165 / 197
ショ●カー
しおりを挟む昔みたヒーロー特撮に、よくいる雑魚的というのがいる。
それはヒーローによっては、なんら雑魚であり、倒されるのが当たり前の存在。
かっこ悪いし、第一路傍の石のような存在であり、誰も気にしない存在。俺もかつてはそう思っていた。
だが、そんな悪の組織の雑魚的に、、
自分がなるとは思っていなかった。
パワーがみなぎる。
今なら自分の身長分くらいは跳躍できそうだし、自動車くらいなら持ち運べそうな気がする。
試しに地面を殴ってみると、痛くないどころか軽くヒビが入ったほどだ。
「すげぇ・・」
俺は何か模様が入った手を見つめる。
意識を抜くと、その体の模様が戻っていき、もとの肌色に戻っていった。
そう、それは数日前にさかのぼる 。
その時、俺は屋上にいた。
なんら変哲もないデパートの屋上。そこで俺は空を見上げていた。
「ああ・・」
空はこんなに青いのに・・なんでこんなに死にたくなるんだろうか・・
いや、原因は分かっている。
今朝のことだ。
俺は部長から肩をポンと叩かれた。よくあるリストラの比喩として扱われがちなこの動作ではあるが、それが直球であると誰が分かるだろうか。
「キミ、明日から来なくていいよ
「は?
原因は、、あれしかない。
俺は、プロジェクトで任された同期を知っている。
彼は、上司にこびへつらうのがとてもうまかった。
ミスを連発するし、少し気に障るところもあるが、それでもまあ仕事だからと割り切っていた。
だが、、そいつが盛大なミスをやらかしたのである。
それは、一億円規模の損失が出るほどのものだった。
俺は振り向いてそいつを見た。
そいつは「ごめーん★」という風に手を縦にしている。
「・・・っ!」
一瞬切れかけた。
ずんずんと歩いていき、拳を振り上げた・・が。
「・・・わかりました」
俺は殴ることはできなかった。
そして今俺はここに居る。
「・・はぁ、、なんかもう、何もしたくないな」
いっそのこと飛び降りてしまおうか。
そんな気持ちが
「できるかもしれない」
恐怖というよりも、今の人生をやめたいという気持ちが勝っていった。
なるほど・・自殺者というのはこういう気持ちだったのかもしれない。
だが、、それを実行する前に、背後から声がかかった。
「キミ、死ぬつもりかい?
「・・・まあ、そうですけど
その言葉は咎めるというよりも、ただ単に尋ねているだけのようだった。
振り向くとそこには、背広を着た初老の男性。
目元からかなりのカリスマオーラを醸し出している。
それは、全身からただよう、良い人オーラのようなものだろうか。
あったばかりだというのに、この人の元なら一生働ける。そう言った確信を抱かせるかのようだった。
だからだろうか。
「よかったら、わけを聞かせてもらえればうれしい
「・・わかりました
俺はこの人に今の境遇を全て話してしまった。
普通ならあり得ないことだ。俺が他人に自分のことをぺらぺらとしゃべるだなんて。
だが、、相手の人柄と、そして、今の絶望的心理状況から、いつもと違うことをしてしまったのだろう。
全て話し終わった後、相手はこう切り出してきた。
「そうか・・私でよかったら力になれるかもしれない。
私の名刺を渡しておくから、その気になったら電話してくれないか?
「・・え?
その名刺には、こう書かれていた。
「悪の組織ダークファンタジア社長 黒斑黒夫」
「悪の組織・・??
社長というのは、とても納得できる。それほどのカリスマだった。
だが、しかし悪とはいったい・・?
だが、何故か操られるように、俺はそれから数時間も経たずに電話してしまった。
待ち合わせ場所は、都内の巨大なビル。
そこはライトファンタジアという物流会社の持ち物らしいが、、名刺を見せたら何故か地下へと案内された。
そして、、色々とこの世界の裏の顔を説明されたのだ。
「さて、あなたにこれからわが社の機密情報をレクチャーしますが、、これを聞いた後、怪人化を拒否しますと機密的にアウトなので、記憶処理を施すことを義務つけられていますが、大丈夫でしょうか?
怪物化・・?いや、それよりも僕が気になったのはその後の言葉だ。
「記憶処理・・?
疑問符を提示すると、説明係はにっこりと笑って言う。
「つまり、ここでの記憶は全て忘れてしまうというものです。
「え・・?そんなことってできるのか・・?
「はい。専用の器具を使っていただきます。人体にはノーダメージなのでご安心ください」
数秒考えて、僕は首肯した。
人体に無害というのが少し不安だが、、ここまで着て引き下がれるなんて、おそらく後悔するだろう。
「わかりました。ではわが社の目的を申し上げますと、、世界征服です。
「世界征服・・?!
「はい。そしてそれを阻止しようとするのが、ヒーロー組織です。悪の組織とヒーロー組織は古くから戦いを続けており、、」
それは荒唐無稽な話ではあったが、つまりはまとめると以下のようだ。
この世界のシステムを根本から覆そうとする革新派閥、つまり悪の組織と、現状維持の保守派のヒーロー組織があり、魔術とか魔法、あるいはそれと科学を組み合わせた超科学によって日夜争っていたという。
そして、それら両者の戦いは、より合理的、システマティックになっていき、一般人からそのメンバーを募集することになったのだ。
それが、超人化、、悪の組織ならば怪人化、ヒーロー組織ならばヒーロー化と呼んでいるようだが、つまり質だけではなく量も必要な局面になったということだった。
そして、もし怪人として改造され悪の組織に所属することに同意すると、月に一回程度、戦いに参加することとなる。
それは命の奪い合いではあり、もちろん死亡することもあるのだが、俺にとってはメリットの方がでかいように思えた。
何しろどうせ死んだ身だ。それに給料はサラリーマンだったころの倍はある。毎日何もしていない時間のほうが多いというのにだ。
普通ならば、そのメリットよりも安全を取っただろう。しかしもう俺はこの道を行くしかないように思えた。
「なります!怪人に!」
「わかりました。ではこの書類にサインを・・
そして、、怪人になるための手術も終わり、俺は初めて外で力を使った。
「すごい・・!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる