プリズム・オムニバス＝オムニバス ドシリアスからギャグまで色々な世界を覗けます

恐怖作品が好きなのは・・

　私は、負の感情が好きであり、同時に嫌いでもある。

　行っている意味が分からないかもしれないが、つまりはこういうことだ。

　初めてそれに気が付いたのは、ふと知り合いにテレビを見ているときにこういわれたからだ。

「君って、お人よしな割には、ホラーとか、悲劇ものとか好きだよね」

「！」

　そうなのだ。私は、現実では、色々な人の喧嘩を調停したり、中を取り持ったりと言ったことをすることが多い。

　困っている人が居れば一番に駆け寄るし、皆がやりたがらない仕事なども積極的にやっている。

　なのに、何故か作品においては、不幸な物語をよく見るのだ。

　ホラーもの。、災害もの、恐怖、悲しみなど。

　逆に明るい作品などは何故か合わない。

　なぜだろうか？自分でも気が付かなかったが、現実と趣味がまるで逆だ。

　普通は、私のような人は、ハッピーエンドや、あるいは希望を持てる作品、明るい作品が好きなのではないだろうか？

　私もそう思っていたが、どうやら違うらしい。

　無論、隠された欲求とか、サイコパスの気があるのか、一時期心配になったが、やはりそういうわけではない。

　分からず日々が過ぎていく。

　

　そして、その疑問が解消されたのは、あるニュースを聞いてからだった。

「●サが発表したところによると、数年後、地球に隕石が墜落するようです。助かる確率は●パーセント。ほぼ絶望的と言ってもいいでしょう。調べによると・・」

　それから、徐々に日常は崩れていった。

　暴徒化する人々。混乱するシステム。

　よくある悲壮的な物語のような雰囲気。いつも見ている物語の中に入っているようだった。


　ああ、そうだ。ようやく気が付いた。

　私は、現実の悲劇を、物語の中に閉じ込めたかったのだ。