転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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15章

川の神様がくれたお団子?

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『――様? 主様ったら!』
「!」

 ハッ! と気付くと、クラオルに頬をペシペシと叩かれていた。

「クラオル……」
『よかった。気が付いたのね。いきなり固まったからどうしちゃったのかと思ったわ』
あるじぃ……』

 グレウスが心配そうにグリグリと頭を押し付けてきた。
 目の前には倒れたままのグレン、その近くには私を心配そうに見つめるジル。後ろではガルドさん達やニキーダが伏して下のドラゴンを確認していた。
 手の中にはおじいさんからもらった三つがあるから夢では片付けられない。
 おそらく、私はに精神だけ飛ばされていたんだろう。さほど時間も経ってなさそうだ。

「セナ様……」
「グレウスもジルもごめんね。心配してくれてありがとう。大丈夫。これ、試してみよう」
『あら? さっきまでそんなもの持ってなかったわよね? それにその鱗、えげつない魔力が詰まってるわよ』
「うん。おじいさんからもらったの」
『おじいさん?』
「そう。よくわかんないけど、飲ませればグレンが目覚めるって」
『どういうこと? ちゃんと説明してちょうだい』

 クラオルに質問され、ガルドさんやニキーダにも説明する。

が外れるって言ってたのよね?」
「うん」
「それならこのままじゃマズいわね……」

 私が頷いたのを確認したニキーダは少し考えてからみんなに指示を飛ばす。
 プルトンとウェヌスは結界を個人個人に張り直し、ガルドさんがアデトア君を抱え、私は精霊の国からアレス達四人を呼ぶことになった。
 アレス達を見たニキーダは「流石セナちゃんね」と満足そうだった。

 アイコンタクトで頷き合い、私はジルに協力してもらってグレンの口に小ビンの液体を流し込む。
 喉がコクリと動いた瞬間、グレンの目がカッ!と開かれた。

――グオオオオオオ!
「くっ……」

 おじいさんが言っていた通り、あっという間にドラゴンと化したグレン。そのグレンが上げた咆哮は今までとは比にならないくらい空気を震わせた。
 衝撃を伴う咆哮で大地震かと思うほどの揺れが起き、壁からはパラパラと土片が舞う。それによってアデトア君も目を覚ました。
 恐怖を感じるほどの威圧で体がガタガタと震える私を守るようにジルがきつく抱きしめてくれる。

――グオオオオオオ!
「う……ウェヌス……!」
《はい……!》

 鱗を託していたウェヌスはグレンが口を開いた瞬間を見計らって、鱗を投げ入れた。

――グオオ……オ? オオオオオ!!

 口に入った鱗をバリバリと噛み砕き、一瞬首を傾げたグレンは喜ぶような声を上げた。
 それと同時に身がすくむほどの威圧感はなくなり、明らかに強さは増しているもののいつものグレンの雰囲気とさほど変わらなくなった。

「グレン……?」

 小声で呼んだ私をグレンが一瞥。すると、目が優しく細められた。
 よかった。ちゃんと意識はあるみたい。
 グレンが目覚めたせいか、下で封印されているドラゴンがそれを嫌がるかのように咆哮を上げ、暴れている。

「そうだ、グレン。これ何に使うかわかる? おじいさんに渡されたんだけど」

 私がポケットからおじいさんにもらった玉を出すと、グレンはニヤリと笑った。

――〈セナ、カイザーコングを呼べ〉――
「お猿さん?」
――〈そうだ。ニキーダ、あの結界を壊せ〉――
「えぇ……壊せないことはないけど……」
――〈早くしろ。時間がない〉――
「わかったわよ。プルトンちゃん手伝ってちょうだい」
《いいわよ》

 ニキーダを抱えたプルトンが飛び立つのを見ていた私は、慌てて心の中でカイザーコングのお猿さんを呼ぶ。
(お猿さん、お猿さん。助けて!)
 私の呼び声に応えるかのように影から『キキッ!』と小猿が飛び出してきた。

