81 / 120
天高く陰謀巡る秋
旦那様への報復は「会わせないこと」だそうです
しおりを挟む「徹夜で仕事するのは、慣れているけどね。一晩説教は堪えた」
一応皆様がお帰りになった後、旦那様がぽつりと。
「徹夜でお仕事なさったこと……」
「麻帆佳と結婚する前は当たり前だったよ」
初耳です。
なんでも、ほぼ休む時はあの仮眠室でとっていたとか。社内に食堂もあるし、海外向けの事業部は二十四時間体制なので、ランドリーとシャワールームもあるのだとか。ランドリーで洗えない服は、それこそクリーニングに出せばいいだけとのこと。
そこまで言うと、旦那様は私を後ろから抱きしめてきました。
「今日はしないから。そんなに緊張しないで」
……今日は? ということは。
「二度とあそこまでしないから」
なんでしょう? その言葉、信用できそうにないです。
「信用されないのは、重々承知だけどね」
私の言葉を読んだかのように、旦那様が呟きました。
この体勢だと、旦那様のお顔が見えないので、どんな顔をなさっているか分からないのですが。
「あそこまで言われて、同じことは出来ないかな。やったら、麻帆佳から引き離されるから」
……そういう問題でしょうか。
「旦那様?」
「なに?」
いつもと違う、呼びかけに不服さのない返答です。
「何を言われたのですか?」
「特には。麻帆佳に無体なことをやったら、ロードリックさんの実家に麻帆佳を隔離するって言われただけ。ロードリックさんの実家は親日家だから、皆さん日本語が流暢だし、言葉も気にならないだろうって」
ロードリックさんのご実家ですか。由緒正しいお家でしたっけ。……うん、無理です。
「ロードリックさんのご両親共々、由緒あるお家だからね。両方とも力が強いし、本当の上流階級に顔が効く。厳原なんてすぐ潰せるくらいの力があるよ。
私はあの家に気に入られていないから、間違いなく門前払いだ。そんなことをしたらやっと手に入れた麻帆佳に二度と会えなくなる。
……もし、麻帆佳との間に子供が産まれていたとしても、認知もさせてもらえない状況になる。その二つは絶対に避けたいから」
私が気に入られる要素が無かったら、どうするんですかね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,298
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる