26 / 197
ぼーいみーつがーる
しおりを挟むしまった・・!
貴族を殴ってしまった。
「そいつをひっとらえろー!!」
時は数分前にさかのぼる。
俺はある貴族に代々奉公する家計に生まれていた。
だから、この首都に着て大きなお屋敷で住み込みで働いていたのである。
そしてある日、そうこの日、お使いを頼まれて市場に来ていたのである。
その帰りにそれを目撃してしまった。
「ほら!こっちにこい!!」
「いやっ・・!!」
首輪をつけた耳の長い種族。話にしか聞いたことが無かったが、あれはエルフという種族らしい。それが見すぼらしい服を着て首輪を丸々と太ったデブに引っ張られていたのである。
あのデブが来ている服はだれがどう見ても一級品であり貴族にしかつけることが許されないものだった。
「こんなところで何を・・・?」
そこは人通りの多い大通りから少し離れた薄暗い路地である。だがそこは大通りとは違い、全くと言っていいほど人通りが少ない。たまにホームレスが寝転がっているだけだ。
そこにデブとその従者数名、そしてエルフの娘が何やら言い争いをしていたのである。
「こら!!いう通りにしないか!!」
「・・いや、いい。」
「しかし、親方さま」
「こうしよう。無理やり服を脱がす方がそそるとは思わないか」
「・・・わかりました」
にやりと従者たちは邪悪な笑みを浮かべる。そして無理やりエルフ娘の服を脱がそうとしたのだ。
「いやっ!やめてっ!!」
「ぐへへ、いくら泣いても奴らが助けるわけないだろう?人通りが少ない上に、わしは貴族。
貴族に逆らうものは全員死刑なのだからな!!がーっはっはっは!!」
「っ・・!!」
自然に体が動いていた。
昔からかけっこには自信があったのである。
風のように突進し、その勢いを利用して・・
「ん?」
振り向いたときには遅かった。そのまま俺は拳を振りぬいてその顔を叩きのめしたのである。
「がっ・・・!!!」
「なんだ貴様!!?」
突然の事態にようやく気が付いたみたいだった。体つきから従者は相当鍛えているのだろう。
しかし数コンマの動揺を利用して、俺は女の子の手を取るとひったくりのように乱暴に引っ張ってその場から逃走する。
「キャッ!!」
「おいマテ!!
一瞬遅れて従者たちが物凄い形相で追いかけてくる。お姫様抱っこをして大通りに出ると人ごみに紛れて無我夢中で走った。
「どうやら巻いたみたいだ」
「あの・・っ」
「ん?」
お姫様抱っこしていた奴隷が顔を真っ赤にしていた。
「大丈夫ですから、おろしてください」
「あ、ああ・・」
改めて見てみるとその奴隷はとてもかわいかった。
「あの、、ありがとうございました・・」
「え?ああ、うん、いいよ」
彼女は目を逸らしつつ顔を真っ赤にしていた。もしかして僕に気があるのかな・・?と期待したりもしたが、しかし、早まってはいけない。俺には幼馴染の反応を早まってしまい、逆にびんたされたこともあるのだ。
その経験が功を奏したのかわからないが、彼女は目を潤ませていった。
「あの、、でも、、大丈夫なんですか? あのデブ・・いえご主人様はこの町でもかなりの大金持ちです。
奴を敵に回したらどうなることか・・やっぱり私・・戻ったほうが・・でも、あんなデブの相手をするなんて・・ぐすっ」
「いや、そのことだけど・・」
そう、これは僕の問題だ。仮に彼女が責任をかぶる必要なんてない。
「実は、僕は今まで、何のために生きてきたのかわからない節があったんだけど、でも、今分かった。君を助けることが僕の生きる道、、いや違うな。君を助けることによって自身がつけられたのなら、今やっている仕事を首になってもいいって、思うんだ」
「え・・でも、私のせいで・・」
「いや、だから違うんだ 君を出しにして自分をヒーローみたいな、おとぎ話の英雄みたいに生きてみたいんだ。
だから、君はただ助けられるだけでいい。」
「それって・・おとぎ話のお姫様みたいに?」
そういって彼女はくすりと笑った。
その表情に一瞬心を奪われる。
「ふふ、面白い。でも、一つだけ勘違いしていることがあるわよ」
「え?それって」
「あなたはおとぎ話の英雄なんかじゃない。本物の私にとってのヒーローなんだからね。私のナイト様」
そう言って手を取ったのだ。
「さあ、行きましょう!!私をエスコートして!!」
「え、ああ、うん。イクゾッ!!」
こうして僕たちの冒険が始まったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる