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14章
試験結果
しおりを挟むベッドでゴロゴロしながらみんなで話していたら、あっという間に時間が経ってしまった。
◇
十分前にギルド横の広場に着くと、すでにほとんどの受験者達は集まっていた。来ていないのは生き埋めになっていた二人。
全員が揃う前に筆記試験で使った教室に通された。
グレン達も入室の許可が下りたため、私はグレンの膝の上で抱えられている。他の人達の視線が心做しか温かい……
「まず、救助してくれたことに礼を言う。件の二人は異常はなかったが、大事をとって休ませている。今回は少々予定外のことが起こったが……冒険者として活動するにあたり、このようなことは充分に有り得る。よって、不測の事態に陥った場合の対処として評価した。では合格者を発表する。名前を呼ばれた者は返事をしろ」
読み上げられる名前にそれぞれ返事をしていくと、ビキニアーマーのお姉ちゃんとあのお兄さんの二人が呼ばれなかった。
「……以上だ」
「おい! オレの名前が呼ばれてねぇぞ!」
「あたしも!」
「公正なる審議の結果だ。異論は認めん。落ちた者は一ヶ月間試験を受けることはできない。また来月受けるんだな」
「クソッ! またかよ!」
「合格した者はギルドカードを更新する。一列に並べ」
あぁ……お兄さん、前回もダメだったのね……
受かった私達がよく見るワープロ水晶玉を準備している職員のところに並んでいる間に、お兄さんが声を荒らげた。
「なんでだよ! ちゃんと魔物倒しただろうが!」
「やる気が空回りしてEランクの魔物に手こずるようでは許可できん」
「ウチは!?」
「お前は筆記試験がひどい。普段どう買い物をしているのか謎なくらい計算が壊滅的だった。簡単な計算はできるようにしろ」
理由を告げられている間にも列は進み、無事ランクアップ完了。
よっしゃ! これでダンジョン入れるぜ!
落ちてしまった二人心の中でエールを送りつつ退出しようとすると、マッチョに声をかけられた。
今回の件で事情聴取があるらしい。
案内された部屋にはすでに三人ほど着席していて、マッチョは座らずにドアの前に陣取った。
左からサブマス、イカついおじさん、裏がありそうな笑顔を貼り付けたおばさんだ。事情聴取っていうよりも取り調べっぽい雰囲気を纏っている。
ソファに座った私達にサブマスが二人を紹介。イカついおじさんがギルマスで、おばさんがギルマスの嫁らしい。奥さんはギルマスのサポートをしているそう。
簡単な自己紹介の後、三人に揃って頭を下げられた。
「ギルド職員、及び受験者を助けてくれてありがとうございます。セナ様が行動を起こさなければ二人共亡くなっていたでしょう」
「いえいえ。間に合ってよかったよ。大事な命だからね。で、話ってなーに?」
私が本題へ促すと、ギルマスが睨むように口を開いた。
「いろいろと聞きたかったんだが……まぁ、それはいい。余り目立つことはするな」
「え? 私達何もしてないよ?」
「その年齢でCランクっつーことで、すでに目立ってんだよ」
「それはギルドのお姉さんが叫んだせいなのに……あ! そうだ! ダンジョンの許可証ちょうだい? ランク上がったから入れるでしょ?」
思い出した私が手を伸ばすと、サブマスがサッと目を逸らした。
ん? 何その態度……
「それはできん」
「Bランクから入れるって言ったじゃん。嘘ついたの?」
「えっと、嘘ではありません。最低でもBランクであることが必要です」
「その言い方って……別な条件もあるってこと?」
「非公開だがそうだな」
「そんなの聞いてない!」
なんじゃそりゃ! 確かにあのとき〝最低でも〟って言ってたけど……一杯食わされたってこと?
「この街の冒険者は気性が荒いやつが多い。特にお前みたいな子供に許可証を出したら、納得できないとギルドで暴れるやつも出るだろう。ダンジョン内で絡まれることも想像に容易い」
〈そんな者返り討ちにすればいい〉
「お前らなら簡単だろうが、それをギルドが許可できるわけないだろう。ケガ人で溢れかえる」
「えぇ……じゃあ、そもそも試験は意味なかったってこと?」
恨みがましくサブマスを見ると、当の本人は肩をすくめて見せた。
「いやー、まさか試験を受けてまで入りたがるとは思わなくて焦りました。公正なギルドが試験もダメなんて言えませんからね。しかもギルマスの不在時でしたし」
「むぅ……」
くそぅ……めっちゃ悔しい……シレッと言ってくるのがまた腹立つぞ。タルゴー商会に入るって言っちゃったし、新鮮な食材も欲しいし……何か手はないもんか……
「あ! 年齢が成人してたら許可出せるってことだよね?」
「まぁ、お前らの場合はそうだな」
「ねぇ、グレンって前冒険者やってたんだよね? ランクいくつ?」
〈我か? 見ないとわからん。……あぁ、SSだな〉
「流石グレン!」
「まさか……」
「うふふふ。そのまさか。グレンの許可証ちょうだい」
「従魔一人は流石に……」
ギルマスがモゴモゴと口ごもったとき、部屋にノック音が響き渡った。これでもかと素早く連打され、全員がドアに注目する。
あ! この気配は……
「その子に用があるという冒険者が緊急だと言うのでお連れしました」
説明をするスタッフの後ろから現れたのはガルドさん達。話に夢中で気付かなかった。
入ってきたガルドさんに思いっきり飛びつくと、驚きつつも受け止めてくれた。
毎日のようにギルドネックレスを通して会話していたとはいえ、ちゃんと本人に会えるのは嬉しい。みんなが撫でてくれる手の温もりが温かい。
「久しぶり~!」
「そう、だな。会うのは久しぶりだな」
「どうしたの?」
「セナが困ってるから急げっておばあちゃんに言われたんだよ。何があった?」
(おぉ! 流石おばあちゃん! ナイスタイミングだよ! 大好き!)
「なるほど! うふふふ」
「お、おい……」
「セナっちー?」
ニヤニヤが抑えられないまま振り返ったら、ギルマスの口元がピクピクと引きつった。
ソファが足りないため、ガルドさん達は私達が座るソファの後ろに立った。
ガルドさん達を紹介し、ギルマス達も紹介する。
「ガルドさん達はSランクパーティだよ。ガルドさん達も一緒ならいいでしょ?」
「……はぁぁぁ。わかった。許可証は出してやる。ただ! お前とその坊主はダメだ。お前達は見た目や年齢と実力がかち合ってない。他のやつらが説明だけで納得できるとは思えねぇ。ギルドとしては面倒事は避けたいからな」
わかりやすくため息をついたギルマスはそう断言した。
「むぅ…………まぁ、わからなくもないからしょうがないのかな……めっちゃ視線感じるし……」
〈我だけ入るのか? セナと離れるじゃないか〉
「グレンは鑑定できるし鼻が利くでしょ? だからガルドさん達に教えて欲しいの」
〈それはそうだが……((プルトン達でもできるだろう))〉
最後の念話の内容に納得してしまう。
ガルドさん達には申し訳ないけど、手を貸してもらおう。
「お願いしてもいい?」
「んん? とりあえず俺達にもわかるように説明してくれ」
「あ、そっか。ごめんね。私この街のダンジョン入りたかったんだけど、年齢制限で入れないの。だから代わりに入っていっぱい食材とかアイテムを……」
「食材!? いいよ! いいよー!」
流石ジュードさん……ノリノリだ。
食い気味に答えたジュードさんを目の当たりにしたガルドさんは呆れたように笑いながら了承してくれた。
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