12 / 36
12〜グレイ目線〜
しおりを挟む
俺がまだ幼い頃、3歳年上の兄・次期国王の為に、毎年春国の中から比較的歳が近い貴族の令息・令嬢を20名程迎えての親交を深める茶会(ガーデンビュッフェ)が行われていた。それは兄が10歳になるまで続いた。俺が7歳になるまでだ。
あくまでも茶会のメインは兄であり、毎回呼ばれる面子は変わる為、名前を覚えてもらう様に招待された令息・令嬢は親に言い含められているのか、兄の周りから居なくなることは無かった。
それにひきかえ、第2王子の俺には挨拶もソコソコに誰も残る者はいなかった。
毎年の事だ。
慣れている。
俺はオマケでしか無いのだ。
しかし、この茶会の最後になる年、初めて見かける令嬢が俺に挨拶した後も、俺に色々話しかけてきた。
「何でみんなグレイ様と仲良くしないのかなぁ?ソフィーはグレイ様のキラキラしたお目々大好きっ。エメラルドみたいだもんっ」
ニコニコとしたソフィアは自分の事をソフィーと呼び、グレイの手をいきなり握りながら引っ張っていく。
「グレイ様、好きなお菓子は何?ソフィーお腹空いちゃった。美味しそうなお菓子がいっぱい並んでるの、全部食べてみようよ~」
「全部は無理だろ?」
「む~ん。全部食べてみたいもんっ」
ソフィアは眉間に皺を寄せながら手を握りしめて、プルプルさせている。
「じゃあ、半分ずつ食べようか?」
すると、ぱぁ~っと笑顔になる。
「ありがと~、グレイ様っ。半分こねっ」
そう言って、全てのケーキをお皿に乗せてもらい、近くの空いているテーブルに運んできた。お茶は近くの侍女にお願いする。
余分に持ってきたお皿にケーキを半分ずつ切り分け載せていく。しかし、フォークで切っている為、形は崩れてしまっている。
「グレイ様、ごめんなさい。形が・・・」
ソフィアはしょぼんとしてしまった。
「大丈夫だよ、ソフィー。口に入れてしまえば形はわからないし、味は同じだよ」
そう言ってケーキを食べ始めれば、ソフィーも
「そうだよねっ。見た目じゃないよね。出来てるものは一緒だもんっ」
ニコニコとケーキを食べ始めた。
俺ははじめて他人に興味を持った。
俺と同じ歳の女の子に、見た目(肩書き)じゃ無いと慰めされたのだ。この子の事をもっと知りたい。
「よしっ!君気に入った!将来僕の妻になってよ」
「ふふっ。素敵な王子様になったらね」
そして、9年後。
あの講習会に参加すると聞いて、俺はいてもたってもいられず、裏から手を回し、ソフィーのパートナーになった。
ソフィー、逃がさないよ。
この、10日で俺の事しか考えられない様にしてやるよ。
あくまでも茶会のメインは兄であり、毎回呼ばれる面子は変わる為、名前を覚えてもらう様に招待された令息・令嬢は親に言い含められているのか、兄の周りから居なくなることは無かった。
それにひきかえ、第2王子の俺には挨拶もソコソコに誰も残る者はいなかった。
毎年の事だ。
慣れている。
俺はオマケでしか無いのだ。
しかし、この茶会の最後になる年、初めて見かける令嬢が俺に挨拶した後も、俺に色々話しかけてきた。
「何でみんなグレイ様と仲良くしないのかなぁ?ソフィーはグレイ様のキラキラしたお目々大好きっ。エメラルドみたいだもんっ」
ニコニコとしたソフィアは自分の事をソフィーと呼び、グレイの手をいきなり握りながら引っ張っていく。
「グレイ様、好きなお菓子は何?ソフィーお腹空いちゃった。美味しそうなお菓子がいっぱい並んでるの、全部食べてみようよ~」
「全部は無理だろ?」
「む~ん。全部食べてみたいもんっ」
ソフィアは眉間に皺を寄せながら手を握りしめて、プルプルさせている。
「じゃあ、半分ずつ食べようか?」
すると、ぱぁ~っと笑顔になる。
「ありがと~、グレイ様っ。半分こねっ」
そう言って、全てのケーキをお皿に乗せてもらい、近くの空いているテーブルに運んできた。お茶は近くの侍女にお願いする。
余分に持ってきたお皿にケーキを半分ずつ切り分け載せていく。しかし、フォークで切っている為、形は崩れてしまっている。
「グレイ様、ごめんなさい。形が・・・」
ソフィアはしょぼんとしてしまった。
「大丈夫だよ、ソフィー。口に入れてしまえば形はわからないし、味は同じだよ」
そう言ってケーキを食べ始めれば、ソフィーも
「そうだよねっ。見た目じゃないよね。出来てるものは一緒だもんっ」
ニコニコとケーキを食べ始めた。
俺ははじめて他人に興味を持った。
俺と同じ歳の女の子に、見た目(肩書き)じゃ無いと慰めされたのだ。この子の事をもっと知りたい。
「よしっ!君気に入った!将来僕の妻になってよ」
「ふふっ。素敵な王子様になったらね」
そして、9年後。
あの講習会に参加すると聞いて、俺はいてもたってもいられず、裏から手を回し、ソフィーのパートナーになった。
ソフィー、逃がさないよ。
この、10日で俺の事しか考えられない様にしてやるよ。
14
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。
しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。
そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。
王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。
断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。
閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で……
ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。
一途な王子の想いが重すぎる
なかな悠桃
恋愛
高校一年の中村舞衣は、『爽やかイケメン王子』こと稚日野春と小中高と一緒の幼なじみ。今はあることがきっかけで疎遠になっている。そんなある日、偶然帰り道が一緒になり.....
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる