全てを奪われてしまいそうなので、ざまぁします!!

ゆきりん(安室 雪)

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 その年にデビュタントパーティを迎える者は必ず白の衣装を着る事になっている。もし、今回多少の粗相をしても許してあげましょう、との分かりやすい印だ。

 もちろんジュディーも張りと光沢のある上等な布でドレスを作ってもらった。ごちゃごちゃとフリルやレースを使わず、シンプルだからこそ素材の上品さ、ジュディーの体型の良さが映えている。

 宝石は特に指定が無かったので、母の部屋に保管されていた真珠のネックレスとピアスを借りた。真珠のネックレスは、後ろの留め金部分からトップにかけて、真珠の大きさが段々と大きくなる、グラデーションタイプだ。トップには大粒の真珠が輝いている。それに巻きもよく、照りもいい。ピアスは丁度肩に来るあたりのモノと同じ位の大きさだ。

 屋敷を出る際に衣装で祖父に挨拶すると、選んだ真珠について教えてくれた。元は祖母がデビュタントパーティで使い、母も使ったそうだ。

 「私も使う事が出来て嬉しいです」

 涙目の祖父に伝えると、クシャリと祖父は笑った。屋敷の入り口で待っているガイのもとへ行くと、

 「素晴らしいな!!ドレスもジュエルもジュディーも、見事なバランスだ!!今日の君は『真珠姫』だな!!さすが俺の姪っ!!鼻が高いぞっ!!」

 ガイは上機嫌になった。

 ガイの衣装のアクセントになるカフスボタンやラペルピンは真珠で統一されている。勘繰る人が見れば2人は恋人に見えるかもしれない。ガイは元義母に対し、確実に復讐するつもりだ。




 2人は馬車に乗りデビュタントパーティの会場である王城に向かう。その馬車の中、ガイは子供の頃からの母の思い出話しを聞かせてくれた。ジュディーの記憶の中の母はおっとりさんだったが、芯が強くしっかりしていたようだ。まあ、だから駆け落ちしてしまったのだが。

 そんな昔話しをしていると馬車は王城に到着した。既に会場内に入っている人が多いようで、受付はあまり混んでいなかった。

 ジュディーとガイが会場内に入ると、一瞬騒めきが起こり次は静まりかえった。

 な、何?

 私何か変な事したっ!?

 焦ってしまうジュディーに、ガイは耳元で

 「君に見とれてるんだよ、後が大変だ。ダンスは上手く避けるんだ、キリが無くなるぞ」

 と、微笑みながらアドバイスをくれた。

 2人が歩くと周りの視線も付いてきた。

 そして何処からともなくガイが言ってた『真珠姫だ』と言う言葉がさざなみの様に聞こえてきた。

 う~わ~、居心地最悪。

 既に帰りたいんだけど、帰ってもいい?



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