が穀潰しで、私は親なしの下賤の女だそうです。聞きあきた。旦那様はお仕事されているわけですから、穀潰しじゃないと思うのですよ。
「厳原内ですら能力も発揮できない愚か者めが。厳原の会社に居れるのは、お前が厳原の直系だからでしかないわ」
自己紹介キターってやつですか? うん。どう見てもこんな怒鳴りっぱなしの老爺よりも、旦那様のほうが能力ありますよ……多分。
「麻帆佳、私は嬉しいけど、声に出てるよ」
「構いませんよ。言おうが言うまいが、怒鳴ってくるだけですから」
それで血管切れたとしても、あの方の自己責任というやつでしょう。聞きたくなければ聞かなきゃいいんです、聞くに堪えない下賤の女ですから。うふふ。
「……腹に据えかねてた?」
「いいえ、全く。似たようなことは叔父の家でも言われてましたし。産まれに貴賤なんて関係ないんですよ。どう育ったかで貴賤が出てくるんです」
これは、私の母が言ってた言葉で、花音のお母さんにも言われました。これで家族との楽しかった記憶も思い出せたいい言葉ですよ。
「その貴賤の分け方は?」
「人それぞれじゃないんですか? 殺人とか収賄とか起こすような人間はどう見ても高貴とは言い難いと思ってますけど」
「儂が下賤の身だというのか!」
また自己紹介乙というやつですかね。というか、殺人とか収賄やったことあるんですか。
「あの人が一線から身を引いたのが、収賄事件だったから」
……あらま。存じ上げませんでしたわ。
とうとう、老爺がブチ切れたらしく、ものに八つ当たりしながら、怒鳴り散らしております。老爺の側近の方々も怯えてますよ。カオスです。
どうでもいいですけど、このカオスどうしましょう。
「三分の一くらいは麻帆佳のせいだよ」
旦那様、他人事のように言わないでください。
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龍雅さん、到着早すぎ! 予定と変わっちまったじゃないか!
というわけで、この後プロット練り直しですorz
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