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木森林木林

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最弱ゆえに

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「おらぁん!!」

「はぁ、、」

 俺が、この役についてからというものの、やけにこういった輩に絡まれることが多くなった。


 そう、相手はやくざだ。

 何やら物騒なものを持っている。あとが無くなっていたのか、金銭を要求してきたのだ。

 かなりの体格、そして傷を持っており、目は完全に行ってしまっている。人ひとり殺してもなんとも思わなそうだ。

 対して僕はひ弱な体格だ。自慢じゃないが、一度も喧嘩に勝ったことがないどころか、ゲームさえ一度も勝ったことがない。しかもいじめられている。

 いや、いじめられていた。というほうが正確か。

 もし、僕がこの役についていなければ、ここで死んでいただろう。運がよかった。

 だが、、、対して相手は本当に運が悪かった。

 僕はショートカットでパネルを開き、スキルを起動する。

「(じゃ、転送っと)

 瞬時に目の前のやくざが消えた。

 後方で待機している舎弟はきょろきょろしている。そう、目の前のやくざの記憶が消えたのだから、認識に齟齬が出ているのだろう。

 こいつも何やらやばいふんいきを持っているので転送しておいた。

 可哀そうとも思わない。こいつらがいると弱い奴が損をするというものもあるが、しかし相手にとってしてみれば、世界は何ら変わりなく見えるだろう。

 だが、そこは並行世界。

 そこには彼らみたいな悪人が天使によって転送されて、日夜共食いを繰り広げているのだ。

 天使。そうそれが僕に与えられた役だ。

 天使は、人を天国や地獄にいざなうものとされているが、しかし人手不足らしく、自分にその役が回ってきたのだ。

 その天使とは、強そうな奴に務まることはない。なぜならば強そうな奴に喧嘩を売ろうとするやつはいないからだ。

 僕みたいな弱そうな奴に悪人はおびき寄せられる。いわば蒔絵という奴か。

 しかしまあ、少し困ったことと言えば、クラスメイトのいじめっこたちだ。

 害悪な彼らを軒並み地獄へ送ってあげたのはいいが、数日で他の奴がいじめてきたのは驚いたよ。

 潜在的ないじめっ子という奴だろうか。きっとそいつらは、僕をいじめている彼らを傍観することによってストレスを解消していたのだろう。

 しかし根気よく転送を続けていって、最近になってその頻度が落ちてきた気がする。

 それは、世界が浄化されていると能力を通じて僕は感じていた。

 それは悪い気分じゃない。むしろ髪をきったかのようなすがすがしい気分だ。

 だからこそ、天使というこの役も嫌いじゃない。

(よし、世界浄化、がんばるぞ!!)
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