皇女はグリフィン騎士団員になり、憧れの騎士に愛される

ゆきりん(安室 雪)

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 ラトニア国の皇女として産まれたアリアは、毎年夏になると侍女達が『収穫祭』に浮かれて行くのが気になっていた。話を聞くと、色々な出店というものが出て、地方からも沢山の人が集まるのだと言う。毎年父様や母様にお願いしてみるが、1度も許可が下りない。ダメ元で今年も頼んでみるが、やはりダメだった。

「僕がもう一度頼んでみるから、そんなに泣くなよ」

 5歳年上のサイノス兄様が頭を撫でながら、アリアの目を覗き込んでくる。

「そんなに泣くと、目が溶けて無くなってしまうぞ?」

 ほら、と優しく微笑んでくれる。



 そして3日後。

 アリアとサイノス、護衛数人は一般市民に混じり『収穫祭』を楽しむ為、城下に降りていた。アリアもサイノスも市民の装いをしている為、誰も皇女と皇太子がいる事に気が付かない。身分がバレてしまえば祭りどころではなくなってしまう。護衛達ピリピリしながら2人の周囲に気を配る。いつ何があるか分からない為、気が抜けない。

「兄様、『タマゴ』が欲しいのです」

「ああ、僕も気になってたんだ。1つづつ買おう?あ、あの店かな?」

 そう言って、サイノスはアリアの手を優しく引き、出店の1つに足を向ける。

「うわぁ~!!ホントにタマゴが売ってる!!兄様、どれにする?」

 木箱の中には藁が敷いてあり、その上にタマゴがぎっしりと並べてある。色はどれも白。多少大きさに差はあるが、大した差ではない。

「私は、グリフィンのタマゴが欲しいのっ」

「ふふっ、それはかなり確率が低いよ?グリフィンと竜はなかなか産まれたって聞かないからな」

「そもそも、なんでヒヨコにグリフィンと竜のタマゴが混じるの?」

 素朴な疑問をアリアはサイノスにたずねる。帝王学やら色々な知識を詰め込まれているサイノスはアリアの質問で答えられなかった事は今まで無かったのだが、今回の質問には、

「うっ、僕も知らないんだ」

 と困った顔をする。すると、店主がカラカラと笑いながら話しかけてくる。

「その質問に答えられるのは、タマゴ売りくらいだな~、お嬢ちゃん。グリフィンや竜達はタマゴを生んだ後は自分で育てずに、鶏小屋にタマゴを放り込むんだ。そしてグリフィンや竜は孵ったら国に引き渡される事になる。だが、タマゴの状態では分からないからな。たまたま出店にグリフィンや竜のタマゴが出る事になるんだよ。正しく運次第だ。お嬢ちゃん、どれにする?」

 ニッと笑いながら店主に促され、他よりも少し大きなタマゴを手に取る。サイノスはすでに選んでいたようで、2つ分の代金を払う。

「毎度っ!」

 明るい店主に手を振られ、店を後にする。すぐに城に帰りたいアリアだが、『城下の祭りを視察する』という事でサイノスが了承を取った為、他も見て回らなければならない。数軒見ていると騒めきが起こる。

「スリよっ!捕まえてっ!」

 女性の声と騒めきがアリアに近づいてくる。護衛達がアリアとサイノスの周りに壁を作る。その隙間からアリアは一部始終見えてしまう。

 何処かの騎士部隊の制服を来た、ストレートの金髪に、翡翠の様に緑で澄んだ瞳の男性があっと言う間に盗賊に掴みかかり、流れる様な動きで拘束する姿を。護衛から『グリフィン騎士団だな』と呟きが聞こえる。

 グリフィン騎士団?


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