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13章
てんこ盛りのプレゼント
しおりを挟むお昼ご飯に取って置いてもらった朝食を食べ、私達は街へとくり出した。
ジルと手を繋いでミカニアの街をブラブラ。
「ジルは何か欲しいものある?」
「特にありません」
「ん~……じゃあ、何か食べたいものは? 作り置きするにも、同じようなものばっかりだと飽きちゃうでしょ?」
「いえ、セナ様の料理は毎日食べても飽きません」
「……じゃあ、前に食べたアレがまた食べたいな~とかは?」
「そうですね……全て美味しいですが、ケチャップのオムライスは何度も食べたいです」
「そっか~。わかった!」
オムライスだと特に買い物はしなくて大丈夫なんだよね……どうしようかな?
考えていると、通りかかったお店から声が掛けられた。
「お! 嬢ちゃんじゃねぇか!」
「あ、この前の! こんにちは」
「おう! 覚えてたみてぇだな。ちょっと寄ってけよ!」
私を呼んだのは、先日元ギルド職員に絡まれたときに味方になってくれたおじさんだ。
手招きされて近寄ると、「ちょっと待ってろ」と呼んだ張本人がお店の奥に行ってしまった。
おじさんのお店は魔物の革や毛皮、糸や毛糸を扱うお店らしい。服型に縫われた物はなく、生地や糸巻きのまんまだから卸問屋みたいな感じかな?
キョロキョロとお店の中を見ていると、奥からおじさんが戻ってきた。
「待たせたな! こいつをやろうと思ってたんだよ!」
「これ……革紐?」
「そうだ。嬢ちゃん冒険者なんだろ? この革紐は頑丈でなかなか切れねぇ。ブーツにもってこいだぞ。水に濡れても縮んだりしねぇから安心しな」
「おぉ! でもどうしてくれるの?」
そう問うた私におじさんが語ったのは、前にプルトンが調べた内容と似たり寄ったりだった。
実力があるだけに本当に困らされていたんだって。私が絡まれたのに便乗して厄介払いしたから、そのお詫びっていうかお礼だそう。
厚意を無下にするのもどうかと、遠慮なくもらうことにした。
ついでにポラルが欲しがった糸を購入させてもらい、おじさんのお店を後にする。
歩き出した私達はおじさんが見送りがてら言っていた「感謝してるのはオレだけじゃねぇ」って言葉を体感することになった。
お肉屋さん、雑貨屋さん、八百屋さん、喫茶店に食堂……と、ちょっと歩けば声を掛けられ、それぞれのお店からプレゼントを渡されることになった。
もらうだけじゃ悪いので一応各お店で買い物もしたよ。したんだけど……贈り物だけでも結構な量なのに、みんなオマケまで付けてくれるっていう……とってもありがたい反面申し訳なくなってしまう。
いろいろな人と話しまくって疲れた私達は、こじんまりとした喫茶店に避難してきた。
「ふぅ……魔道具屋のおばさんすごかったね……」
「そうですね……元来、ご婦人は話好きだとは思っていましたが、あそこまでとは……」
タルゴーさんとは違って、人を貶す感じの愚痴は聞いていて気持ちがいいものじゃない。
貴族の付き人をしたことのあるジルもさすがに疲労感を滲ませている。
今は甘~い白パンの蜂蜜がけを食べてるけど、夜ご飯の後にでも宿のマッサージをお願いするのもいいかもしれない。
「先ほど買った魔道具は何かに使えるのですか?」
「あぁ、あれね。魔道具の方はちょっとイジったら蒸留器ができそうだなって」
「じょうりゅうき……?」
「そそ。正確には水蒸気蒸留器……だったかな? ハーブから精油を作る道具だよ。それができれば化粧水とかアロマオイルが作れるのね。タルゴーさんのところでオイルマッサージしてもらったけど、ベタベタだったのと匂いの種類が少なかったから自分で作れたらいいなって思って」
「工房を造られるのですか?」
「違う違う。自分達用のだから机の上で作れるくらい小さいやつだよ」
「そのようなことができるのですね……」
感心するジルの瞳が嬉しそうに細められた。
あれ? なんかまた信者度が上がった気がするのは気のせいかな? 気のせいだよね?
「や、やったことないからできるかわからないよ?」
「セナ様は僕が知らない知識を知っておられます」
それは地球の知識だよー! とは言えず……私は苦笑いでやり過ごすしかなかった。
◇ ◆ ◇
マッサージで疲れを癒した私達は次の日、丸一日コテージで制作。
中級ポーションが手に入ったため、ジルと一緒にアルヴィンのアドバイスをもらって自分達用と人に渡せる用を量産。
ジルはすぐにコツを掴んだんだけど……私は無意識に漏れる魔力のせいで、想定より効果のいいものができちゃって四苦八苦。感覚でやっている私は戦闘以外の細かい魔力操作は不得意ってことを学んだ。
結局、私が作ったやつは自分達用に、ジルが作った物を人に渡す用となった。
グレンが食べたがる肉料理や作り置きの料理も大量に。
ジルはジルで普段飲む用の紅茶を淹れまくっていた。
紅茶のダシガラはアヒルのエサや畑の肥料になるとのことで、プレゼントした。
◇ ◆ ◇
さらに次の日、精霊の国にお邪魔して精霊の子達に協力を依頼。
件の蒸留器作りやいい香りのハーブ集め、ガルドさん達用の丼をお願い。
その間みんなには自由に過ごしてもらったんだけど……私はひたすらジャムパンを作っていた。
その日の夕方、戻ってきたグレンからものすごい量の魔物をお土産に渡された。
グレンいわく、全部食べられるお肉なんだそうです。
〈あいつらがセナの料理を気に入ってうるさかった〉
「あら。嬉しいね。分けてあげたの?」
〈……パンだけな。おかげで我はほとんどパンが食べられなかった〉
「じゃあ今度はみんなの分も持っていかないとだね」
〈ムッ。褒美ならまだしも……他の料理は渡すくらいなら我が食べる〉
「えぇ……冷たくない? お世話になってるんでしょ?」
〈我が世話してやってるんだ。セナの役に立っていない!〉
どうしても料理を渡すのは嫌らしい……
ドラゴン達用に多めのパン渡していたのに、自分の分が減ったのがそんなに気に食わなかったのかね?
何故か私を膝の上に乗せ、寄せてくるグレンの頭を撫でてあげると満足そうに息を吐いた。
「お肉いっぱいだったけど、みんなで狩りに行ったの?」
〈うむ! あいつらも鈍っているようだったからな! デカいのを狙ったんだ!〉
話題を変えると嬉々として話始めたグレンは、ストレスをしっかり発散できたみたい。終始楽しそうに語る姿は私も見ていて嬉しい。
それは宿の夜ご飯を食べ終わっても続き、コテージのグレンの部屋で夜更かしすることになった。
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