プリズム・オムニバス＝オムニバス ドシリアスからギャグまで色々な世界を覗けます

ガキの心

　俺はサラリーマン。

　毎日会社に通い、満員電車に乗り、上司や顧客にへつらい、毎日を過ごしている。

　それは、とても充実した日々、、そう俺は自分に言い聞かせていた。

　だが、ある日のこと、それは起こったのだ。

「今日のニュースです。
　政府が、服を着たものは罰金という法律を作りました」

「な、何？！」

　信じられないことだったが、本当だった。

　警官たちが次々と服を着たものたちを取り押さえていく。

　引きこもるか、それとも裸で過ごすか。そう言った悩みができたが、良き次ぐ暇もなく次々と信じられない法律ができた。

　うんこしたら罰金。呼吸したら罰金。ご飯を食べたら罰金パンを食べたら罰金。

　頭がおかしいが、しかしのちにそれは能力者の仕業だということだった。

　その能力者は、大人を子供にする能力でテロリズムを仕掛けた。

　犯人は逮捕されたが、しかし大人に対する不信感が世の中に流れた。

　被害者なのに理不尽な気もするが、そういうところもある。幻視発電所が爆発した時も、何も悪くないのにその県からとれた野菜が売れなくなった、というニュースがあった。

　犯人は、こういっていた。『俺の能力は、大人を子供にするわけじゃない。大人の仮面をはがすだけだ』

「大人の仮面、か」

　言いたいことが、分かるような気がしないでもない。人は大人になることはできない。

　常に子供。大人の振りをしているだけだ。

　老人は子供に戻ると言われているが、そうじゃない。

　大人の振りができないほど劣化しただけなのだ。常に人は子供なのだ。

　本当は、俺は、毎日の暮らしに吐き気がしていたんだ。俺は、正直者だったらしい。

　俺は、『大人』になれなかった。