指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 目が覚めると優はベッドの上に1人だった。確かにアレク様は昨晩帰って来たはず。いつもアレク様が寝る側のシーツが乱れている。なのに、一緒に朝を迎えてくれないないのは忙しいからか、それとも・・・。

 のそりとベッドから降り、ため息を吐く。右手でそっと唇を撫でる。アレク様の唇はいつも柔らかく甘い・・・。けど、昨日は少し様子がおかしかった?

 騎士服に着替えダイニングに向かい合う。

「アレク様おはようございます」

「ああ、優おはよ」

 コーヒーを飲みながらアレク様は微笑んでくれる。確かに微笑んでくれてはいるが、何か一線を引かれた感じだ。私、アレク様に嫌われる事、しちゃったのかな・・・。



 いつもは大した荷物はないが、今朝は1週間分の遠征の荷物と共に登城する。荷物が乗っている為、紅には銀と一緒に厩舎で待ってる様に言い聞かせ、騎士塔に向かう。

 アレク様はすぐにグリフィン騎士団の団員に指示を出し、皆バタバタと動き始める。優はここではする事がなさそうだ。アレク様は忙しそうに打ち合わせをしているので、マークに声をかけて魔導師塔に向かう。



「ライ様、おはよございます」

「ああ、優おはよう」

 ライ様もいっぱい荷物があるのかな?と気になり周りを見渡すが、何もない。

「ライ様、荷物はもうグリフィン騎士団にわたしたんですか?」

「え?特には運ばないよ?」

 !?

 何で?1週間だよ?

「ああ、俺にはコレがあるから」

 左の掌を上にすると、箱がフワリと出てくる。優の願いの箱に似てる様な似てない様な?

「持ち運びクローゼットみたいな物かな?流石に屋敷は入らないけど、そうだな、この部屋分の物なら入るよ?優、もしかして荷造りして紅に運ばせた?」

「はい、もちろん」

 だって1週間同じもの着たくないし。

「願いの箱、持ち腐れちゃったね。優の場合も、例えば2日目に着る予定、3日目に着る予定と布地に包んで置いて置くとするだろ?で、1日目の夜に願いの箱に『2日目に着る服』て言うと、包んだ布ごとポンと出でくるんだ。で、着なくなった分は『返却』もしくは置いておきたい場所を指示すれば、そこに移動するんだよ?昨日、説明すれば良かったな。でもまあ、今回は着なくなったモノから屋敷に移動させればいいよ。帰り楽だから」

 はぁ、早く知りたかった。エマ大変そうだったのに。

「あ、て事は生き物以外はその方法が取れる訳ですね?」

「そう、俺の箱で持ち運びか優の願いの箱か。式で荷物の『展開』ができる量は限られているからね。余程の魔力が無いと出来ないし」

 ふむふむ。ライ様、勉強になります。



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