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 アリアとサイノスが居住区に向かう途中で騎士塔を横切っていると、アリアは見覚えのある顔に出会った。

「あ、あの騎士の人!さっき盗賊を捕まえた人だっ!」

 アリアは嬉しそうに言う。

「ああ、グリフィン騎士団もココにあるからな。まだ若いな、俺より年上だけど」

 そんな騎士を2人で見ていると『リューク』と他のグリフィン騎士が呼び話しかけている。楽しそうだ。

「彼らは今年の春から騎士団いりみたいだね。まだ新人の印が腕に巻かれてる。16歳以上でグリフィンか竜を従えているか、腕が見込まれた者は騎士団に従属出来るからね。彼はどれだろう?」

「騎士団には女性も入れるの?兄様」

「うん?ダメな決まりは無いはずだよ?アリアもグリフィンを従えていたら入れるかもね?」

 軽い冗談のつもりでサイノスは言ったのだが。

「さっきの盗賊を捕まえたの格好良かったから、アリアも武術習いたいっ!」

「えっ!!アリア、怪我したら大変だろう?護衛に守られていたらいいんだよ?僕は武術とか苦手だし」

 危ないよ、とアリアを説得するが逆に説得されてしまう。

「だって兄様、近くに護衛がいなかったり、護衛が怪我したらどうするの?自分の身は自分で守らなくちゃ!」

 そしてまた、父様を説得してアリアに護身術を学ばせる約束をしてしまったのだ。



 兄様が父様を説得してくれたのだが、条件が付いて来た。アリアが苦手な舞踏会用ダンスを3曲完全にマスターする事、期限は10日だ。それを聞いた瞬間、アリアは呆然とするが、すぐに立ち直りダンスレッスンの手配をしてもらった。今の所アリアは、マナーや作法、歴史の勉強が日替わりで組み込まれているが、比較的自由な時間が多い。なので、空いている時間をみっちりダンスレッスンに組み込めば何とかなりそうだ。



 翌日から、早速ダンスレッスンが始まる。いつもなら音を上げ逃げ出しているレッスンだが、マスターして武術を習うために必死で練習する。鬼気迫るモノが出ているのか、講師もいつも以上に熱を入れて丁寧に教えてくれる。

 アリアは寝る前にもダンスレッスンの復習をしてから寝る事にした。その成果が出たのか、翌日のレッスンではきちんと覚えている事に関心された。だって、ご褒美(武術)の為だもんっ!父様は絶対無理だと思ってこの難題を押し付けたはず、絶対に突破するもん!



 
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