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ばなな
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今日はバナナ園に来ていた。
「わー、良いバナナ。」
「これ本当に食べ放題なんですか?」
「ああ、そうだよぉ」
農家の人たちが人懐っこい表情をしてそう答えた。
そして、シリアスな顔で僕は告げる。
「この子たち、そして社員、あるいは親戚一同でもですか?」
そう、このバナナ園には、たくさんの人たちが集まっている。
ニコっと農家の人は、おっしゃられた。
「ああ、そうだよぉ、その人数分の料金を払えばね」
「いくら食べても、出るまで、固定料金なんですね・・?」
「その通り」
そう、このバナナ園は、一回5000円程度。
そして、僕らはこれから一か月間くらい、ここで泊まり込み、バナナを食べつくさんとばかりに粘るつもりなのである。
「(くくく・・!!勝ったな・・!!このくらい食べれば元は取ったも同然!!)」
何もよごれを知らぬような農家の人は、笑っていたが、今にして思えば、それは嘲笑の笑みだったのだ。
バナナ開始から三日後・・
「もう食べられないよぉ・・」
「バナナ以外の者が食べたいよぉ・・」
「なっ・・・!!皆!!どうしたんだ?!ほらバナナだよ!!?」
「バナナなんて食えるか!!もう俺は出るぞ!!」
「私も!!」
「な・・!そんなことをすれば大赤字だ・・!!」
勝利を確信していた僕が裏切られるような感覚だった。そう、バナナは栄養が豊富であり、糖分吸収性に優れている。だが、それが災いしたのだ。
そう・・『人はバナナばっかり食べられないのである』
「くそ・・!!失念していた・・!!完全に計算外だった・・!!!」
「ふふふ、お客さん、残念でしたねぇ」
「お前は・・!!農家の人!1」
「そう、このバナナ園は、通称胃袋満たしの園と呼ばれているんだよ・・相手が悪かったねぇ」
「ぐぬぬ・・」
こうして、バナナを食べるつもりが、バナナに食べられてしまったのである。
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