前世では最強勇者だった俺は転生失敗し最下層ゴブリンへとなったが全能力の引き継ぎに成功したことは黙っておこう。

松村レイ

文字の大きさ
9 / 11
第2章 全知全能のゴブリン

第9話 新生ゴブリン

しおりを挟む

「おい。起きろ、ライオネル。そろそろ朝会が始まるぞ」

「え、あ、あん?」

目をゆっくり開けると心地よい光が差し込んできた。

頭の中は真っ白のまま、重たい腰をゆっくり起こす。

「俺はどうしたんだっけ?」

あたりを見渡すと、木製の部屋の中に何個かのハンモックがかかっており、そのうちの一つに俺は寝ていたようだ。

喉から自分ではないような声を出しながら腕を伸ばした。

まず見えたのは緑色。

「ん?」

緑色?

何かで塗られているような色合いではない。

どうやら脚も緑色。

全身が緑色に変色していた。

若干の焦りと共に近くにあった鏡に急行した。

「何だよ、これ」

俺の顔は鼻筋がピンと伸びており、目はやや吊り目、耳はエルフ族のように上に高く伸びている。

ゴブリン。

その瞬間、すべての記憶が頭の中に入ってきた。

「俺は確か、転生したはず。そうだ、デュイスって奴が俺を転生するって言ってて‥」

まず浮かんだ可能性は「失敗」。

これが一番確率としては高い。

転生先はランダムと言っていた。

ゴブリンになる可能性もゼロではないということか。

次に思いつくのは、「故意」。

故意に俺をゴブリンに転生させた可能性もある。

今の頭の中は戦闘中のような回転を見せていた。

あの時、転生開始とデュイスが唱えた時、背後に確かに、別の誰かがいた。

そいつが黒幕だったとしたら?

兎にも角にもこのままゴブリンとして生活するということに未来を想像できなかった。

「ライオネル!」

俺の名前?

ここでも俺は前世と同じ名前なのか?

「あぁ、今行く」

声の主は木製の部屋の外からした。

部屋から出ると、外には別のゴブリンがいた。

腰には短剣を備えており、あとは普通のゴブリンと変わらない。

戦闘力も普通かやや下。

「どうした?ライオネル?なんか顔色が悪いぞ。まぁいいい。さっさと朝会に行くぞ」

「お、お前は?」

平然を装うような余力は今残っていなかった。

「お前は?って。だけど‥頭でも打ったか?」

「アル‥それがお前の名前か‥」

「本当にどうしたんだ、とにかく下に行くぞ」

手を引かれて釣られるままに朝会?に向かった。

頭の中は色々な感情、考えが渦を巻き、考えれば考えるほど訳がわからない。

そうこうしている内にゴブリンがたくさん集まる広場のような場所についた。

「俺たちFはここだ」

F?」

「今更それを聞くか?俺たちゴブリンはSからFまで戦闘力順で分けられている。S級戦士はゴブリンキングの親衛隊のような重役も任せられる。俺たちには生涯関係のないことだがね」

「F級か。って一番下じゃないか!」

周りを見渡すと確かに戦闘力が極端に低い。

「おい、ライオネル。静かにしとけ。戦士長が来たぞ。絡まれたら面倒だ」

後ろから禍々しいオーラを感じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...