転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
305 / 533
11章

馬ライダー

しおりを挟む


 声をかけることもはばかられ、そのまま見守っていると、馬達が発光し始めた。

「え!?」
「何だ?」
〈ほう。面白い〉

 光が収まった馬は先ほどまでとは様子が違っていた。
 一番大きい馬は首や足にウロコが生え、背中には大きな翼……というよりもグレンみたいな羽。他の馬達も羽はないものの、光をキラリと反射するウロコが目立っている。

〈怒りで進化したか。珍しいものを見たな〉
「えぇ!?」
『ブルルル』
「へ?」

 一番大きな馬が私に向かって一度頭を下げると、他の五頭もそれに倣った。

〈助かった。不思議な人の子よ。感謝する。だそうだぞ〉

 今回はグレンが通訳してくれるらしい。

「えっと……どういたしまして。全員助けられなくてごめんなさい……」
〈ん? 相談って何だ?〉
「相談?」
〈子供を埋葬して欲しい?〉
「それはもちろん。ここでいいの?」
〈安心して眠れるところ……って、何故セナがそこまでしなきゃならん〉
「安心……」

 グレンは通訳というよりもオウム返しに聞き返している。
 安心っていうと、守られているところだよね? そうなると……キヒターの教会かグーさんの森くらいしか思い付かないんだけど……

〈見返りは? 助けただけで充分だろう〉

 え!? まさかの交渉ですか??
 私は馬の言葉はわからないから、通訳してくれるのを待つしかない。

〈ふむ。なるほどな……〉
「はい? グレンさん、通訳お願い」
〈クラオル、グレウス……いや、全員ちょっと来い。アルヴィンもだ〉

 ネラース達やアルヴィンまで呼んで、グレン達と馬達で話し合いを始めてしまった。

「えぇ……」
「お前も苦労するな……」

 困惑する私をガルドさんが苦笑いしながら慰めてくれた。

 放置されること一時間、暇すぎてガルドさん達とお茶を飲んでいた私を見て、グレンが〈ズルいではないか!〉と声を上げた。

「グレンが私のこと放置したんじゃん」
〈むっ……おい、ガルド〉
「ここで俺に振るなよ……」
「セナっちは放ったらかしにされたから拗ねてるんだよー」
『主様ったらご機嫌直して』
あるじっ、あるじっ』

 走って私の肩に登ってきたクラオルとグレウスがスリスリしてくれるのが可愛い。ポラルまでいつの間にかいつものポジションであるおなかにグリグリと頭を押し付けている。
 くそぅ。絆されてしまう!

「んもう、この可愛さは罪だよ……それで、よくわからないけど、どうなったの?」
〈こやつらがガルド達と契約することになった〉
「ブフォッ! ゴホッゴホッ」

 グレンから名前を呼ばれたガルドさんは飲んでいたお茶を盛大に吹き出した。
 そんなガルドさんに「汚いー」とタオルを投げるジュードさん。コルトさんが無言で背中を撫でてあげている。

「ゴホッ、ゴホゴホッ……ちょ、ちょっと待て。俺達? セナじゃなくてか?」
〈前に足が欲しいと言ってただろ?〉
「そりゃ言ってたが……」
〈こやつらは龍走馬ドラゴンライダーホースだからな。使えるぞ〉
「いや、そうじゃなくてな……」
〈何だ? 不満なのか?〉

 グレンが不満発言をすると、馬達がショボンと目を伏せてしまった。
 それを見たガルドさんは「いや、そうじゃねぇ! そうじゃねぇんだよ!」と大慌て。

「あーあーあー、ん゛ー…………契約してくれるのか?」
『ヒヒン!』
〈関係ない顔をしているが、ジュードとモルトとコルトもだからな〉
「えぇー!? オレっち達も!?」

 三人は驚愕に目を見開いた。

〈ガルドと言っただろ〉
「えぇ!? ホントにー? いいのー??」
『ヒン!』

 ガルドさん達それぞれに馬が寄っていき、鼻を擦り寄せた。

『主様とジルベルトもよ』
「へ!? 私とジルも?」
「僕もですか!?」
「私はいいんだけど、みんなは納得してるの? 大丈夫??」
『ふふっ。拗ねているのはニヴェスだけよ。馬車を引く役目が取られちゃうって』

 ちょっと元気のないニヴェスを呼んでモフモフさせてもらう。

「可愛いなぁ、もう。いつもニヴェスには助けてもらってるんだよ。もちろんネラース、アクラン、ルフスにもね」
『ご主人様の役に立てなくまりますン』
「そんなことないよ。いつも狩りに行くとき、さり気なくハーブとか薬草とかも採取してくれてたのニヴェスでしょ? 私は大助かりだよ」
『本当ですン?』
「本当だよ。大好きなんだから」

 ニヴェスは瞳をウルウルとさせてペロペロと私の顔を舐め始めた。

「ふふっ。くすぐったいよ~」
『ズルいの!』

 アクランが寄ってきたと思ったらネラースやルフスも寄ってきて、揉みくちゃにされた。
 うふふふ。私の癒しのモフモフは素晴らしい!

〈ふむ。契約だな。ガルド達も名前を付けてやれ〉
「私と契約してくれるのはどっち?」

 残っていた一番大きな馬と、それに寄り添うように並んでいる馬に問いかける。
 私に向かって歩いてきたのはまさかの羽持ちの一番大きなお馬さんだった。

「わぉ、よろしくね。よく見るとキミのウロコは黒っぽいシルバーなんだね」

 毛並み自体は全頭白っぽい灰色だけど、それぞれ額と首と足のウロコの色が違っている。
 ジルの馬は深緑色、ガルドさんの馬は真っ黒、ジュードさんの馬は薄い黄色、モルトさんの馬は濃い紫色、コルトさんの馬はゴールドだ。

「名前ねぇ……グリネロっていうのはどう?」
『ブルル』

 名前を呼ぶと、私の額に額をくっ付けてきた。ウロコがひんやりと冷たくて気持ちいい。馬が返事をすると、いつもの契約の光が私達を包み込む。

『主人。よろしく、頼む』
「よろしくね」

 私がグリネロを撫でてあげると、気持ちよさそうに目を細めた。

「セナ様! 僕も契約できました!」
「オレっちもー!」
「俺もだ……」
「自分達もです」

 ジルとジュードさんは初めての契約だと喜んでいて、ガルドさんは「契約できるもんなんだな」なんて感心、モルトさんとコルトさんは嬉しいのかひたすら撫でている。
 ジルはアルヴィンと契約しているけど、従魔は別らしい。アルヴィンはジルの様子に苦笑が漏れていた。

「じゃあこの子は私が引き取るね」
『頼む。埋葬するときは呼んで欲しい』
「もちろん。お墓作ってあげようね!」
『おはかとは?』
「〝ここに大切な人が埋められいますよ〟って示す印がある埋葬地のことだよ」
『なるほど。人の風習か……感謝する』

 クラオルに聞いてみると、大抵は外で違う魔物にられて死ぬことが多いから、食い荒らされてしまうそう。住処で死んだときは埋めるけど、墓標みたいなものは建てないらしい。

「みんな契約したし、もうお昼だからご飯にしようか? 食べるのによさそうな広場っぽいところ、この辺にあるかな?」
〈それならあっちにあったぞ〉

 グレンの案内でぞろぞろと移動する。
 馬達はその場を離れる前に、死んでしまった子馬がいた場所を名残惜しそうに見つめていた。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。