転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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11章

腐呪の森【1】

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 昨夜私はウェヌスを呼んで、以前風の子達が調べていてくれた詳細を聞いておいた。
 この森に出てくる魔物も異臭を放っていたらしい……
 クラオルとグレウスは今回影の中に入らなきゃダメかもしれない。



 私達はあのダンジョンと同じくマスクとゴーグルを装着して森に入る。
 私達が泊まっていた森の入り口はそうでもなかったけど、進むとこの森の異様さがすぐにわかった。
 森の木々や雑草すらも溶けて爛れ、。それなのに枯れてはいない。地面はぬかるみほどじゃないけど、腐葉土のような葉っぱで埋め尽くされていてふかふか。

『うぅ……くさいわ……』
《ホントね……風の子達が逃げ出した理由がわかったわ……》
「影に入ってる?」
『まだ耐えられるわ!』

 クラオルとグレウスはギリギリまで頑張るつもりらしい。無理はして欲しくないのに……
 私は使えるものがないかを鑑定かけまくっているけど、中々見つからない。

「うーん……」

 浄化の結界を張り続けている私は魔力消費が激しいため、チートなリンゴを齧る。

「お前さん……このにおいの中よく食えるな……」
「へ? あ、うん。まだ平気」
「だぁー! オレっちもう無理ー! 吐くー!」

 ジュードさんは叫ぶように宣言した後、木陰に向かって走っていった。
 モルトさんも触発されたのか、ジュードさんに続いて木陰へ。

「俺もこれ以上はキツいな……なんでコルトは平気そうなんだよ?」
「……鼻で息してない」
「それにしてもだろ……」

 ガルドさんとコルトさんがくち呼吸の話しをしていると、顔色の悪いジュードさんとモルトさんが戻ってきた。

「吐いたら余計に気持ち悪くなっちゃったよー……」
「一回戻ろうか?」
《賛成ー!》

 ジュードさん達を休ませるにも、ここはやめておいた方がよさそう。
 私が言うと、プルトンが食い気味に同意した。

 森の入り口まで引き返し、馬車を出す。
 スッキリするかな? と魔女おばあちゃんの二日酔いのお茶を飲ませると、少し顔色がよくなった。
 そのまま二人にはベッドで休んでもらう。
 今度はガルドさんとプルトンも待機組。プルトンは大丈夫だったんだけど、ガルドさん達との連絡のために残ってもらうことになった。

 コルトさんは大丈夫そうなので、私達と一緒に再出発。
 先程の場所を越えて一時間もすると、クラオルとグレウスがダウン。二人は嫌々ながらもにおいには勝てないと影に入った。

「セナ様、もうお昼の時間をすぎていますが、どうなさいますか?」
「そうだね。休憩しようか? 食べられる?」

 聞いてみると、三人共食欲は変わらないらしい。なんとも心強い。
 少し開けた場所にビニールシートを敷いて、結界石内に浄化をかける。
 三人はガッツリと親子丼。エルミスとアルヴィンの精霊二人は魔力水。ポラルはジャムパン。私はチートなリンゴを食べていたからおなかは減っていないため、お味噌汁だけにしておいた。

〈見つかりそうか?〉
「まだわかんないんだよね。北の国かもしれないって話だったから……付き合わせちゃってごめんね?」
「……ううん。大丈夫。新しい料理楽しみ。一緒に探したかったって……ジュードさん悔しがってた……見つけたら自慢する」

 コルトさんは優しく微笑んでくれた。
(くっ! みんな優しい!)
 付き合ってくれてるみんなのためにもこの森で発見したい。

 リバースしないように長めに休憩をしてから、再び森の中を進む。
 三十分ほど進むと、嗅いだことのある香りがしてきた。

〈なんだこの腐った卵のようなにおいは……〉
「これ、硫黄じゃない!?」
〈イオウ? こんなにおいで食べられるのか?〉
「食べ物じゃないよ! 温泉!」
〈オンセン?〉

 温泉の説明をしながら、匂いを辿っていくと……現れたのは温泉ではなく、木々の間に所狭しと咲く花だった。

「花?」
「セナ様がおっしゃっていた湧き水ではありませんね……違う物なんでしょうか?」
「んん? ああああ! そっか! これ、湯の花だ! うわ~。なるほどねぇ!」

 鑑定して一人で納得。
 まさか日本だと温泉の結晶である湯の花が、本当にとして存在してるなんて思わないじゃん?
 鷹の爪みたいに名前のまんまってことらしい。

〈どういうことだ? 説明しろ〉
「あのね、私が説明した温泉の成分の花なんだよ。これを一輪湯船に浮かべるだけで、私が言ってた温泉になるの」
「この花を入れると疲れが取れやすくなる……ということですか?」
「そうそう! 匂いはこのままだけど、体は温まるし、他にもいろいろ効能があるんだよ」

 グレンは匂いがこのままだと聞いて、渋い顔をした。
 確か、草津温泉とかだと皮膚病とか婦人病とかに効いたと思うんだけど……旅行で一回行っただけだから自信がない。
 鑑定では〝成分が溶けて温泉になる〟としか書かれていないから、溶かしたお湯を鑑定したら効能がわかるかもしれない。

「これ、いっぱい採取しよう!」
〈むむ……わかった……〉

 グレンは渋面のまま、ジルとコルトさんはいつも通りに採取を手伝ってくれる。
 辺り一帯の湯の花を全て回収すると、硫黄の匂いは薄まった。

〈セナ! われの手がくさくなったぞ!〉

 素手で採取していたから匂いが移ったらしい。
 グレンが大げさに報告してきたので、手に【クリーン】と【浄化】をかけてあげる。ジルとコルトさんにもかけてあげると、安心したようにお礼を言われた。二人も硫黄の香りは嫌だったみたい。
 そのうち、温泉のよさをわかってもらえたら嬉しいな!


 湯の花の採取を終え、私達は森を進み始める。するとまた湯の花の群生地が。
 これも全て採取して、今日の探索は終了。
 結界石を設置した中にコテージへのドアを出して、私達は中に入った。
 コテージでクラオルとグレウスを呼び、留守番をしてくれているプルトンに今夜は泊まることを伝える。
 ジュードさんとモルトさんは復活したらしいけど、馬車から降りてはいないみたい。《ジュードが「食べ物あるのかなー?」ってしつこいわ!》とプルトンが笑っていた。
 今のところ食べ物は見つかっていないけど、入浴剤を見つけたことを報告しておく。

 早速湯の花を使おうかと思ったんだけど、無限収納インベントリから出した瞬間、クラオルから悲鳴が上がって止めておいた。残念……
 普通のお風呂に入り、夜ご飯を食べ、甘えてくるクラオルとグレウスと一緒にベッドに入る。
 お仕事が大変だと中々会えなくなったパパ達の差し入れに、湯の花はいいかもしれない……なんてことを考えつつ、クラオル達を撫でていると、いつの間にか眠ってしまった。
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