――〈われが動きを封じる。貴様はあれの逆鱗を壊せ〉――
『キキーッ!』
「えぇ!?」

 グレンの命令に反応したお猿さんは、私達がいる足場から走る勢いのまま飛び降りた。
 急いで下を確認すれば、いつだかのマッスルダンジョンにいたときみたいにビッグサイズに変身していた。

「いくわよ!」

 ニキーダが声を張り上げ、上から御札を魔法陣に投げつける。
 するとピタッと地面に張り付いた四枚ほどの御札の周りから亀裂が入り、小さな爆発を起こした。
 それを確認したグレンが咆哮を上げ、暴れ出ようとしていたドラゴンを威圧で止める。
 そこにカイザーコングのお猿さんがパンチを繰り出し、ボコボコと殴っていく。
 トドメだと言わんばかりのアッパーが決まり、鱗が粉砕されるのと同時に封じられていたドラゴンは倒れた。

――〈口を開けさせろ! セナ、アレを!〉――

 カイザーコングが開けてくれたドラゴンの口目がけて、おじいさんからもらった玉を投げる。
 するとキレイな弧を描き、玉は見事に口の中へ。
 気を失っていたハズのドラゴンが驚き、暴れようとするのをカイザーコングが押さえつける。
 しっぽがバンバンと音を立てていたけど、しばらくするとそれもなくなり、完全にダウンしてしまった。

〈ふぅ。もう大丈夫だ〉
「本当に? もし暴れたらまた封印するのは大変よ?」

 いつの間にか人型になっていたグレンと、ニキーダが空から降りてきた。

を飲んだのだ。いい気付けになっただろう〉
「あの玉はなんなの?」
〈クソマズい煎じ薬だ。それもジジイ特製の。龍の気が抑えられるゆえ、姿を保ってられん。人化じんかするしかない。どんなに強い古代龍エンシェントドラゴンといえども暴れるなんぞ不可能だ。ちなみに腹を下す作用もある。それがまたキツい。言うことを聞かん子供に飲ませるものだが……われが昔飲まされたものは一センチほどで、一週間くらい腹が壊れたままだった〉
「マジか……」

 ちょっとあの〝川の神様がくれた苦団子〟を思い出したけど、最後の一言で打ち消された。
 それって……おなかが壊れたせいで体力が消耗し、ドラゴンの姿がキープできないのでは?
 グレンの説明を聞いて、みんなで下を覗いてみたら、本当に人型になっていた。
 しかもカイザーコングが小さいサイズになっておなかの上で跳ねていらっしゃった。
 下剤って言ってたのに、あれはおなかにクるんじゃなかろうか……
 ガルドさん達やニキーダ達までなんとも言えない表情を浮かべている。

「なるほど。ドクダミ茶もさらに改良の余地がありそうですね」
《ふむ。そうだな。力を抑える効能の薬草は何を使っているのか気になるな》
「ジルさんアルヴィンさん……それ私達で実験しないでね」
「もちろんです。協力はタルゴー商会とジャレッド王にしてもらいましょう。効能が高まれば罪人の口を割るのに使えそうですから」

 笑顔で言い切るジルに私達は苦笑いするしかない。
 確かに使えそうではあるけど……タルゴー商会で扱う商品がヤバくなってる気がするよ……戻ったらピーマンのレシピを登録してあげよう。
 微妙な空気を追い払うかのようにエルミスが話題を変える。

《ま、まぁ、が払拭されたのだ。あの者も正気になるだろう》
「でもさ、なんでドラゴンが封じられてたんだろうね。禁忌は禁忌でも聖地って感じはしないよね」
「そうだねー。どっちかっていうと呪いの類いだよねー」
〈うむ。呪われていたな〉
「え?」
「は?」

 サラッと軽~くぶっ込まれた爆弾発言に私達はもれなく全員フリーズした。


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