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偽物の世界
しおりを挟む「とぁー!!」
俺は、英雄の聖剣を魔王に突き出した。
「ぐぁ!」
魔王は断末魔を上げる。
「見事、勇者よ・・」
そして魔王は、どろどろの液体になり、消滅した・・
そして・・、
「ありがとう!!勇者!!ありがとう!!」
凱旋。魔王の大陸から戻ってきた俺たちは、装飾された馬車に乗って周囲に愛想を振りまいていく。
だが、何か、おかしい。
この度が始まってから感じ続けてきた違和感。
「・・・どうしたの?勇者?」
ヒロイン的ポジションの魔術師が尋ねる。
「いや・・なんていうかさ・・この戦い、何か違和感があるっていうか・・」
「え?」
「なんていうかな・・俺の旅なのに、夢や妄想ではないのに、何故か俺のものじゃない・・そう感じるんだ」
「気のせいだって!!」
「・・そうかもしれない」
勇者たちは違和感に気が付いていた。
だが、種明かしすれば、その物語は、他の世界の物語とほぼ同じものだったのである。
その世界とは、神(作者)が作り出した物語である。
それを他の神が読み、互いに評価しあい、時に援助、強力などをしているのが、この小世界を包み込む大世界の理だった。
そして、とある物語があった。
その物語が好きなとある神は、しかしある日、怒りに燃えたのである。
彼はその作者にコメントした。
「なぜヒロインがあの子じゃないんだ!!」
そう、読者の神が気に入っていた、序盤のメインヒロインは、終盤で負けヒロインになるのである。
それは、仕方がないことだった。詳しい話は置いておくが、それは物語において、なくてはならない要素だったのだ。
当然そのコメントはなかったことにされた。
だが、読者は気に入らなかった。
どうしたかというと、新しくコピペして世界を作り出したのである。
そしてヒロインについてだけ、自分の気に入るように改変したのだ。
これが、キャラクターが違和感を感じた原因。
自分の物語が、自分の物語でないように感じた原因だ。
それも当然だろう。改変したことによって生じるあらゆる矛盾を無意識に感じ取っており、加え、自作せずコピペすることで、神の世界に対する認識の薄さも感じ取っていた。
神の世界とは、いうなれば一つの魔法のようなもの。コピペして使うこともできるはできるが、オリジナルほどの力はないのである。
そう、それはまさしく偽物の世界。
だが、その世界が偽物かそうでないか。そんなことはどうでもいいのだ。
誰しもが自己満足にすぎないのだから。
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