プリズム・オムニバス=オムニバス ドシリアスからギャグまで色々な世界を覗けます

木森林木林

文字の大きさ
28 / 197

100%

しおりを挟む
滅びを恐れるあまりに・・


「ああ・・・!!」

 人類大統領はうめいた。

 その役職は、その名の通り、全ての人類の国にたいして権限を持つ大統領だ。

 すなわち、絶対王政に近い役職であり、それが全世界において権限が及ぶのである。

 そう言った政治システムは、トップが無能か、もしくは狂うことで災害と呼ぶに等しい被害を生むのが、歴史上明らかになっているが、しかしそれが可能となった技術ができたのである。

 そう、それは完全な精神チェックだ。

 長年のカウンセラーの経験、そしてAIの分析によって、その者がどういう人物なのかを完全に知ることができるシステムだった。

 これを人類大統領は常に受けている。皮膚に埋め込んだ極小のチップが彼の精神を読み取り、各国、そして住民全員に知れ渡っているのである。

 これにより、人類大統領はだれにとってもくるっているかどうか、正常かどうかが一目瞭然なのだ。

 むろん狂って政策を行うことは許されてはいない。もし精神的に異常を来した場合、解任され、すぐに次の候補が繰り上がることになる。

 かつ、精神状態だけでなく、性格、つまり、不正をしない真面目な人か、優しくて博愛精神のあるものか?と言ったことも徹底的に分析されるのだ。その甲斐あって、歴代の人類大統領は常に正しいものがその席を座っていったのである。

 こういった万全のチェック体制によって人類大統領は成り立っていた。

 ところで、技術的には可能なこの政治システム。なぜ作られたのかと言った経緯に疑問を覚えたかもしれない。

 そんな莫大な権力を一つに集めるというのは、危険極まりない行為だ。もし、絶対あり得ないことではなるが、システムに不備があった場合莫大な損失を被るのである。それはあまりにも恐怖を感じることではないか。

 そう、このシステムが必要とされる自体が起きたのだ。

 それは世界の危機。

 数十年前、地球に悪い宇宙人がやってきて侵略を行ったのである。そのため迅速な判断を求めるために、人類大統領は生まれたのだ。

 むろんこうして彼らが生き延びていることからわかるように、無事その侵略者を撃退することに成功したのだが、今後こういった事態に対処するためにシステム自体は残すことになったのである。

 その判断は、まさしく正解だった。人類大統領は、外的な問題に対処するだけでなく、世界のあらゆる不合理を正すためにその権力を行使し、不平等、富の偏り、犯罪組織の粛清など、あらゆる問題が解決に導いてきたのだ。

 そして、、もはや問題は残されていない。そう誰もが実感するときに彼は人類大統領に選出されたのである。

 彼は、むろん優しくて、問題を犯すような人物ではない。だが、臆病だった。そして、こう考えた。

(今後、人類が何らかの拍子で滅びるかもしれない)と、

 そう、かもしれない。

 悪魔の証明という言葉を知っているだろうか。

 不可能であるということは、完全には照明しきれないのである。

 ならば、何らかの拍子で、滅びるかもしれない。些細なことが原因で。なんの対策もできずに。

 それを阻止するために彼は全力を尽くした。あらゆる事態に警戒し、さらに素の科学力を発展させてあらゆる突拍子のない異変に自動的に解決できるようにした。

 だが、、いくらやっても、100%にはならないのだ。彼は頭脳明晰ゆえにそれが分かっていた。

「ああ・・・だめだ・・・こんなんじゃ・・だめだ・・もっと・・もっと100%を・・・」

 そして、閃く。

「・・そうか。こうすればいいんだ」

 そして、彼はその数年後、世界を滅ぼすことになる。

 人類を代替したAIを作り出し、サーバーを無限に作るユニットを量産して宇宙にばらまいたのだ。

 そうすることで、世界は絶対的に平穏を保てると考えたのである。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...